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中国の新興EV(電気自動車)メーカーの2021年上半期の「成績表」が出揃った。納車台数上位3社は「蔚来汽車(NIO)」「小鵬汽車(XPeng Motors)」「理想汽車(Li Auto)」で、納車数はそれぞれ4万1956台、3万738台、3万154台だった。いずれも昨年1年間の納車台数に迫るかすでに超えており、蔚来の上半期の納車台数は昨年1年間の95.9%、小鵬は昨年超え、理想は92.43%に迫った。
首位を守った蔚来、3位圏外に後退した威馬
上半期に唯一納車台数4万台を達成した蔚来は前年上半期比で2倍近く伸びており、新興EVメーカー首位の座を守った。中でも中型SUV「ES6」が大きく貢献している。
蔚来の平均成約額は大手老舗メーカーに並ぶ。中国自動車技術研究センター(CATARC)のデータによると、蔚来の平均成約額は43万2900元(約736万円)で、メルセデス・ベンツの43万5600元(約741万円)、BMWの39万1000元(約665万円)、アウディの32万2000元(約548万円)と同等の水準だ。蔚来の共同創業者で総裁の秦力洪氏は「今後も蔚来ブランドは高級路線で行く」としており、30万元(約510万円)以下の車種は当面発表しない予定だと明かした。仮に低価格帯の車種を発表するとしてもサブブランドで販売するという。同社は今年6月末までに累計11万7597台を納車している。
上位3位と同様、「二軍」グループでも競争は激しい。昨年に何度も倒産の危機と報じられた「零跑汽車(Leap Motor)」は今年になって盛り返し、4〜6位圏内に食い込んだ。零跑以外には「哪吒汽車(Neta)」が4位、「威馬汽車(WM Motor)」が5位だった。
中国乗用車協会(CPCA)のデータでは、昨年上半期の威馬汽車の販売台数は6342台で、蔚来、理想に続く3位だったが、今年上半期は1万5665台で上位3社から大きく引き離されている。
年間10万台達成を目指して
業界関係者によると、新興EVメーカーが黒字を継続するには年間販売台数10万台をクリアしなければならない。
シティバンクのアナリストJeff Chung氏の予想では、蔚来の今年の年間納車台数は9万3000台だ。理想の従業員によると、同社では目標販売台数が年10万台に引き上げられ、従業員の年末ボーナスは販売成績連動型になるとの情報が流れている。しかし、目標達成まではあと7万台近い。
下半期の納車台数がさらに伸びるよう、メーカー各社は製品、販路、技術、インフラなど各方面に全力を注いでいる。
小鵬は同社第1号SUV「G3」をモデルチェンジし9月から納車を開始するほか、今年4月に発表した新車種「P5」の納車を第四半期にスタートさせる。この二車種によって小鵬は下半期の納車台数をさらに伸ばせるだろう。哪吒や零跑も下半期に新車種の発売を控えている。
最も期待される蔚来の「ET7」は年末から量産に入り、納車は2022年になる。蔚来は今年下半期に新車は発表せず、インフラ構築に専念し、年内にバッテリー交換ステーションを従来目標の500カ所から700カ所にまで増やすとしている。
販売台数を増やすため、各社は販路開拓にも勤しんでいる。蔚来は今年、コワーキングスペースやライブラリーなどを備えた大型ショールーム「蔚来中心(NIO House)」を20カ所、小型ショールーム「蔚来空間(NIO Space)」を120カ所増設する。理想も年末までに販売店を200店まで増やす計画だ。
チャンスとピンチは共存するものだ。現段階では新興EVメーカーの序列はまだ固まっていない。販売数が逆転するのも常だ。業界内の競争以外にも、テスラなど海外メーカーや、国有系の老舗自動車メーカー、テックジャイアントとも対峙しなければならない。
蔚来の創業者・李斌氏は「我こそが一歩リードしたと断言できるメーカーなど現在は一つもないだろう。我々は出場資格を争っている最中であり、まだトーナメント戦すら始まっていない」と述べている。
(翻訳・愛玉)
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