GojekとTokopediaが合併、その背景と新企業「Goto」の実力

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4月14日、インドネシアの大手インターネット企業である「Gojek」と「Tokopedia」が合併することが決定したと報じられた。合併後の企業名は「Goto」となり、早ければ今月中にも手続きが完了する。

Gojekは2009年創業で、2015年にGojekアプリをローンチした。始めは20人のバイクタクシー運転手しか利用していなかったGojekは、今やモビリティ、フードデリバリー、ファイナンスなどの業務を抱えるユニコーン企業に成長した。Tokopediaは2009年創業のインドネシアを中心とするECプラットフォームで、ソフトバンク・グループから複数回資金調達をしている。

この合併により、東南アジア全体で見ても有数の規模を持つライドシェア、デリバリー、物流、ECを傘下に持つ巨大企業が誕生する。

合併の背景

Gojekは競合相手であるシンガポールのライドシェア大手「Grab」との合併を検討していたこともあったが、インドネシア市場での方針について合意できなかったため、交渉が決裂した。その後Tokopediaとの交渉が急ピッチで進んだ。

このタイミングで合併したのは、東南アジアのスタートアップへの注目度が国際的に高まっているためだ。Grabは米の投資会社「Altimeter Capital」が持つSPAC(特別買収目的会社)と合併し、ナスダックに上場することを発表した。SPAC上場の場合、通常のIPOよりも速く上場できるのが特徴だ。Grabはライドシェア、デリバリー、ホテル予約、ネットバンク、モバイル決済、保険などの事業を運営しており、Gojekと競合する分野が多い。

また、ブルームバーグの報道によれば、インドネシアのオンライン旅行代理店ユニコーンである「Traveloka」が、こちらもSPACの「Bridgetown Holdings」と合併し上場することについて交渉中だという。インドネシアのECプラットフォーム「Bukalapak」についても年内の米国上場を目指すという報道が流れている。

合併にはGojekとTokopedia各自の業務からの考慮もある。Tokopediaのアクセス回数、GMV(流通取引総額)は、シンガポールのECプラットフォーム「Shopee」に全面的に劣り、その上インドネシア本土では上記Bukalapakのほか、「Blili」、「Elevenia」、「Bhinneka」、「Zalora」、「Qoo10」といったECも活躍しており、市場の競争は激しい。

Gojekに関しては、すでにインドネシアのデリバリーのシェアの40%をGrabに奪われてしまっている。決済においても、Gojek傘下の「GoPay」はインドネシアの「OVO」との競争にさらされている。

上記の背景からすれば、GojekとTokopediaの事業と戦略は相互補完的であり、合併の利点は大きい。また、両社はともにアリババ、グーグル、テマセク・ホールディングスから投資を受けており、合併する上での障害が少ないため、交渉がスムーズに進んだのだろう。

新企業Gotoの実力

現地メディアの報道によると、新企業Gotoにおいては、旧Gojekが株式の60%を保有し、残りを旧Tokopediaが保有するという。Gotoの最高経営陣は4人からなり、旧Gojekと旧Tokopediaからそれぞれ2人任命される。

合併前のGojekの評価額は105億ドル(約1兆2000億円)、Tokopediaは75億ドル(約8000億円)だ。東南アジア市場への注目度が高まっていることもあり、このインドネシア史上最大の合併が完了すれば、評価額は350億ドル〜400億ドル(約3兆9000億円〜4兆4000億円)になると見られている。ロイターの報道によると、新企業は今年下半期にインドネシアで上場し、来年に米国上場する予定だ。現在米国で上場している東南アジアの大手インターネット企業はシンガポールの「Sea Group」しかない。

東南アジアの人口は約6.7億人で、昨年のインターネットエコノミーの市場規模は1000億ドル(約11兆円)で、今後3000億ドル(約33兆円)に成長すると見込まれている。ともにインドネシア発の企業であるGojekとTokopediaが合併すれば、現地の投資家や行政からより期待されるのは間違いない。しかし、Sea Groupとの競争を考えれば、法律事務所の「Withers」所属の弁護士Joel Shen氏が話すように、「GojekとTokopediaは、自分たちがインドネシアの国内企業に収まらない可能性があることを証明しなければならない」のである。

(翻訳・小六)

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