評価は高い?低い?美団 選択が課題

キーポイント
ž 発行市場と流通市場とで、美団時価総額の高低に対する投資者のニーズは正反対。

ž 今回の赤字補助金キャンペーンは長期化するはずもなく、とことん戦ったところで勝ち負けはない。

ž 美団は業務拡張に伴ってプラットフォーム化が進み、すでにその頭角も現れ始めているが、ウーラマはアリババの一部門との位置づけがますます顕著になっている。

美団点評(以下、美団)の予想時価総額は350億ドルに下落したが、一晩で600億ドルまで跳ね上がった。

昨日、あるメディアの公式アカウント「ユニコーン早耳」が、当初600億ドルと見られていた美団のIPO時価総額が、350〜400億ドルまで下方修正されたとの情報を流した。これに対する美団側のコメントはないが、経済新聞サイト「経済観察網」によると、美団はヒアリング前の準備期にあり、まだ時価総額確定の段階ではないとのこと。

面白いことに本日午前、今度は別のメディア公式アカウント「IPO早耳」が、美団の時価総額は600億ドルと投稿した。美団の超A級アプリと統合型ライフスタイルプラットフォームが海外投資家から高い評価を受け、普通に考えても600億ドルは下らないとのこと。

「IPO早耳」はさらに、「美団は現在、上場申請書類提出後のノン・ディール・ロードショー(NDR)を行っており、香港での第一回投資家面談を終えた。8月23日に香港取引所でヒアリングを行う予定」と伝えた。

36Krが入手した情報によると、美団上層部は今日、イギリスでNDRを行っていると言う。

時価総額、高いか低いかは選択課題

香港株で最も注目を浴びるスーパーユニコーン企業となった美団は、シャオミ(小米科技、Xiaomi)同様、市場外からの関心も高い。予想時価総額が度々下方修正となったシャオミと異なるのは、美団の予想時価総額は、一度として明確な数字が出ていないことだ。

これまでの美団時価総額に関する情報は全て市場の憶測に過ぎず、すでにヒアリング前という段階に入った今でも、美団がこれらの雑音に正面から答えることはない。時価総額に関する美団の公式発表は、2017年10月19日が最後で、「新規に40億ドルの資金調達を完了した。調達後の時価総額は300億ドルになる」との内容だった。

美団のようなスーパーユニコーン企業となれば、時価総額がどれくらいになるのか、市場の内外で大いに注目される。評価が高ければ、本当にそんな高値を手に入るのかと疑われ、逆に低ければ、時期尚早だったのではと批判される。しかし、美団にとって時価総額が高いか低いかは、いわば選択課題に過ぎない。

ある投資家は、「初値での時価総額が低めだとしても、必ずしも悪いことではない」と36Krに語る。「発行市場ではやや大きな試練、特に次の1、2回のシリーズから参加した投資家は収益が減るという事態が起きる。だが、流通市場投資家の立場からすると、初値時価総額が低ければ、先を競って株を求めることになるので、美団の株式発行が促進される。その後の株価は上昇を続け、かなりの高値がつく。こうなれば、流通市場の投資者にせよ美団自身にせよ、悪くない収益に繋がるはずだ」

これとは逆に、初値時価総額が高ければ、万事順調というわけでもない。発行市場の投資家は企業に管理を要求し、評価額への高い期待感から、上場間もない企業に多額の利益をもたらす。だが、期待された評価額に至らなければ、差額分を企業側が補填する形になる。いわゆるギャンブル契約だ。

「評価額が高過ぎれば、流通市場の投資家は手を出しにくくなる。上場後の企業にオーバープライシングのリスクを感じるし、株価上昇が期待できても自己資金が足りず投資できないこともある。結果として、株価の上昇は鈍る」と、同投資家は分析する。

簡単に言うと、時価総額が低い場合は、流通市場投資家にとって利があり、時価総額が高い場合は、発行市場投資家に利があるということだ。美団にしてみれば、「良いも悪いもない、高ければ高いで良いし、そのうち高騰するのであれば、低めでも構わない」状態である。つまり、美団は選択課題を解かねばならないだけで、最終的にどちらを選択するかは、初値直前の状況と発行市場投資家がどのような条件を提示してくるかを吟味する必要がある。

「企業にとってベストなのは安定的に成長し続けることであり、ジェットコースター型の株価は企業の資金運営上好ましくない」。同投資家による結論だ。

お騒がせライバルのウーラマ

しかし、株価はその企業を直感的に表すデータであり、美団の長年のライバルウーラマ(餓了麼)は、最近立て続けに、美団時価総額の引き下げ工作を行っている。6月25日に美団が事業計画書を提出して以来、ウーラマはずっと動きを見せている。

