luckin coffee、いまだ死せず 醜聞後も失われない「店舗数」を武器に

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「もう終わったのでは」と多くの人に考えられている中国の新興コーヒーチェーン「luckin coffee(瑞幸咖啡)」だが、実はいまだに好調を維持している。

スターバックスに対抗しうる中国ローカル企業の代表として、luckin coffeeは創業からわずか18カ月と史上最短ペースでIPO達成の神話を打ち立て、株価はかつて51.38ドル(約5636円)にまで上昇した。

しかし、好調期は長くは続かなかった。2020年初めには不正会計をしていた事実が暴露され、株価は暴落。時価総額はピーク時の120億ドル(約1兆3200億円)から数億ドル(数百億円)にまで落ち込んだ。上場からわずか13カ月後の同年6月末、ナスダック市場への上場を廃止している。

一般消費者からの支持は変わらず

luckin coffeeが上場廃止となり、一般消費者が心配したのは、luckin coffeeの店舗はなくなってしまうのか、あの安くておいしいコーヒーは飲めなくなってしまうのかという点だった。当時、luckin coffeeの公式アカウントは、「中国全土の4000店舗はこれまで通り営業する」と発表している。

luckin coffee上場廃止に対する受け止め方は、資本市場と一般消費者では異なる。一般消費者は不正会計が明るみに出たからといってluckin coffeeに対する信用を失うわけではない。一般消費者はluckin coffeeの価格や値引き戦略に惹きつけられているのであり、不正会計は遠い世界の出来事だ。食品安全など消費者に直接関係する要因でない限り、上場廃止になったからといって心理的に抵抗を感じるわけでもない。だからこそluckin coffeeも営業を継続できている。

ただし、luckin coffeeは上場廃止後に事業戦略を改め、出店ペースを緩めるほか、値引き戦略や商品開発、マーケティングなどでも調整を図っている。

値引き戦略では、値引き幅、クーポン券の発行枚数とも以前より控えめになった。値下げ価格に下限を設け、店舗運営の健全化を図った結果、6割の店舗が黒字化するなど明らかな効果が現れている。

商品開発では、ココナッツミルクを使ったラテなどの新商品を発表し、独特な味わいで消費者の心を掴んだ。マーケティングでは、次世代アイドルを発掘する人気リアリティ番組で話題をさらった利路修(リルーシュ)を起用し、短文投稿サイト微博(Weibo)や動画共有サイトビリビリ動画(bilibili)で注目を集めている。

資本市場からの信頼も回復

luckin coffeeは中国市場でいまだ前途洋々だ。国内コーヒー市場のポテンシャルに目をつけたITジャイアントたちも次々と有望なブランドに投資をしている。テンセントはカナダ系のTim Hortonsに、バイトダンス(字節跳動)は上海発のMANNER COFFEEに出資しており、 luckin coffeeも今年4月に大鉦資本(Centrium Capital)および愉悦資本(Joy Capital)から合計2億5000万ドル(約270億円)の出資を受けている。

2019年末時点でluckin coffeeは4507の直営店を運営し、店舗数を最大の武器にしてきた。他の新興ブランドがこれほどの短期間でluckin coffeeを追い越すことは不可能だろう。資本市場でも「新たなブランドを支援するより、いっそluckin coffeeに投資したほうがよいのでは」との心理が働いており、luckin coffeeが資金調達に成功する大きな理由の一つとなっている。

上場廃止となってもなお生き残っただけでレアケースだ。中国のコーヒー市場はますます競争が厳しくなり、多くのチェーンブランドが急成長して店舗数を増やし、市場シェアを伸ばしていくだろう。一方、luckin coffeeは着実な歩みを進め、既存ユーザーの粘着性を高め続け、後発ブランドが伸びてくる前に守りを固めなければならない。

作者:WeChat公式アカウント「雷科技(ID:leitech)」
(翻訳・愛玉)

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