BYD、世界の半導体危機は千載一遇のチャンス。事業独立で他社にも提供へ

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中国は半導体の需要が非常に旺盛だが、現在も半導体技術は一部の外国企業が握っている。

こうしたなか、EV大手「比亜迪(BYD)」が中国の自主ブランドとして初めて新エネルギー車のラインオフ台数100万台を達成し、BYDの車載用MCU(マイクロコントローラー)を搭載した車が1000万台を突破した。中国産MCUは自動車分野において重要な一里塚ともなる。

BYD製MCUの歩み

BYDは2003年に自動車半導体事業部を立ち上げ、04年に半導体事業部を正式に設立、登録した。09年に第1世代の産業用MCUを発売。18年に第1世代の8ビット車載用MCUを発売後、19年には第1世代の32ビット車載用MCUを自社の全車両に搭載し、自動車のインテリジェント化を実現した。

現在、BYDの半導体製造会社「比亜迪半導体(BYD Semiconductor)、以下BYD半導体」はパワー半導体、スマートセンサー、スマート制御IC、光半導体および製造・サービスなどの五大分野における光、電気、磁気のなど信号の感知、処理、制御を手掛ける。同社が開発、生産した車載用および産業用MCUは出荷数が20億個を超え、自動車、エネルギー、家電、工業、通信、電子機器などで広く使用されている。

BYDが半導体危機における最大の勝ち組になるか

BYD半導体は十数年かけて中国最大の車載用IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)メーカーになったが、収益力が弱く、世界の半導体不足が叫ばれる間にBYD内だけで自給自足する環境から抜け出すことが急務となっている。

そこで、BYD半導体は昨年、セコイア・キャピタル、中金資本(CICC Capital)、大手スマートフォン・IoT家電メーカーのシャオミ(小米科技)、大手自動車メーカー「北京汽車集団(BAIC Group)」や「上海汽車集団(SAIC MOTOR)」傘下の投資会社など国内外の投資機関の出資を受け、評価額は102億元(約1800億円)に達した。

データ提供:中国企業情報サイト「企査査(Qichacha)」

今年5月、BYDは半導体事業の分離上場を発表。BYDは07年にも電子部門を分離上場させている。19年には、動力電池、パワートレイン(推進装置)のほか、自動車用の電子機器、鋳型、照明の5つの自動車関連事業を相次いで分社化。新エネルギー車の部品に関するすべての重要分野が対象となった。

子会社は外部からの投資を受け入れて独立採算となるため、親会社は子会社への投資を減らして利益率を改善し、自身の事業に専念できる。

現在の半導体危機はBYD半導体にとって千載一遇のチャンスだ。自社でより機動的な意思決定が可能になり、半導体を必要とする自動車会社やIT企業に製品を供給し、シェアの急拡大を狙える。

まとめ

中国では、国産の半導体技術の開発が進んでいる。新エネルギー車と自動運転車が急速に広がるなか、今こそ車載用半導体の国産化が必要だ。

幸い中国の半導体産業の国産化の勢いは激しく、BYDは自動車分野で際立った存在だが、さらに多くの企業がMCU分野に進出し、この半導体危機にあって中国製半導体が百花繚乱の様相を呈して世界の注目を受けるだろう。

作者:WeChat公式アカウント「鋒出行(ID:fengchuxing2021)」小猿日車

(翻訳・二胡)

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