新たなユニコーン誕生、企業向けオンライン研修の「雲学堂」が200億円超調達 テンセント出資

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企業向け研修プラットフォーム「雲学堂(Yunxuetang)」がシリーズE資金調達のクロージングを完了したことがわかった。そのうち、シリーズE1はテンセント(騰訊)が単独で出資、シリーズE2では「経緯中国(Matrixpartners China)」がリード・インベスターを務め「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」「弘卓資本(HUNDREDS CAPITAL)」がコ・インベスターを務めた。雲学堂は6カ月以内にシリーズE1・E2で合計1億9000万ドル(約209億円)を調達している。今回の資金調達では「指数資本(Index Capital)」が単独で財務アドバイザーを務めた。

雲学堂は以前にも「大鉦資本(Centurium Capital)」「雲峰基金(YF Capital)」「海納亜洲創投基金(SIG Asia Investment)」「Ximalaya(喜馬拉雅)」「朗瑪峰創投(Everest Venture Capital)」などから複数回の資金調達を行っている。今回シリーズE2の資金調達を完了したことで、同社は企業向け研修サービス業界では資金調達回数・調達資金ともに最多の企業となった。同時に評価額が10億ドル(約1100億円)を超えるユニコーン企業となった。

今回調達した資金はAI技術とソフトウエア製品の刷新、データ・ITミドルオフィスプラットフォームの構築、コンテンツ製品エコシステム性能の向上などに充てられる。

オンラインで行う企業向け研修に対する市場ニーズは昨年の新型コロナウイルス流行を受けて爆発的に増加。リモートワークから始まり、企業向けのオンラインサービス分野全体で需要が急増した。クラウドオフィスやクラウド型Web会議などオフィス関連のニーズが激増した結果、企業向け研修のSaaSを手掛ける企業も成長してきた。

オフラインで行う従来型の企業向け研修サービス市場も毎年大幅に成長していたが、コロナ禍を機に研修を行う場がオフラインからオンラインへと一気に移動したかたちだ。

また、感染症流行の影響を受けて多くの中小企業が存続の危機に立たされており、デジタル化と緻密な経営へ取り組む必要に迫られている。そのためには企業の組織力と各社員の能力向上が必要だ。雲学堂では、これらの企業が社内の人材育成をさらに重要視するようになり、企業向け研修サービス市場は大きく成長すると見ている。

中国の調査会社「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」のデータによると、中国の企業研修市場規模は昨年7681億元(約12兆9000億円)に達しており、2025年には9000億元(15兆1000億円)を突破すると見られている。

しかし同市場は極めて分散している。市場規模は1兆元(約16兆8000億円)近いものの、工商登記に登録されている企業は3000万社以上もあり、そのうち90%以上を中小企業が占めている。

雲学堂は現在「SaaS+コンテンツ」というビジネスモデルを主力としており、まずはソフトウエア、次にコンテンツ、その後に運営とコンサルティングに力を入れていく戦略だ。

同社は初期にはコンテンツをアウトソーシングしており、サプライヤーから集めたコンテンツを販売して顧客自身でカリキュラムを選択できるようにしていた。しかし顧客のニーズを満たすことができる良質なコンテンツはわずかで、オンライン学習体験に適したコンテンツは特に少なく、中でも学習効果をもたらすことができるオンラインカリキュラムはさらに少ないことがわかった。そこで同社はカリキュラムの規格とシステムを自社で構築することにした。コンテンツエコシステムを構築し、コンテンツの開発に大規模投資を行い、各役職に向けた業界シリーズのソリューションを発売することで、顧客のカリキュラム選択を容易にした。

昨年、雲学堂は顧客企業の従業員教育をサポートしていくため、デジタル化コンサルティングと企業向け研修の運営サービス事業をスタートさせた。

企業向け研修サービス市場の展望について、シリーズE1で出資したテンセントの姚磊文董事総経理はこう述べている。「企業向け研修サービス市場は現時点でデジタル化が不十分で、サービスも分散している。同市場ではSaaSだけでなく、カリキュラムやコンサルティング、運営などが密接に関連した産業チェーン能力が必要とされている。雲学堂は業界大手として10年の経験を持ち、顧客企業のコスト削減と効率向上、効果的なデジタル化を実現させることができるだろう」

(翻訳・山口幸子)

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