中国、クローン技術の商業化進む ペットや希少動物をよみがえらせる

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中国、クローン技術の商業化進む ペットや希少動物をよみがえらせる

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1996年に世界初のクローン羊「ドリー」がスコットランドで誕生し、世界中の注目を浴びた。それから22年後の2018年、上海の女性が38万元(約600万円)を投じて亡き愛犬「nini」のクローン犬を手に入れたことが大きな話題を呼んだ。中国では現在、クローン技術の商業化が進み、十数頭のペット犬がクローン技術でよみがえるまでになっている。

新興バイオテクノロジー企業「希曼基因」は商業的なクローン動物作製に特化し、遺伝子検査からゲノム編集、細胞治療、クローン動物の作製までを一貫して手掛けている。

同社によるクローン作製の対象は、犬や猫などのペット、牛や豚など食肉用の家畜、保護の対象とされる希少動物の3種類。動物の身体から生きた細胞を取り出し、遺伝子の99%が一致する動物を作製できる。希少動物の遺伝子保存やクローン作製は、動物の保護や研究を行う機関だけでなく、希少な野生動物の輸入が困難な動物園に貢献する。

希曼基因が手掛けるゴリラのクローン作製は、同社の収益化能力の高さを示している。中国ではゴリラの輸入が年間10頭に制限されているため、各動物園による争奪戦が繰り広げられている。希曼基因はクローン技術による複製でゴリラの頭数を増やそうとしている。研究開発には約1000万元(約1億6000万円)の費用と2〜3年の時間がかかるため、1頭当たりの販売価格は3000万元(約4億8000万円)になる計算だが、2頭目からは作製費用を50万元(約800万円)に抑えられるという。同社は、少なくとも年間数百頭を販売できるようになると見込んでいる。

「希曼基因」の実験室

希曼基因の鄭時東CEOは「クローン作製による動物の再生は商業化され、すでに市場はかなり成熟している。当社を含め複数の企業がこの事業を手がけているが、大型動物や希少動物のクローン作製が当社の強みになっている」と語る。

クローン技術の商業化では「博雅控股集団(Boyalife Group)」と「北京希諾谷生物科技(Sinogene)」が知られているものの、希曼基因と競合する企業は少ない。同社の強みである大型動物や希少動物のクローン作製には、企業の持つさまざまな条件、スタッフや技術に非常に高い資質が求められるからだ。

希少動物のクローン作製には特に高い技術力が求められる。希曼基因の最高技術責任者(CTO)は国際認証と国内外の特許技術を多数保有し、生物遺伝子の複製に20年間たずさわってきた人物だ。また、メンバーとして約50人の博士課程在学生を抱えているため、研究開発のスピードと成功率が比較的高い。また、同社は福建師範大学をはじめ研究機関4カ所との共同プロジェクトを立ち上げているほか、中国国家1級重点保護野生動物および2級重点保護野生動物の「養殖許可証」を取得している。世界的に見ても、このような資格を保持する企業は他にない。

希曼基因は本社である「希曼控股集団」の下に、新たに独立運営の子会社としてペットのクローン作製・販売会社、遺伝子研究所および遺伝子バンクを設立し、事業の商業化を加速している。

現在、ペット専門病院600カ所以上と提携して同社の指定病院とし、ペット犬のクローン作製や細胞の保存、遺伝子検査などのプロモーションを進めている。

市場での動きからは希曼基因の収益化能力の高さが見て取れる。今年はペットと大型動物それぞれに特化したクローン作製プラットフォームを立ち上げ、すでに計1000万元(約1億6000万円)以上を売り上げている。某動物園とはレイヨウとシマウマのクローン作製に関して契約を結び、来年には契約金8000万元(約1億2800万円)が支払われる見込みだ。

同社は現在、市場開拓とマーケティングを全国規模で展開するため、資金調達を進めている。目標額は1000万元(約1億6000万円)。資金は研究センターおよび繁殖センターへの投資や事業の運営コスト、オンラインマーケティング、プロモーションなどに充てる方針だという。

(翻訳・田村広子)


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