DJIがアメリカで標的に?実は中国企業2社の争い

ZTE(中興:ジョンシン)の次は、中国ドローンメーカーの「DJI(大疆:ダージァン)」がアメリカの標的になった。しかし、今回はアメリカ人によってではなく、中国企業(正確には、中国企業の米国子会社)に告訴された。

米国商務部は公式サイトで以下の通り公表している。

8月30日に米国1930年関税法337条に則って、Autel Robotics社が米国国際貿易委員会(ITC)に調査依頼を申請した。DJI(大疆創新)と関連会社のアメリカへの輸出において、そのドローンとパーツがAutel Robotics社のアメリカへの輸入またはアメリカでの販売占有権を侵害しているとして、ITCに対して、337調査を行い有限排除令と禁止令を発動することを請求したものである。

337調査の調査対象は、輸入製品によるアメリカの知的財産権の侵害、および輸入貿易おける不公平な競争である。権利を侵害された当事者は、ITCに対して調査依頼を申請することができ、また関連する制裁措置を要求することができる。

実は、Autel Roboticsは中国企業の米国子会社で、親会社は2014年に設立された「道通智能航空技術有限公司」(ダートン・インテリジェンス)だ。DJIと同様に本社は深圳。この裁判では故郷を同じくする2社がアメリカで争うことになる。

天眼査(テンイェンチャ)によると、道通智能の株式の91.25%は李紅京(リー・ホンジン)が保有している。李紅京は、2004年に、自動車、エレクトロニクス、自動車診断装置を販売する道通科技を設立した後、ドローン市場に参入した。

今年4月にAutel RoboticsはDJIをアメリカで告訴し、4月25日にはDJI傘下の3社(DJI Technology Inc.、SZDJI Technology Co. Ltd.、DJI Europe B.V.)もニューヨーク南部連邦地方裁判所で特許侵害訴訟で告訴された。

この訴訟の中で、道通智能は、DJIの“御Mavic”シリーズ、“晓Spark” シリーズ、“精灵Phantom” シリーズ、“悟Inspire” シリーズなど多くのドローン製品が2件の特許を侵害していると主張。いずれも現在販売されており、大半がDJIの主要製品だ。

逆に、DJI側も道通智能を被告席に立たせている。

2016年8月11日、DJIは道通智能のマルチローター無人機の上部と下部のケース一体化構造が3件の米国発明特許(9,016,617号、9,284,049号、9,321,530号)と米国外観デザイン特許1件を侵害していると主張し、2016年8月11日にデラウェア州地裁に告訴した。

2017年5月19日、DJIはワトソン西部連邦地方裁判所でさらに道通を告訴し、特許侵害を主張した。この裁判は前述の裁判との合併審理となっている。

これ以前にも、DJIは中国で道通を告訴し、デザイン特許権の侵害を主張したが、2審で敗訴する結果となっていた。

アメリカの方が知的財産権保護に対して厳格であり、また337調査では中国企業の敗訴率が高いため、道通にとって今回のアメリカでの訴訟は賢い選択だろう。

大部分の収入を海外から得ているDJIは、本件を見て見ぬふりをすれば、間違いなく大きな打撃を受けることになる。

しかも、この裁判は米中貿易紛争の最中に行われることになるので、勝訴したとしても、中国では道通が非難される可能性がある。

ZTEは道通の投資家でもあり、非常に重い制裁を受けたばかりなのだ。

現時点では、本件は審査の最中。ITCは、申請を受理した後で審査に入り、30日以内に書類送検するか否かを決める。書類送検されたら、その後調査が開始される。

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