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テクノロジーで法務の問題を解決するリーガルテック企業「律兜(ilvdo)」がこのほど、シリーズAで上海業灃資本(Shanghai Yefeng)から4000万元(約6億8000万円)を調達した。
2013年創業の律兜は、ビッグデータやAIなどのテクノロジーを活用した法律関連のサービスを提供している。法律相談をメインに個人や弁護士、行政機関、企業などに対応しており、オンラインの訴訟プラットフォームや法制普及プラットフォーム、インターネットを介した無人法律事務所などのサービスをリリースしている。
中国の裁判所では毎年900万件以上の民商事事件が受理されており、うち弁護士が代理人を務める案件は200万件に満たないものの、弁護士費用は800億元(約1兆3600億円)に上るという。また刑事事件において弁護士選任率は15%足らず、顧問弁護士を置いている中国企業も全体の5%と非常に少ない。費用がネックで法務へのニーズが大量に消失している現状では、より身近な法律サービスが必要とされている。
同社は個人、弁護士、企業、行政機関の4分野にそれぞれ特化した業務を展開している。
個人向けにはアプリやミニプログラム、WeChatの公式アカウントなどと連携し、APIを公開して外部プラットフォームと提携することで、個人ユーザーの利用につなげているほか、インターネットを介した無人法律事務所を展開している。ユーザーは1985年以降に生まれた比較的若い世代を中心に3300万人ほどいる。
さらに法律サービスのために弁護士4万5000人を集め、弁護士によるサービスプラットフォームを中心に、個人や企業の法律相談を受け付けるワンストップのソリューションを提供している。また弁護士向けの案件獲得ルートや個人法律事務所などのSaaS製品も開発した。
企業向けサービスでは主に顧問弁護士費用を負担できない零細企業を対象に、企業法務アシスタントや法的リスク管理システムなどのサービスを通じて、労働契約や債権債務、売買、知的財産権といった企業の法律問題を低価格で解決している。これまでにサービスを利用した零細企業は5万社を超え、法律相談サービスの平均客単価は年間1500元(約2万5000円)ほどだという。
このほか律兜は全国21省の106都市および500以上の県の機関と提携している。ビッグデータやオンラインプラットフォームの開発スキルを駆使して、司法局や裁判所、政法委員会、公安局を中心とする行政機関に公共の法律サービスソリューションを提供し、スマート法務製品を通じて幅広い人々が法的リソースを活用できるようにしている。例えば、インターネットを介した無人法律事務所はATMによく似た外観をしており、法務へのニーズが集中している場所で法律関連サービスの一部を代替できている。現在は政府調達による普及を進めている。
2020年、司法分野にテクノロジーを導入する「スマート法治」の概念が提唱されると、法律サービスのニーズが急増。時代はインターネットからビッグデータへと移り変わり、テクノロジーを活用した個人や企業向けの法教育や法律相談、リスク管理などが注目を集めるようになった。
データによると、法律サービスの市場規模は2兆元(約34兆円)を上回っているという。米国では同市場がGDP全体の6%を占めているが、2020年の中国ではわずか0.2%。中国の市場ポテンシャルは大きく、毎年35~40%の成長率を維持している。
同社の創業者で董事長の金為鎧氏は率直にこう語る。「近いうちに中国でも法律サービスの上場企業が誕生するだろう。2~3年もたてば海外のリーディングカンパニーをもしのげるはずだ」。
(翻訳・畠中裕子)
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