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知的財産権の保護・運営プラットフォーム「安盾網(ANDUNIP.COM)」がシリーズBで数億元(数十億円)を調達した。出資は蘭馨亜洲投資(Orchid Asia Group Management)が単独で行った。安盾網は今年6月にもシリーズAで善合基金から資金を調達しており、半年で2回の資金調達を行ったことになる。
安盾網は知的財産権保護サービスに特化したインダストリル・インターネット(産業用インターネット)を手がける企業だ。知的財産権保護サービスの川上から川下を網羅するプラットフォームによってフルプロセスのサービスを提供する。商標権、特許権、著作権、不当競争防止の4分野で事業展開し、2019年にはIT大手テンセント(騰訊)のインダストリル・インターネット事業の戦略パートナーに選ばれており、同時に同社の戦略出資も受けている。
安盾網は知的財産権が長年抱えてきた権利保護の難しさ、収益化の難しさという二つの問題点を解決する。企業が自社の知的財産権を保護する従来の方法では、法務担当部署が自ら権利侵害行為を見つけ、全国各地で提携できる弁護士や調査組織を探して案件を処理してきた。これでは多くのコストがかかり、提携者を組織するための時間も浪費する。
知的財産権の保有者からの多くの需要を受け、安盾網はプロジェクト管理の過程をSaaSと結びつけ、ソリューションとして直接提供する。企業の法務担当者が安盾網のバックエンドにログインすると、自社の知的財産権への侵害行為を監視するシステムを利用できる。これを通じて案件を管理するとともに、ライセンス運営も可能になる。
システムでは権利侵害案件に対応可能な機関もマッチングしてくれる。経費も不要で、勝訴すれば賠償金のかたちで収益も得られる。さらに保険システムにも加入できる。同社は中国保険大手の平安保険(PingAn Insurance)と提携した商品をリリースしており、敗訴した場合でも保険金の支払いが受けられるのだ。
安盾網のプラットフォームは川下の弁護士とも連携し、弁護士側の売り上げや業務効率も向上させる。すでに550以上の弁護士事務所や120の調査機関と提携しており、中国で知的財産権に携わる弁護士事務所の大多数をカバーしている。また業種ごとに対応するソリューションを構築している。現在、電子情報通信、設計、消費財、飲食・ホテル、機械設備、教育・研修、ソフトウェア・情報処理、文化・エンターテイメント業界向けに訴訟プロセスを標準化およびデジタル化しており、すでに500社以上にサービスを提供する。
安盾網はこれまでに累計40万件の案件を取り扱い、うち15万件で提訴、2020年には数万件を判決まで導いた。今年の売上高は数億元(数十億円)になる見込みで、市場にはさらに巨大な需要があると期待する。
国家知的財産権局の統計によると、中国で知的財産権関連のサービスに携わる機関は2019年末時点で約6万6000社存在し、これら全体の売上高は約2100億元(約3兆6200億円)となっている。
中国共産党中央委員会と中国国務院は先日、「知的財産権強国の建設要綱(2021〜2035年)」を公布し、2025年にまでに知的財産権強国の建設で高い成果を出す目標を打ち出した。さらに、2025年までに知的財産権集約型産業の付加価値をGDPの13%に、著作権産業の付加価値をGDPの7.5%に引き上げ、知的財産権使用料の輸出入総額を年3500億元(約6兆300億円)にするとしている。
こうした政策により産業モデルがさらにイノベーションを進め、同時に厳格化、規範化し、競争力ある知的財産権を有する一流企業がより多く生み出されることとなるだろう。
(翻訳・愛玉)
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