バイトダンスが無人搬送車メーカーに出資 自動車・フードデリバリー事業に活用 

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バイトダンスが無人搬送車メーカーに出資 自動車・フードデリバリー事業に活用 

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無人搬送車(AGV)メーカー「未来機器人(VisonNav Robotics)」がこのほど、初めての戦略的資金調達を実施した。出資者にはバイトダンス(字節跳動)のほか、レノボ・キャピタル(聯想創投)、「鐘鼎資本(Eastern Bell Capital)」などが名を連ねた。

今回のバイトダンスによる未来機器人への出資は、同社のAGVソリューションにバイトダンスが関心を寄せ、自動運転やフードデリバリーなどの分野でその関連技術とのシナジー効果を期待できると考えたからだとみられる。

香港中文大学と東京大学で博士号を取得したメンバーが2016年に設立した未来機器人は、本社を広東省深圳市福田区に置き、スマートロジスティクスの実現に向けてAGVソリューションを提供している。同社は産業車両の自動運転に関する国際的な技術プラットフォームの構築に注力している。コストパフォーマンスに優れた独自の視覚ナビゲーションによる無人化ソリューションを追加搭載することにより、有人フォークリフトや牽引車、港湾荷役機械などの産業車両をAGVにアップグレードし、企業が倉庫の自動化に取り組む際に生じる課題を解決する。

未来機器人は現在、視覚ナビゲーション方式の自動運転フォークリフト、自動移動ロボット、自動ケースハンドリングロボット、自動牽引車という4つの製品シリーズを展開している。それぞれの製品は、大積載量の無人搬送、小積載量の速やかな移送、コンテナの仕分けおよび倉庫保管、大積載量の屋外牽引などのシーンに対応する。同社はこれまでにEC大手の「京東(JD.com)」、家電大手の「蘇寧易購(Suning.com)」、 アリババ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥網絡(Cainiao Network)」、米アムウェイの中国法人、自動車大手「広州汽車集団(GAC Motor)」などとパートナーシップを締結している。

同社の擁する3つのコア技術は、視覚ナビゲーション、精密制御、クラウドコンピューティングと5Gの融合技術だ。

視覚ナビゲーションはカメラをメインセンサーとして使用し、視覚情報によって環境を感知した上で、さまざまな環境情報をオフライン・マップとして保存する。ロボットの動作中にリアルタイム画像とオフライン・マップの情報を照合することによりロボットの位置を特定し、ナビゲートする。視覚センサーのソリューションはレーザーナビゲーションよりも低コストで、視覚情報はセンサー情報の中で最も充実した情報だとされる。

精密制御とは、AGVを含む移動ロボットの作業効率を保証できるよう、計画されたタスク情報と移動ロボットの位置情報に基づき、ロボットの動きをリアルタイムに制御することを指す。市場に出回っている大部分のロボットは、品物をピックアップするために特別なシステムを追加搭載する必要がある。だが精密制御を活用すれば、このプロセスを割愛でき、2Dレーザーや3D TOF(Time of Flight)カメラでパレットを観察・識別した上で、アルゴリズムにより最適な経路を計画し、適切に品物をピックアップできるようになる。

視覚ナビゲーション技術はオフライン・マップ作製の段階で膨大な情報量と計算量が必要になる。従来、車両に搭載していた産業用PCでは地図作製などのプロセスで発生する計算のニーズに対応することができない。しかし、クラウドコンピューティングと5Gの融合技術では、移動ロボットの作業負担軽減のため、計算作業の大部分をクラウドサーバーで処理する。このソリューションは複数のブランドに評価されている。2019年には通信機器大手「ZTE(中興通訊)」と、5G技術とロボビジョンによる無人産業車両を組み合わせ、革新的なアプリケーションシナリオとソリューション研究の実施推進を目指すための戦略的パートナーシップに関する枠組協定を締結している。

中国を代表するインターネット企業であるバイトダンスの投資動向は常に注目を集めているが、同社は自動車製造および自動運転の分野のいずれにも資金を投じている。

新興電気自動車(EV)メーカー「理想汽車(Li Auto)」は2020年、米国におけるIPOで資金を調達すると同時に、コーナーストーン投資家から3億8000万ドル(約418億円)の出資を受けた。その際、バイトダンスは3000万ドル(約33億円)を出資している。理想汽車は今年、香港への重複上場に向けて動き出しており、7月26日には香港証券取引所のヒアリングを通過している。

今年上半期、自動運転技術開発の「軽舟智航(QCraft)」が2500万ドル(約27億5000万円)を調達したと外国メディアが報じたが、バイトダンスも出資者に名を連ねたことが大きな注目を集めた。

今回の未来機器人への出資は、バイトダンスが自動車製造や自動運転の分野を発展させることに未来機器人のコア技術が一定程度寄与するとの判断によるものだと考えられる。未来機器人のコア技術は市場の既存製品よりも低コストな上、すでにさまざまなシーンで実用化されており、バイトダンスの戦略設計を効果的に後押しすることが可能だ。

また、今年7月中旬にはバイトダンスがフードデリバリー事業チームを立ち上げたと報じられたが、未来機器人の無人物流ソリューションは、同事業とも優れたシナジー効果を生み出すだろう。

作者:WeChat公式アカウント「財経塗鴉(ID:caijingtuya)」、Kyle

(翻訳:浅田雅美)

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