スマートマニュファクチャリング支援の「SmartMore」、約220億円調達でユニコーン企業に

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

スマートマニュファクチャリング支援の「SmartMore」、約220億円調達でユニコーン企業に

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

AIテクノロジーを手掛ける「思謀科技(SmartMore technology)」(以下、SmartMore)がシリーズBで2億ドル(約220億円)を調達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。既存株主であるIDGキャピタル、「基石資本(Co-Stone Capital)」「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」「聯想創投(Lenovo Capital and Incubator Group)」などが出資した。

SmartMore

SmartMore は2019年12月に設立され、マシンビジョンによる自動検査を切り口にビジョンAI製品を提供してきた。AIシステムアーキテクチャを構築したことにより、ソフトウェアのアルゴリズムだけでなく、ソフト・ハードウェアを一体化した製品を提供できるようになった。現在は、自動車製造や家電、半導体、精密光学など多くの分野でスマートマニュファクチャリング()をサポートしている。

大手調査会社「マーケッツアンドマーケッツ(MarketsandMarkets)」のレポートによると、世界のスマートマニュファクチャリング市場の規模は2020年に2147億ドル(約24兆円)に達し、12.4%の年間成長率を維持している。「高工産業研究院(GGII)」のデータによると、2019年のマシンビジョン市場の規模は、前年同期比21.77%増の65億5000万元(約1100億円)(コンピュータビジョン市場の規模は含まない)だった。2014〜19年の複合年間成長率(CAGR)は28.36%で、2023年には155億6000万元(約2700億円)に達する見込みだ。

マシンビジョン分野では、キーエンスやコグネックスなどの大手工業機器メーカーが離散型生産における製品の外観検査をメインに市場シェアを占めている。中国国内でも多くのテクノロジー企業がスマートマニュファクチャリング分野に参入している。テンセントやバイドゥ、アリババなどのインターネット大手が参入しているほか、「創新奇智(AInnovation)」や「阿丘科技(Aqrose Technology)」など、この分野に特化したスタートアップも誕生している。

SmartMoreが自社開発した工業用AIオペレーションシステムには、仕分け、データ分析、ポジショニングおよび品質検査が可能な10数種類のAIアプリが含まれている。SmartMoreの次世代AIシステムアーキテクチャはマルチモーダルな学習が可能だ。

同社はまた、工業向けAIプラットフォーム「SMore Vimo」、スマートバーコードリーダー「SMore ViScanner」、スマートカメラ「SMore ViNeo」、工業用スマートイメージングシステムなど、ソフト・ハードウェアを一体化した製品を相次いでリリースし、フルスタックなAIマニュファクチャリングシステムを構築した。

充実した製品ラインアップの中からソフト・ハードウェア製品を自由に組み合わせ、顧客の問題を解決することができ、。各業種に合わせた製品を30種類以上揃えている。すでに航空機や自動車、新エネルギー電池、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、チップ、精密光学機器、ディスプレイなどの生産現場に導入されており、80%以上の顧客が生産ライン上での正式運用を開始している。

SmartMoreの沈小勇CEOは「当社製品の強みは、さまざまな業界で活用できることだ。顧客への納品に昨年までは3カ月から半年程度かかっていたが、現在は1カ月程度にまで短縮した」と述べている。

自動車生産分野では昨年10月、SmartMoreのソフトウェアとハードウェアを一体化したAI検査製品が世界500強企業に入る自動車部品メーカーの生産ラインに導入され、現在はテスト運用が行われている。この製品は既存の生産ラインの検査プロセスを短縮し、23種類の欠陥タイプを自動的に識別する。検査精度は100%に近く、検査効率は80%上昇した。

精密光学分野では、業界をリードする光学レンズ企業と提携し、光学レンズ上にプリントした肉眼では見えないQRコードをAIに読み取らせることで、レンズの識別から分析、仕分け、包装までを自動で行える装置を開発した。各レンズ上にプリントされたQRコードには度数や色、素材メーカー、コーティングの種類など50種類以上のデータが含まれるが、SmartMoreの設備はそれらを0.2秒で解読することができる。この設備はすでに提携企業の複数の工場に導入されている。

半導体の分野では、複数の国家重点企業と提携し、ウエハ検査からPCB分析、構造解析までを自動で行えるAIとソフト・ハードウェアを一体化した設備を10セット以上発売している。SmartMoreは設備の精度が99.99%に達すると紹介している。

SmartMoreは年間売上高の目標を数千万ドル(数十億円)としている。沈CEOによると、売上高の70%がスマートマニュファクチャリング関連、30%が超高精細動画ビジネスだとのこと。

同社の顧客企業には独光学機器大手のカール・ツァイス、欧州航空宇宙機器大手のエアバス、独自動車部品大手のボッシュ、米石油メジャーのシェブロン、米日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)など各業界のトップ企業が含まれている。

今回調達した資金は市場開拓とスマートマニュファクチャリング製品の研究開発に充て、より多くの生産現場に製品が大規模導入されるよう働きかける方針だという。
(翻訳・普洱)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録