「夜のスターバックス」を目指してチェーン展開 カジュアルバー「Helen’s」が3300万ドル調達 

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チェーン展開するカジュアルバー「Helen’s(海倫司小酒館 )」がこのほど、初の資金調達を果たした。調達額は3300万ドル(約34億8000万円)、リード・インベスターは「黒蟻資本(BA Capital)」、コ・インベスターは「中金公司(CICC)」が務めた。36Krの独自取材で明らかになった。

ある消息筋は、Helen’sはキャッシュフローが良好で急速に成長しているが、これまでに外部からの出資を受け入れていないと指摘する。また、今回の資金調達が非公開市場における最初で最後の資金調達になるだろうとの見方を示している。

公開されている資料によると、Helen’sは「夜のスターバックス」を目指しており、完全直営方式でチェーン店を運営し、若者向けに社交とくつろぎの場を作り出そうとしている。2020年は、コロナ禍にもかかわらず100店以上を新規開店した。同年末時点の店舗数は中国国内約80都市で351店に達している。同社は今後も、完全直営店舗をスピーディーに展開していく方針だ。

創業者の徐炳忠氏は2005年にラオスでバーを開店し、チェーン展開に向けて歩み始めた。2009年にはHelen’sブランドを立ち上げ、学生街として知られる北京市内海淀区の五道口に1号店を出店した。コストパフォーマンスの高さと差別化路線で、まずは留学生をはじめとする外国人をターゲットに知名度を上げ、その後はターゲットも広げながらチェーン展開を進めてきた。Helen’sは現在、自社開発したフルーツビールなどのオリジナル商品、独自ルート、自社ブランドを三位一体とした運営を行っている。

中国にはバーなどの酒類提供飲食店が約10万店あり、市場規模は1兆元(約16兆円)に上るものの、業界構造は極度の分散傾向にある。300店以上をチェーン展開するHelen’sは現在、業界トップに立っている。

バーのビジネスモデルは、カフェと最も近く、市場規模も同等だ。しかし、ブランド名を冠したチェーン店の割合は、バーよりもカフェのほうが明らかに多い。スターバックスは、中国に14万店あるカフェの約3%に当たる約4700店を展開している。

Helen’sは、主に20〜35歳の若者をターゲットとしている。彼らはスターバックスの客層と同様、信頼のおける有名ブランドや透明性のある価格設定、気軽にくつろげるムードを求めている。Helen’sがスターバックスと異なるのは、コストパフォーマンスを極限まで追求している点だ。Helen’sは現在のところ、ほとんどの瓶ビールの価格を10元(約160円)以内に抑えている。

都市化が進み、住民の収入レベルが上がったことで、夜も仲間と集りたいというニーズがより一般化・日常化し、バーのような場が「サードプレイス」になろうとしている。この流れは、リーズナブルに楽しめるバーが、カフェチェーン並みに大量出店できる可能性を後押しするだろう。Helen’sが成長する余地は、まだまだ大きい。
(翻訳・田村広子)

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