「パクリ」か「参考」か、大阪の「クマの手カフェ」が中国の超人気店酷似で物議

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「パクリ」か「参考」か、大阪の「クマの手カフェ」が中国の超人気店酷似で物議

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9月中旬、「小さな穴からクマの手を使って商品を受け渡しする」カフェが大阪にオープンした。メンタルのリハビリ中の人が働きやすいようにという狙い、店舗デザインの愛らしさなどから、マスコミやSNSで紹介され話題になっているが、中国・上海にそっくりな有名店舗があることから、「上海の店が日本に進出したのか」「単なる模倣ではないか」と議論が起きている。運営会社に取材したところ、「アイデアを参考にした。承諾は得ていない」が、「コンセプトが違うため模倣ではない」との見解だった。

クマの手が非対面で飲み物を受け渡し

中国の人気店との類似性が指摘されているのは大阪府にオープンした「クマの手カフェ」。運営する一般社団法人メンタルサポート総合学園によると、「繊細な方々のための働く場所 、そしてメンタル (心理学) の学びの場」という位置づけで、スタッフがメンタルのリハビリ中であることから非対面で商品を渡す方法を導入した。また、SNS 拡散などを目指し、コンクリートの打ちっぱなし風に壁をくり抜き、 おしゃれで映える空間にしたという。

写真左上、左下は熊爪珈琲(公式アカウントより)。右はクマの手カフェのプレスリリース。

9月11日にプレオープンすると、思惑通りにメディアが多数取材し、SNSでも情報が拡散したが、話題になるにつれ「上海のお店の支店?」「中国の店のパクリ?」という指摘も相次いだ。

実は「クマの手カフェ」は、昨年12月に上海で開業した「熊爪珈琲」(開業当初は「HINICHIJOU」というブランドで営業)とデザインや運営スタイルが酷似しているのだ。

障がい者雇用の促進を掲げ、バリスタや店員の多くも何らかの障害がある熊爪珈琲は、国営メディアが賞賛記事を掲載したことで、またたく間に数時間待ちの人気店となり、日本の一部メディアでも詳報された。

開店直後に熊爪珈琲を訪れた百貨店社員の洞本宗和さんは「客が殺到して警察が出動するほどだった」と当時の様子を説明する。

2020年12月のオープン直後の上海の熊爪珈琲(写真左上のグレーの壁が同店)。人が殺到し、警察が出動した。(洞本さん提供)

2021年3月には上海近くの無錫市に模倣店が出現した。洞本さんは「もう支店ができたのか」と勘違いして店を訪れたが、「店の完成度もなんとなく低いし、メニューも違うし、よく見たら店名も微妙に違っていた」と、「パクリ」に気づいたという。

中国・無錫市に出現した模倣店(洞本さん提供)

その後、熊爪珈琲は杭州、南京などにも進出し、現在6店舗を営業しているほか、フランチャイズによって100店舗体制を目指している。バリスタを育成し本格コーヒーにこだわると同時に障がい者を積極的に雇用し、スタッフの障がい者比率を50%以上にしたいという。

「承諾を取るか議論にはなった」

SNSで「上海の熊爪珈琲とそっくりだが、関係があるのか」との指摘が出た後、クマの手カフェの公式サイトには

「クマの手カフェのアイデアソースとして上海の非日常様を参考にさせていただきました」

「今後、東京や主要都市に出店の予定をしております。志は高く全国展開を目標としています」

「異なったコンセプトではありますが、中国・日本と身体&メンタルで切磋琢磨できればうれしく思います」

などと説明が追加された。

大阪にオープンした「クマの手カフェ」

だが、HPの説明では2社の関係は曖昧なままだ。

クマの手カフェに直接取材したところ、「現在、承諾を得たわけではありません。出店に当たりそのことは議論になりました。承諾を得るべきか、必要がないのか?基本的にコンセプトが異なっていると考えており、形状は似ているが違った店という立場です」との回答だった。

左が熊爪珈琲(微信公式アカウントより)。右がクマの手カフェ(プレスリリースより)。

店名が酷似し(中国語の「熊爪」はクマの手のひらや肉球を意味する)、「クマの手」を使うのは「参考」の度を超えているのではないか。そう質問すると、広報担当者から「店の形状やスタイルが酷似していますのは、非日常様をリスペクトさせていただいたことによりやや引っ張られすぎたかなと、若干反省しているところです」と回答があった。

熊爪珈琲は模倣店を警戒

国内で模倣店が相次いだためか、上海の熊爪珈琲は公式サイトで「熊爪珈琲の加盟店を騙った活動について、法的責任を追及する」と声明を出している。

熊爪珈琲のマーケティングの総責任者にも取材を申し込んだ。日本の店舗のことは知らなかったようだが、「まず、記者や媒体が本物かを証明する資料を出してもらえませんか。それを確認して対応します」と返事があった。

無印良品が中国で長らく模倣店舗に悩まされているように、類似店舗の出現は「人気」の証でもあるが、「無印」「メイソウ」「ダイソー」を足して3で割った雑貨チェーンとして日本でもすっかりおなじみの「名創優品」(MINISO)は、日本色を薄めて米国上場を果たした今でも中国で「パクリ企業」のレッテルがついて回るなど、中国人消費者も「オリジナルか否か」を重視するようになっている。

筆者が中国で二度見した無印風の店舗や商品。アイデアを参考にしたと言われればそれまでだが……。

大阪のクマの手カフェは、上海の店とは「コンセプトが異なるから模倣にはあたらない」との立場だが、上海の店舗を実際に訪れた洞本さんは、Twitterで流れて来たクマの手カフェの写真を見て、熊爪珈琲が日本にも進出したのかと二度見したという。
「レベルアップした中国のコンテンツは今後どんどん日本に入ってくると思っていましたが……。既にこういう時代になったんだなあ」と複雑な気持ちだそうだ。

(文・浦上早苗)

クマの手カフェの回答全文はこちらから。

 

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