「AI弾幕」はビリビリの牙城を崩せるか?

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「AI弾幕」はビリビリの牙城を崩せるか?

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中国のネット用語で「弾幕」は、動画の再生時間軸に沿って画面上に流れるコメント表示機能を指す。日本でニコニコ動画の人気を伸ばした機能だが、中国でも今や様々なジャンルのサイトやアプリに実装されており、特に若年層ユーザーにとっては欠かせなくなっている。

彼らがどれだけ「弾幕狂い」になっているかは、人気女性歌手の動画を見てみればすぐに理解できる。笑いや共感などのコメントで画面は覆い尽くされ、彼女の姿を拝むことは不可能だろう。

ビリビリ動画より

もし動画の「中身」をしっかりと観たいならば、弾幕機能をオフにし、コメントを読みたいときにだけオンにすれば良い。しかし、動画をしっかり観ながら同時に弾幕も楽しみたいーーそんな欲張りなユーザーもいる。

ゲーム実況を中心とするライブ動画配信サイト「虎牙直播(Huya)」は先日、そんな願いを叶える画期的な機能を実装した。弾幕が被写体の人物を回避して表示される「AI弹幕」機能だ。

同機能は、リアルタイムで人物のアウトラインをとり、人と背景とを分割するAI技術を活用している。この機能をオンにすれば、弾幕は人物の前ではなく、背後を通るようになる。すでに一部のジャンルに実装済みで、今後はゲーム実況配信などにも導入される予定だ。

弾幕そのものは2007年にニコニコ動画が初めて実装し、その後、AcFunやビリビリ動画(bilibili)といった中国の人気動画共有サイトに取り入れられてきた。弾幕はZ世代(1990年代後半~2000年生まれ)との親和性が高く、ビリビリの二次元コミュニティを大いに盛り上げることになった。ビリビリは昨年より、弾幕で最も多く投稿された単語をランキング形式で発表しているが、2017年は縁起の良い「囍」という文字が約22万回も投じられたという。

弾幕が人物を回避する同様の機能はビリビリも実装済みだが、虎牙の関係者は「虎牙のAI弾幕機能はリアルタイム処理が可能だが、ビリビリのものはマスキング処理であり、ライブ配信には対応できない」と違いを強調する。

しかし、弾幕機能の初導入において二次元カテゴリを選んだ虎牙は、かつてのビリビリを彷彿させる。実際、虎牙ローンチ初期のユーザーは、ビリビリから多く流れてきているという。

虎牙の二次元カテゴリの責任者は、36krの取材に「過去1年間で月間アクティブユーザー数1000万を達成した」と述べているが、これは、弾幕が同社にとっても欠かせない機能になっている証拠だ。

ビリビリは個性的なコミュニティ形成とインタラクティブ性で若年層ユーザーを虜にしてきた。一方、虎牙はライブ配信人気が落ち着き始めた頃、弾幕を導入してさらに多くのユーザーを獲得することに成功した。人気バトルロイヤルゲーム「PUBG」の大会をライブ配信した際には、弾幕を投稿したユーザーは1日25万人、大会期間中の投稿総数は280万件に達し、閲覧者数も24万人増加したという。

テンセント傘下の企鵝用户研究院のレポートによれば、モバイル向けマルチプレイヤーゲーム、弾幕サイト、ライブ配信サイトは中国の若年層ユーザーが最も好む3大娯楽プラットフォームだ。なぜなら、彼らはコミュニティにおける交流を強く望んでいるからだ。これら3つのプラットフォームをどのようにうまく融合させていくか、虎牙にとってのチャンスはそこにある。
(翻訳・飯塚竜二)

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