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中国EC最大手アリババ集団の生鮮食品スーパー事業グループ「盒馬事業群(Hema Business Group)」(以下、盒馬)の侯毅CEOは7月7日、事業グループ全員に向けた文書で、居住区向けECサービス「盒馬隣里」を手掛ける「NB(Neighbor Business)事業部」の設立を発表した。同事業部は、都市の周縁部や近郊に設けた盒馬隣里のサービスステーションを中心に、消費者の食生活を支えていくという。
盒馬はこれまでに、大型店舗の「盒馬鮮生(Hema Fresh)」をはじめ、小型店舗の「盒馬mini(Hema mini)」、宅配に特化した「盒馬小站(Hema Xiaozhan)」、会員制倉庫型スーパーの「盒馬X会員店(Hema X)」など9種類の小売業態を展開し、居住区で必要とされる業態をほぼ全て網羅してきた。
しかし、盒馬のビジネスモデルの持続可能性に対する疑問の声も根強い。盒馬鮮生を除く業態の展開が限定的だったからだ。
侯CEOは昨年年初、盒馬miniを1年間で100店舗オープンさせることを目標に掲げた。盒馬鮮生がカバーできないエリアのニーズを満たすことが目的だった。しかし、昨年末時点の店舗数は14店舗にとどまった。侯CEOはその原因について、フランチャイズ方式をとらなかっために計画の実行が難しく、投資額も膨らんだためだと説明した上で「盒馬隣里は、より手軽かつスピーディーに展開できるため、今後10年間の最重要戦略に位置付けられる」と述べた。
盒馬隣里の内部テストは今年4月に始まった。盒馬のアプリから商品を注文し、翌日の8時以降に最寄りの店舗で商品を受け取る仕組みで、盒馬鮮生のサプライチェーンと物流システムを利用して2万種類の商品が提供される。サービスステーションは、商品の引き渡しとプロモーションの機能のみを持ち、小売りは行わない。
サービスステーションの出店先には、盒馬鮮生がすでに出店している都市周縁部に位置する居住区が選ばれる。店内には商品棚、冷蔵庫および海産物を入れる水槽が配置され、2~3人の店員が商品の受け渡しとプロモーションを担当する。すでに上海や北京、広州、武漢、西安など10都市に出店しているが、今後はフランチャイズ方式も組み合わせ、その他の大都市への出店を急ぐ方針だという。
侯CEOは、盒馬隣里と盒馬X会員店および盒馬鮮生はいずれも成長著しい事業だが、盒馬隣里はとくに地方都市在住の消費者のニーズを受け止める役割を担うと説明した。
盒馬隣里はすでに全国約400カ所にサービスステーションをオープンしているが、今後は地方都市を中心に出店を急ぐ方針だという。
盒馬隣里が居住区での共同購入を手掛けるのではないかとの見方もあるが、これは公式に否定されている。侯CEOは、盒馬隣里が取り扱う商品はより多様かつ高品質で、平均価格は一般的な共同購入サービスが取り扱う商品の平均価格の3倍にあたる30元(約500円)になると説明している。
しかし、大都市に比べれば消費レベルの低い地方市場への進出で、高い客単価を想定することに矛盾がありはしないだろうか。盒馬隣里が、成功を収められるのかに注目していきたい。
(翻訳・田村広子)
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