ž 7月2日、アリババ(阿里巴巴)グループ副代表兼ウーラマCEOの王磊(ワン・レイ)氏が、「ウーラマは夏季商戦に数十億元を投じる」と公表。36Krが入手した情報によると、そのうち30億は利用者への金券や割引で発生する赤字補填に当てられ、投資頻度は毎月10億元ずつとのこと。

ž 7月16日、ブルームバーグ社が、「ウーラマは新規に20億ドルの資金調達に走る」と報道。これに対し王磊氏は、「ウーラマがアリババ以外からの資金提供をうけることはない」と答えた。

ž 7月22日、ウーラマはエージェント大会を開催、「一年目は市場シェア率50%、二年目に80%、三年目には全制覇を目指す」と公言した。

アリババに買収される以前、ウーラマと美団は出前サービスの二大巨頭として、市場シェア率も二分していた。2018年4月、ウーラマはアリババの新販売体制に正式加入、アリババ軍の一部隊として前線に出ることとなった。しかし、美団の長年のライバルとの自負は健在で、アリババグループ総体としてのブランド力を利用し、ライフスタイルサービス市場での美団との競争に打って出ようとしている。

「美団がIPOを進める過程において、何らかのパフォーマンスをすることはほとんどない。これがウーラマにとって、話題作りのチャンスとなっている」と、あるネットウォッチャーは言う。「ウーラマの一連の行動は、美団の上場をターゲットにしたもの。私個人の考えだが、美団に奇襲をしかける好機をウーラマが逃すはずがない」

ただ、同ネットウォッチャーは、ウーラマが打ち出した三大目標は実情にも、市場ルールにもそぐわないと指摘する。「1年目で市場の50%、2年目で80%、3年目で全部だなんて、これが実現できる可能性はただ一つ、美団が何もしない場合のみ」

「ウーラマが今の市場シェア率に自信がないことの表れ。何とかして先頭を追い抜こうとしている」

王磊氏はかつて淘点点(タオバオ、淘宝のグルメサイト)で製品技術監督を務め、グルメプラットフォーム管理の経験がある。アリババが王氏にウーラマCEOを任せた理由の一つかも知れない。先のネットウォッチャーはこうも分析する。「アリババは潤沢な資金を提供して、ウーラマの赤字補填作戦をサポートする。この時点ではウーラマが優勢だ。だが、鋭い嗅覚で戦局を読むアリババのこと、資金投入後の市場局面に何の変化もないようであれば、王磊氏は兪永福(ヤン・ヨンフ)氏と同じ運命、辞職か左遷を迫られるだろう」

「重圧を背負った王磊氏を大将としたウーラマ軍が次々と打って出るのは、背水の陣といった印象だ。」

上場後の美団は今後どう歩むべきか

以前、「ウーラマ、20億ドル資金調達か」とのニュースが出た際、ある投資家がこうコメントした。「ウーラマは資本金が多額で、他ジャンル企業を買収すれば資産規模の拡大が可能となり、まだ参入していないエンターテインメントや住宅、旅行といった産業チェーンへと展開することができる」

同投資家はさらに、「ウーラマが学ぶべき対象としているのは依然として美団であり、飲食エンタメのすべてを網羅した美団ストーリーは、輝いて見えるだろう。」とも。

ウーラマが30億元を投入して赤字補填することや市場シェア率を奪おうとしていることについて、別の投資家は36Krにこう語った。「今回の赤字補填戦略は長期化するはずもなく、とことん戦ったところで勝ち負けはない」

「出前サービスがウーラマのメイン業務だが、上場後の美団は必ずしもそうではない。美団が最終的に目指すのは、大規模かつトータルでのライフスタイルプラットフォームだ。ウーラマが市場を奪おうとするのは、決して容易なことではない」

美団CEO王興曽(ワン・シンセン)氏から、「美団の出前サービスの受注数は一日に2,100万件だが、出前市場にはまだ大きな伸び代がある」との発言があったことについて、この投資家は、「出前サービス市場は大きくダウンする可能性もあり、美団は落ち込みをカバーするために散財することもあり得る」と予想する。

「ただ、この点を流通市場投資者が追求するとは思えないので、時価総額には大きな影響はない」。同投資家はさらに続ける。「美団の現在のキャッシュフローは良好、銀行や他の金融機関から低額融資を受けるのも可能、2、3年散財したところで問題はない。ウーラマはアリババで金を用立てるしかないが、アリババもいつまでも資金供給するはずはない。アリババは他にも金を使わねばならないから」

最後に同投資家はこう締めくくった。「美団は業務拡張に伴ってプラットフォーム化が進み、すでにその頭角も現れ始めているが、ウーラマはアリババの一部門との位置づけがますます顕著になっている」

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