シャオミの次世代ワイヤレス充電技術、真の実用化にはほど遠い 安全性も要検証(一)

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

シャオミの次世代ワイヤレス充電技術、真の実用化にはほど遠い 安全性も要検証(一)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国スマートフォンおよびIoT家電大手の「シャオミ(小米科技)」は先日、モバイル端末の空間伝送型ワイヤレス充電技術を初めて発表した。充電に際してはスマートフォンを充電器の上に置く必要がなく、ゲームやネットサーフィンをしながらでもワイヤレスで充電ができるというものだ。

モトローラもシャオミの発表の1時間あまり前に自社の空間伝送型ワイヤレス充電技術を発表しており、トランスミッター(電波送信機)はシャオミのものよりさらに小型化されていた。

2017年にiPhone Xが発表された頃、スマートフォンのワイヤレス充電効率はわずか7.5Wだったが、それからわずか3年あまりの昨年10月、シャオミは充電効率を80Wにまで引き上げてきた。

現時点でファーウェイとOPPOが量産するワイヤレス充電は40W、シャオミでは50Wと有線での充電効率水準に達しているが、上記の「真にワイヤレス」となるこの充電方式は次の技術的突破口となる可能性がある。

三大ワイヤレス充電技術

ワイヤレス充電技術は主に電磁誘導方式、磁界共鳴方式および無線周波方式の三つに大別される。ワイヤレス充電で現在最も多く利用されているのは、アップル、サムスン、ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivoが使用する電磁誘導方式であり、主に電磁コイルによりエネルギー転換や伝達を行うものだ。いわゆる「Qi規格(WPCが定めた給電規格)」による各種ワイヤレス充電器にはこの技術が使われている。

この電磁誘導方式は今日では比較的成熟しており、その最大の特徴は充電効率が通常80%と高い点だが、一方でスマートフォンを必ず充電器にぴったりと置く必要があり、充電に際しての自由度がほぼゼロである点がデメリットとなっている。

一方で磁界共鳴方式は電磁誘導方式から若干進化を遂げており、10cm前後離れた場所からのワイヤレス充電が可能だが、充電効率が70%前後と相対的に低い。

今回シャオミが発表した空間伝送型ワイヤレス充電技術は一種の無線周波技術であり、原理としては電界をエネルギー伝送の媒介としている。これにより充電距離において飛躍的な向上を果たし、充電方式もよりフレキシブルとなっている。

シャオミのこのワイヤレス充電システムは144本のアンテナで構成され、ビームフォーミングによりミリ波をスマートフォンに送る。スマートフォン側ではビーコンアンテナでこれを受信し、半径数メートルの空間で5Wの遠距離ワイヤレス充電を実現するという。

とはいえ、この空間伝送型ワイヤレス充電の問題点、すなわち充電効率が悪いという点も当然ながら顕著となっている。またスマートフォンの位置は絶えず変わるため、正確な測位が非常に重要となり、これが充電効率の大きな向上やエネルギーの浪費回避にもつながる。

業界ではやはり米企業がパイオニア

無線周波技術はワイヤレス充電の方式の一種であり、利用できる無線の種類がミリ波、マイクロ波、赤外線、BluetoothおよびWiFiなど多種多様であるという点がアドバンテージとなっている。このため、業界内の各企業にとっても技術ロードマップの選択や差別化競争に有利だ。

空間伝送型ワイヤレス充電分野では米国企業の参入が早く、「Ossia」や「Energous」といった企業が10年前から事業を発展させてきた。2008年創業のOssiaは一般的な知名度も高い企業であり、2013年年末にはワイヤレス充電の概念を提起し、それから3年後に開かれた世界最大のIT家電ショー「CES 2016」では自社の空間伝送型ワイヤレス充電プランであるワイヤレス充電ステーション「Cota」を披露した。

Cotaは筒型の形状で体積が大きく、3メートル前後の範囲内でデバイスに対する一定方向の充電を可能とする。Ossiaはさらにこの充電システムのために電池を設計し、空間伝送型ワイヤレス充電を実現させた。家庭生活における各種リモコンと並べても違和感がない。

Cotaが利用するのはマイクロ波であり、はじめはWifiの周波数と非常に近い約2.4GHzの周波数を使用するため、スマートフォン上に新たにハードウエアを追加することなく空間伝送型ワイヤレス充電ができる。だがCotaの充電効率はわずか1W前後であり、実用性は高くないため、コンセプト製品という枠から出ていない。

とはいえ、外国メディアは以前、Ossiaがウォールマートと提携し、スーパーの天井に埋め込んだCota送信器により商品棚の1000個以上の電子タグに充電するという実証実験事業を行ったと報じている。

一方、Energousはワイヤレス充電技術では必ず名前の上がる大手企業だ。2010年創業の同社は設立から5年後のCES2015で自社のワイヤレス充電技術「Wattup」を披露した。これはおよそ4.6メートルの範囲内にある複数のデバイスに対する空間伝送型ワイヤレス充電を可能とするものだった。

WattupではWifiの周波数が使用され、電波発射デバイスの出力はおよそ10W前後と一定の優位性がある。特筆すべき点として、Energousは2017年にアップルの半導体メーカーDialogと提携し、超遠距離ワイヤレス充電技術を共同開発すると宣言していた。さらに2019年には中国のスマホメーカーvivoとも提携し、同技術についての提携を進めている。

続き:真の実用化にはほど遠い 安全性も要検証

(翻訳・神部明果)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録