埋込型の人工臓器が実験段階に 中国新興、世界に先立ち実用化目指す 

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埋込型の人工臓器を活用した延命治療が当たり前に行われる、そんな世の中が現実味を帯び始めている。バイオ人工臓器の開発に従事する「華源再生医学(Asia Regenerative Medicine)」は、あとほんの5~6年すれば同社の開発した人工膵臓が市場に投入され、1型糖尿病の末期患者が数十年長く生きられるようになると語った。

臓器移植は最も優れた治療法ではあるが、臓器提供者が不足しているため実施に至らないことが多い。こうした背景のもと、人工臓器は注目度の高い最先端分野となっており、人類のテクノロジーの発展の焦点であるといえる。

華源再生医学は人工臓器分野のパイオニアだ。同社の開発スピードはきわめて速く、人工膵臓はすでに動物実験の段階に進んでおり、今後2~3年で臨床段階に進み、5~6年で市場に投入される予定となっている。同社はさらに人工腎臓の開発も進めており、今後7~10年で市場に投入される見込みだ。

世界に目を向けると、バイオ人工臓器分野での起業は非常に少ないうえ、中国国内で同技術の研究を行える科学者は数えるほどしか存在しない。目下、アメリカ、日本およびイスラエルの技術が相対的に進んでいるものの、臨床段階に進んだプロジェクトは10件にも満たない。世界で人工膵臓プロジェクトの第2相臨床段階に進んでいる実験室はわずか2件、第1相臨床段階でも5~6件にとどまっている。また技術障壁が高い人工腎臓に関しては、臨床研究を実施している研究者はおらず、米国企業2社が動物実験における前向きな研究結果を得ているにすぎない。そのうちの1社が、華源再生医学が投資したハーバード大学の人工臓器開発企業「Iviva Medical」社だ。

華源再生医学

華源再生医学の本社は深圳にあり、深圳銀星生命テクノロジーパークの研究開発センターにはGMPに準拠した細胞・生体材料実験センターを自社建設している。さらに広州、武漢、香港に実験室を設け、12大学の実験室と連携する。

最先端の技術を利用し、あらゆる臓器を人工的に開発することが同社の究極的な目標だ。臨床現場の緊急度、技術リスク、ビジネス上のポテンシャルなど複数の要素を踏まえた結果、同社はまず人工膵臓と人工心臓にターゲットを定めた。人工膵臓は主に糖尿病患者を対象としており、現在は薬剤・装置併用製品を開発している。これは生体材料と細胞のハイブリッド型製品であり、移植後はバイオリアクターとなり体内の血糖値に自動で対応する。すでに動物実験も実施しており、これは世界でも最速レベルとなる。一方、人工腎臓は主に尿毒症や腎不全の患者が苦しい人工透析を行なわずに延命できるようにするものであり、同社は現在、体内に移植でき、ろ過・高吸収能力を有する人工腎臓の開発に挑んでいる。

同社は47件の特許・ソフトウエア著作権を出願済みであり、そのうち21件がすでに受理され(うち4件が特許)、16件は実際の審査段階にある。

資金調達に関しては、今年6月にプレシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。リードインベスターはセコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド(紅杉中国種子基金)、コインベスターは創業株主。

同社の鄭立新CEOは以前、米マッキンゼー・アンド・カンパニー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、およびグラクソ・スミスクラインと天津中新薬業集団の合弁企業である「中美天津史克製薬(SK&F)」での職歴をもつ。「DNA、遺伝子情報、肝細胞の分野には外資参入が禁止されている。最先端技術を活用する人工臓器業界はひっ迫した医療ニーズに直面しており、市場は大きい。将来的には5Gや半導体のように国際競争の焦点となる可能性がある」と鄭氏は述べる。

現在の業界発展においてネックとなっているのが細胞の作製だ。人工臓器の開発企業が鍵となる幹細胞を入手することは非常に難しい。再生医学は新興技術であり、関連法規が未整備であるため、現在中国国内での細胞作製に必要な登記プロセスは時間がかかり、原材料の不足が業界の進歩を妨げている状態だ。中国の再生医学を臨床現場で実用化するためには、政策側と幹細胞を供給できる主要機関が共同で支援・推進することが急務となっている。
(翻訳・神部明果)

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