中国人もメルカリで「宝探し」 副業で100万円以上稼いだケースも

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今、中国にいる多くの日本製品愛好家から「宝箱」と目されるようになっているメルカリ。日本最大のフリマアプリであるメルカリは中国では「媒炉(meilu、石炭ストーブの意)」と名付け、ここで掘り出し物を見つける達人は「挖媒人(石炭を掘る人の意)」と呼ばれている。ショート動画アプリの「抖音(Douyin)」や「快手(Kuaishou)」のほか、Q&Aサイトの「 知乎(Zhihu)」 やソーシャルECの「小紅書(RED)」にもメルカリの攻略法や関連記事が大量にアップされており、中国国内の関心の高さがうかがえる。

メルカリは今月1日、アリババと提携して越境販売を行うと発表した。今後はアリババグループが運営する中国最大のフリマアプリ「閑魚(Xianyu)」やECモール「淘宝(タオバオ)」で中国の消費者が直接メルカリの商品を購入できるようになる。注文後、日本のECサービス支援企業「BEENOS(ビーノス)」が商品を代理購入し、中国の消費者へと発送する仕組みだ。

メルカリと閑魚の違いは

閑魚もメルカリも同じくフリマアプリだが、国内のEC業者のやり方に慣れた中国の消費者が「メルカリモデル」に適応できるとは限らない。

例えば商品購入の際、メルカリにはダイレクトメッセージ機能がないため、気に入った商品があれば商品紹介ページ下部にあるコメント欄を通じて販売者とやり取りをするしかない。こうしたやり取りではタイムラグが避けられず、効率も低い。ダイレクトメッセージが利用でき、販売者から即座に返信がもらえることに慣れている中国の消費者にとってはこの点がどうも不可解に映るようだ。

「メルカリでは販売者に購入者の名前や住所が明かされない。購入者の情報が入ったQRコードが発行されるので、販売者はそれを利用して商品を送ればよい。アフターサービスもなく、取引は完全に運頼みだ」と日本に留学中の中国人学生・柴さんは説明する。メルカリでは取引を完了するために、取引相手に対して「良い」または「悪い」などの簡単な評価をつける必要がある。

これは完全に信頼関係に基づいて構築されたシステムだ。日本では購入希望者に悪い評価が多い場合や、メルカリ初心者でまだ評価がない場合、その相手に対して売らないという選択をする販売者もいる。これも中国国内でメルカリの代理購入や代理取引をするビジネスが数多く生まれた理由の一つだ。

メルカリで「宝探し」 副業として3年で160万円以上稼いだ在日中国人も

中国の消費者がメルカリで商品を購入するのは非常に手間がかかっていた。主な理由は二つあり、一つはメルカリの登録には日本の携帯電話番号が必要なこと、もう一つは国際クレジットカード非対応で、日本国内で発行されたクレジットカードを利用する必要があることだった。そのため、多くのメルカリ代理購入事業が誕生し、閑魚や淘宝にはメルカリの商品リンクが多く貼られ「メルカリでの代理購入引き受けます」などのタグがつけられるようになった。

この背後には、メルカリで掘り出し物を見つける「挖媒人」の存在がある。大部分は日本で留学・仕事をしている中国人だが、日本人も一部いるという。

在日中国人の柴さんは2018年からメルカリでの代理取引を始めた。主に販売するのはアイドル関連商品だが、商品選択には彼女なりのロジックがある。電子製品のように発送が大変な商品の代理取引はしない。商品はEMSや航空便を使ってまず中国まで送り、そこから改めて国内の宅配業者を使い目的地まで発送する。この方法で、柴さんは余暇を利用し、過去3年間で10万元(約160万円)以上を稼いだという。

代理取引ビジネスのほか、メルカリで中国の小物を販売するのもおいしいビジネスになるという。ある販売者によると、淘宝で60元(約1000円)前後のビーズがメルカリでは300~400元(約5000~6700円)で売れるという。日本ではハンドメイド製品に人気があるため、手芸材料の価格が高いからだ。

ここで注目すべきなのは、中国では多くの消費者が国内でもメルカリが利用可能になるのを今か今かと待っているものの、現実的に見ると、プラットフォーム間の越境提携には克服すべき課題が複数あることだ。

まず、売り手と買い手とのコミュニケーションをどのように解決するかという課題がある。メルカリのように、信頼関係に基づいてのんびり構えた従来のビジネスモデルを中国国内にそのまま当てはめることはできない。中国の消費者が商品に関して問い合わせをする際、どのようにして言語の壁を取り払うのか。第三者プラットフォームを利用して取引をサポートしてもらうとしても、コストがかさんでしまう。次に、メルカリの収益モデルは中国国内のフリマサイトとは全く異なる。この点に関してどのように折り合いをつけるかも課題になる。さらに、物流面の課題も出てくるだろう。

作者:WeChat公式アカウント「電商在線(ID:dianshangmj)」、王亜琪
(翻訳・山口幸子)

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