Uberでも出前館でもない。池袋に出没する謎の配達員の正体は【中華ビジネス戦記】

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Uberでも出前館でもない。池袋に出没する謎の配達員の正体は【中華ビジネス戦記】

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コロナ禍以降、UberEatsや出前館などフードデリバリーサービスのロゴや配達員を街でよく見かけるようになった。しかしリトルチャイナタウン・池袋北口周辺にいるのは、水色や黄色の見慣れないユニフォームを着た配達員たちだ。彼らは池袋や高田馬場、新大久保など中国人が多い地域で活動する、中国人向けフードデリバリーサービスの配達員。筆者の知る限りここ数年で、「EASI」「HungryPanda」「飯大将」「anydeli」など4社以上が都内で活動している。その1つであるHungryPandaのゼネラルマネージャー、巩(ゴーン)さんに話を聞いた。

世界各国の中国人がメインターゲット

中華専用フードデリバリーHungryPandaのゼネラルマネージャー、巩さん

HungryPandaは2016年にロンドン在住の中国人が創業した中華に特化したフードデリバリーサービスだ。イギリス以外では、アメリカやオーストラリア、カナダ、シンガポールなど華人が比較的多い10カ国以上でサービスを展開する。日本では2020年11月に大阪でサービスを開始、2021年2月に東京進出した。

巩さんによると、日本では1,000店舗近くの中華料理店がHungryPandaに登録しているという。首都圏では都内だけでなく、埼玉県川口市や、神奈川県横浜市など中国人が多い地域でも利用できる。

「HungryPandaは主に海外にいる中国人に現地の美味しい中華料理を食べてもらえるようデリバリーサービスを提供しており、日本でのユーザーの大部分も中国人です」(巩さん)

アプリのUIは中国のフードデリバリーアプリ「Meituan(美団)」や決済アプリ「Alipay(支付宝)」を彷彿させる中国ナイズされたデザインになっている。

巩さんは、「会社の本部はロンドンにありますが、杭州に5-600人規模のエンジニアとデザイナーを抱えており、アプリのUIはすべて中国で設計しています」と説明した。アプリをグローバル共通にすることで開発コストを下げ、店舗側の手数料や、ユーザーが負担する配送料を抑えているという。

ユーザー側の中国人にとっても、日頃から使い慣れているアプリと同じ感覚で使えるので使い勝手が良いのかもしれない。

まずは中華デリバリーの分野でユーザー獲得

「HungryPanda」のアプリ

巩さんによると、HungryPandaのオーダー数は都内のほとんどの地域で他の中国系フードデリバリーを上回っている。ただ、アプリの言語は中国語と英語しかなく、決済もiPhoneならApple Payにも対応しているが、WeChat Payなど中国のツールが基本となっており、日本人にとっては利用のハードルが高い。日本人向けのアプリも課題の1つだが、今注力しているのは、中華料理の分野で店舗と顧客を開拓し、ブランド力を固めることだという。

「UberEatsや出前館は販促のクーポンや多額の宣伝費を使ってユーザーを集めていますが、それだとユーザーは定着しません。我々は、まず中華料理の分野で店舗とお客さんのどちらにも使ってもらえるように信頼を得たいです」

HungryPandaはマーケティング競争とは一線を画し、在日中国人をターゲットに中華料理の分野で下地を固め、徐々にサービスエリアを拡大する方向だという。

この連載では、人気ブログ「東京で中華を食らう」を運営する阿生さんが、日本の中華料理店事情をビジネス面から紹介します。

阿生:東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng

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