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小売向けの顧客インサイトSaaSを提供する「商雀科技(SUNQDIGIT)」が、プレシリーズAで数千万元(数億円)の資金調達を行ったことがわかった。出資者は「樹新資本」。
商雀科技は2019年創業の若い企業で、コンピュータビジョンアルゴリズムとデータマイニング技術を駆使した顧客インサイトSaaSを提供している。主な顧客ターゲットはショッピングセンター、チェーンストア、自動車ディーラーだ。
同社の中核技術は新しいAIカメラ、オフライン店舗の消費者のデジタルIDシステム、消費者行動分析モデルである。これらの技術に基づき、オフライン店舗の人の流れを数値化し、AIで顧客行動を分析するSaaSプラットフォームを提供する。顧客はそれぞれ単独のIDとして管理され、一人ひとりがどのような消費行動をとったのかを識別できる。
創業者の郭江氏によると、EC業界では販売や消費行動がほぼデジタル化されているが、オフラインではまだ改善の余地が大きいという。しかし、オフラインで顔認識などによって個人を識別するのは、プライバシー保護の観点から問題視されている。中国は今年4月に『情報セキュリティ及び顔認識のデータセキュリティに関する要求』を公布し、顔認識技術の応用について制限した。そのため、商雀科技は顧客を識別する技術を修正し、顔以外で一人ひとりを見分ける手法を開発した。それがデジタルIDシステムだ。
郭氏は、「システム上で人間は関数として処理され、顔写真などを保存しない。その他の個人情報もすべて加工されることになり、収集したデータからその人が誰であるかを識別することができないようになっている」と話す。
商雀科技の収益は、主にAIカメラなどのスマートデバイスの販売とSaaSの年会費からなる。同社が調べたところ、ショッピングセンターでは顧客行動分析へのニーズが高いにも関わらず、デジタルツールを導入したテナントは5%未満である。そのため、同社はショッピングセンターへの営業を強化し、2020年時点で、50以上のショッピングセンターの顧客を獲得している。今後も同分野でより多くの顧客が見込まれる。
中国政府は「業界全体のデジタル化」を提唱しており、郭氏はその考え方に沿って、小売の現場を支えるだけでなく、商品の生産、開発にも有用なデータを形成する構想を持つ。最終的には、自社のプラットフォーム上に小売産業に関わる企業を集約させ、中小企業でも手軽に必要なデータを取得できるようにしたいと考えている。
郭氏は商雀科技を創業する前、ロボットビジョンの「閲面科技(ReadSense)」でプロダクトマネージャーを勤めていた。同社の創業メンバーの多くが閲面科技、「商湯科技(SenseTime)」など著名なAI企業の出身である。
(翻訳・小六)
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