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日本ブランドコスメのセレクトショップ「OsakaKuma(大阪熊)」が先月プレシリーズAで600万ドル(約6億6000万円)の資金調達を行ったことがわかった。同社は2020年にシンガポールで設立。データに基づいたコスメの販売を行っている。現在シンガポール、日本など6つの国と地域で展開しており、実店舗は7店舗、ShopeeやLazadaなどのECプラットフォームにオンラインショップが15店。
コスメ業界は現在、商品の移り変わりが速く、人気商品が誕生しやすい反面、ロングセラーとなることは少ない。従来のような商品は開発に時間がかかり、発売される頃には消費者側のニーズに変化が生じていることもある。また、情報爆発や情報過多の状況下にあり、消費者ニーズを見抜くことのできる専門家のアドバイスと良質の商品が求められる時代に入っている。
OsakaKumaは、まず各年齢層のニーズに合わせて差別化を図った商品を推奨している。コスメ業界のターゲット層の約80%が女性だ。女性はライフステージごとにコスメに対するニーズも異なる。美しさに対する定義も年齢とともに変化していく。OsakaKumaは消費者のライフステージを6つに分類している。ライフステージごとにサービスを展開し、潜在的な消費者ニーズを事前に予測するようにしている。
次にOsakaKumaはSNSでの発信を重視しており、現在、Facebook、小紅書(RED)、WeChat(微信)などで宣伝を行っている。同時に、SNS上でヒットしている商品が東南アジア市場でも売れるかを判断しているという。OsakaKumaはオンライン、オフラインにそれぞれ「curator(専門要員)」と呼ばれる専門販売チームを設けている。商品は、このcuratorがユーザーニーズに基づきセレクトしている。
同社のビジネスモデルはデータに基づく商品セレクトだ。▽販売している商品はいずれも最新トレンドであること▽シンガポールでは気候に合せて日焼け止めやアンチエイジング商品を取りそろえるなど、消費者層ごとにおすすめ商品を変えていること▽オンラインショップの受注データと実店舗の消費者層に基づき新店舗の候補地や陳列商品を決定すること--などだ。
また、商品の管理効率をさらに最適化するために、OsakaKumaは商品のベストな使用時期を管理するシステムと商品販売状況記録システムを開発した。今後はテクノロジー面への投入を増やし、肌質テストや適合性テストなどを行い商品体験の最適化を図るとしている。
シンガポールには現在、OsakaKumaのようなコスメショップとドラッグストアが融合したコスメセレクトショップはない。WOW COLOUR、HARMAY(話梅)などの中国ブランドと比べると、OsakaKumaのオリジナリティーは主に地域ごとの差別化にある。中国には単一市場の強みがあり、スケール効果も顕著だ。一方、シンガポールの市場は小さく、異なるニーズに応えるため初めから差別化が行われている。
創業者のTony Wang氏は、日本のコスメをメインに打ち出している理由について、コスパのよい韓国コスメやハイブランドの欧米系コスメに比べ、日本のコスメはミドル~ハイエンドの価格帯に位置し、コスメの機能もより細分化されていることを挙げた。競争と淘汰を繰り返した結果、現在生き残っている日本ブランドのコスメは品質においても保証されており、種類も豊富であるため、消費者は自分に合ったスペシャルケア商品やハイクオリティな商品を見つけ出しやすい。日本ブランドは一時的な人気商品よりも長年愛され続ける商品が多い。SK-IIの化粧水は数十年にわたってヒットしているが、インフルエンサーや芸能人の口コミなどで販売量を伸ばした商品ではなく、使用したユーザーが本当に信頼できると認めた商品だ。
サプライチェーンの供給元とSKU(商品の最小管理単位)に関しては自社で厳選する路線を取っている。OsakaKumaの仕入先はブランドや商社だが、サプライヤーの商品も厳しく選別し、市場ニーズの検証結果に基づき仕入れ、販売を行っている。特に他の市場で人気の出た商品に関しては、その成功例を応用できるかどうかの判断をする。OsakaKumaのSKUは通常、curator が十分に商品を理解し、顧客に専門的なアドバイスができるように1000以内に抑えているという。
市場開拓と商品展開に関して、現時点では商品回転率や顧客満足度の引き上げなどシンガポール市場を安定させることに力を入れている。今後はセレクトボックスなどの商品展開をサブスクリプションサービスで行う可能性もあるという。これをベースに、今後東南アジアの国々のニーズを調査し、条件の合う国に進出するという。商品の種類については、日本ブランドコスメがOsakaKumaの終着点ではないそうだ。Wang氏は「当社は消費者ニーズに基づき運営をしている。日本ブランドコスメ商品のほかにもローカライズ商品の需要があれば歓迎する」との意向を示した。中国コスメはベトナムやインドネシアで人気があり、今後は中国コスメがOsakaKumaの商品ラインナップに加わることもありえる」という。
同社は今後テクノロジー的な手法を取り入れてユーザーとより良好な関係を築いていく。新型コロナウイルスが収束傾向になれば、マレーシアやベトナムなどに進出する方針だ。市場拡大においてはまず商品を現地倉庫にストックし、ECコマースでの売れ行きを見ながら、現地化を進めていくとしている。
(翻訳:lumu)
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