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超高速光造形3Dプリント事業を手がける「博理科技(Polly Polymer)」がシリーズA+で1億元(約17億円)近い資金調達を完了した。リード・インベスターは「緑洲資本(Vitalbridge)」。博理科技は材料や設備の研究開発、ソフトウェアの開発など、超高速光造形3Dプリントに関わるさまざまな法人向け事業を展開している。
同社は現在中国安徽省に「スーパー工場」と呼ばれるスマート工場を建設中だ。生産フローをクラウドでコントロールすることで「ダークファクトリー(生産ラインの自動化・無人運営により照明を必要としなくなるためこう呼ばれる)」を実現し、1日1万超の靴のミッドソールの印刷が可能になる。また、生産ラインを複製することにより生産能力をスピーディーに拡大できる。日用品、医療、工業用品、航空宇宙分野などさまざまな領域への応用が可能だ。
米マッキンゼー・アンド・カンパニーは3Dプリント市場について、2025年までに市場規模が最高6000億ドル(約66兆円)にまで成長すると予測する。また、そのうち複雑で小ロット生産の分野が3000億ドル(約34兆円)を占めるとも指摘している。
3Dプリントには30年以上の歴史があるが、その市場はいまだ飛躍的成長の転換点を迎えていない。その理由は材料の性能、印刷速度、そしてコストにある。
博理科技は基礎材料の研究開発からスタートし、中国工業情報化部(工信部)の工業文化発展センター・増材製造(3Dプリント)研究院と共同で国内初の3Dプリント材料の研究所を設立した。速度、性能、コスト面などを考慮した材料の模型を生成し、新たな印刷材料の研究開発、選出を行った。さらに、同材料の特性を生かして、従来の3Dプリンターの100倍の速さで印刷できるHAS(Hindered Asynchronous Light Synthesis) 3Dプリント技術を開発した。インソール1点あたりを20分程度で印刷できるようになり、中・小ロット生産であれば金型の射出成型(合成樹脂などの材料を溶かし、金型に流し込んで冷却することで成型すること)の量産コストに近づいている。
しかし、さらなる大規模生産となるとより複雑だ。インソールを例に挙げると、有名ブランドが新しい靴を作る際、子ども用の靴で22サイズ、女性用で8サイズ、男性用で10サイズと、合計40ものサイズが必要になる。アスリート向けの運動靴なら大人用だけで18サイズ必要で、各サイズにつき4種類の足幅に合うタイプを揃えなくてはならない。最も多い時は同じ型の靴で94タイプのインソール金型を作成することになる。従来の工程では金型を揃えるだけで30~45日かかり、試作などの準備段階を加えると生産までに2カ月を要するが、博理科技のスマート工場であれば、クラウド上のデータと同期するだけでこの準備段階が瞬時に完成する。
光造形3Dプリント市場では米「3D Systems」や「Formlabs」などが有名だ。中国でも「聯泰科技(UnionTech)」や「清鋒科技(LuxCreo)」などの競合が注目を集める。
博理科技は2017年に設立。創業1年目にして売上高は1千万元(約1億7000万円)を超え、すでに黒字化を達成した。それ以降は毎年200%の成長速度を維持する急成長企業だ。
(翻訳・Qiunai)
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