EV企業の“黒幕”、パナソニック抜き車載電池世界首位に:CATL10年史(上)

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業編集部お勧め記事注目記事

EV企業の“黒幕”、パナソニック抜き車載電池世界首位に立つ:CATL10年史(上)

続きを読む

米経済紙Forbesが今月3日までに公表した世界長者番付によると、駆動用バッテリー中国最大手「寧徳時代(CATL)」の曾毓群(Robin Zeng)董事長が42位にランクインし、保有資産は345億ドル(約3兆8000億円)に達した。

曾氏率いるCATLは日本、韓国の独壇場だったバッテリー業界をどのように変え、事業を拡大してきたのか。そして今後の方向性について掘り下げる。

新エネルギーが富を生む

2021年の資本市場最大の主役といえば、新エネルギーとスマートカーだろう。

米テスラ株はたった1年で700%以上も値上がりし、中国の新興電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」、「理想汽車(Li Auto)」、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」の3社の時価総額も倍増。新興自動車メーカートップの保有資産も「爆増」している。

CATLは上述の企業を支える「巨大な影武者」だ。世界最大手の駆動用バッテリーメーカーとしてテスラなどの自動車メーカーとしてはまだ新しい企業にも、ベンツやホンダといった老舗企業にも製品を供給している。

駆動用バッテリー搭載容量の増加を受け、同社の株価は2019年末には1株当たり107元(約1800円)だったのが現在は384元(約6500円)に上がり、時価総額は8945億元(約15兆円)に達した。

世界一になるまで

CATLは2011年に創業後10年しか経っていない若い企業だ。創業者の曽氏は中国福建省の農村で生まれ、上海交通大学で船舶工学を学び、広東省東莞市の「新科磁電」で10年間エンジニアとして修行を積んだ。

1999年に香港でリチウムイオン電池を手掛ける「新能源科技(ATL、2005年に大手電子部品メーカーTDKが買収)」を設立。主にモバイルバッテリーを作っていた同社はコストパフォーマンスの高さを武器に2003年以降アップル、vivo、ファーウェイ、サムスンといった大手メーカーに製品を供給し、事業拡大を進めていく。

当時、外資企業による駆動用バッテリーの完全生産は規制されていたため、2011年ATLは駆動用バッテリー事業を切り離し、福建省寧徳市に寧徳時代新能源科技有限公司(CATL)を設立した。複数回にわたる株式の調整を経て、同社は純中国企業となっている。

モバイルバッテリー事業が一定の実績を上げると、曽氏は新エネルギー車業界でバッテリー供給が不足している問題に気付く。そこから駆動用バッテリーの開発がスタートした。

駆動用バッテリー市場は当時、日本・韓国が席巻していた。中国のバッテリーメーカーは低コストのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー市場にとどまり、エネルギー密度が高く航続距離の長い三元系リチウムイオンバッテリーを作ろうとはしなかった。CATLはLFPバッテリーの生産を続けながら、三元系リチウムイオンバッテリーの生産に挑戦することを決める。

2011年、BMWの中国合弁会社「華晨宝馬(BMW Brilliance Automotive)」が自動車業界として初のCATLの顧客になり、同社製の駆動用バッテリー搭載車が誕生した。

2016年、中国政府は航続距離の長い駆動用バッテリー、特に三元系リチウムイオンバッテリーを生産する企業に助成金の支給を始めた。これがCATLにとって追い風となる。

2017年から2019年の間に、同社の駆動用バッテリーの搭載容量はLG化学、パナソニック、サムスンなどを抜いて世界一となった。そして2018年6月に深圳の新興企業向け市場「創業板(ChiNext)」に上場を果たす。当時の時価総額は9000億元(約15兆円)を超えていた。

同社は海外でもハイスピードで事業を拡大させている。2020年1月までは欧州で事業展開していなかったのが、同年年末にはバッテリーベンダーとして欧州第4位に躍り出た。

一方、過去数年劣勢状態にあったLFPバッテリーも近年需要が増加傾向にある。2019年まで三元系リチウムイオンバッテリーが市場シェア70%以上を有していたが、製品の自然発火事故が相次いだことを受けLFPバッテリーにシフトする動きが出ているのだ。先月9日、曽氏は今後3~4年でLFPバッテリーの生産能力を引き上げることを表明した。

同社は事業提携、投資といった形で川上から川下まで事業を拡大している。2020年8月には証券投資の形で国内外の川上、川下企業へ投資し、その額は190億元(約3200億円)に達した。また、先月末には今後1年で国内外の川上、川下の上場企業へ同額程度の投資を検討していることも公表している。

製品の種類も拡大させる見通しだ。同社とATLは最近、家庭用蓄エネルギー、電動二輪車などの中型二次電池を生産する合弁会社2社を設立する計画を発表した。2社の総投資金額は合計140億元(約2400億円)に達する見込みだ。

この他、バッテリー以外にも新しいビジネスを検討している。

上海交通大学の創立125周年を祝う式典で、曽氏はカーボンニュートラルに関する考えを示し「蓄エネルギーと発電分野で化石エネルギーに代わるものとして新型のソーラーバッテリーを投入したい。また、鉱業分野でスマート化、電動化を手掛ける企業と連携し、無人化を実現したい」と語った。

後編:巨大な影武者として確立した地位、激化する競争

(翻訳:Qiunai)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録