「中国版スペースX」こと「ランドスペース」がシリーズB+で約49億円を調達

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中国のロケット開発スタートアップ「ランドスペース(藍箭航天)」がシリーズB+で3億元(約49億円)を調達したことが明らかになった。今回のラウンドは華創資本(China Growth Capital)が主導し、中冀投資、西電天朗創投(聚卓資本)、36Krファンドが出資。また、金風科技、創想天使、中天世紀などが追加投資を行った。2018年9月末までにランドスペースの累計調達額は8億元を超えた。

今回調達した資金は主に、80トン級のLNG(液体天然ガス)推進系ロケットエンジン「天鵲(TQ-12)」と、LNG推進系中型キャリア・ロケット「朱雀二号(ZQ-2)」の研究開発および各種設備の建設、新型液体燃料ロケットの研究、生産、試験等に投じられる。

ランドスペースは2015年6月に設立された、ロケットの開発製造を行う民間企業。

天鵲(TQ-12)エンジンは2018年9月末に燃焼試験を終えており、2019年上半期には全システムを試運転することを予定。また、同エンジンを搭載した朱雀二号(ZQ-2)が2020年にも打ち上げられる予定となっている。

液体酸素と液体メタンを推進剤に使ったロケットは、民間ロケット業界が注目する分野だ。コスト面で優れているため、ランドスペースだけでなく、アメリカのスペースXやブルーオリジン、中国のi-Space(星際栄耀)など多くの関連企業も開発を進めている。

中国では、LNG推進系ロケットの開発に特に注力しているのがランドスペースとi-Spaceの2社だ。また、ワンスペース(零壹空間)も液体燃料ロケットの開発に着手すると伝えられており、ここ数年の内に設立された「九州雲箭」などのスタートアップもLNG推進系ロケットエンジン分野の開発を進めていると伝えられている。

中国の宇宙開発の歴史は60年に及び、現在は民間ロケットの成功が現実味を帯びている。スタートアップの関係者は「技術面で解決不可能な問題はないが、何よりも重要なのは、失敗率を最小限に抑えながら研究開発を迅速に進め、持続的かつ安定した体制のもと、低コストでロケットを運航する環境を整備することだ」と述べる。ロケットが完成するまでには、何度失敗を繰り返すか予想もつかないからだ。

ロケット開発には多くの資金が必要で、リスクも大きく、年数もかかる。SpaceXは創業以来、累計16億ドル(約1800億円)以上を調達している。中国の民間ロケット企業も同様だ。いかにノウハウや人材、サプライチェーンを擁していても、少なくとも数億ドルの資金が必要となるため、企業トップの資金調達能力が試されることになる。このレースに勝ち抜くためには、まずは資金力が必要なのだ。

2018年に入り、多くの民間ロケット開発企業が資金調達に成功した。中には評価額が20億元(約327億円)以上に達した企業もある。i-Spaceは今年6月にシリーズAで資金調達に成功し、累計調達額は6億元(約98億円)を突破。今年初めには、ワンスペースがシリーズA+で2億元(約33億円)近い資金を調達し、累計調達額は5億元(約82億円)を超えた。

スペースXはシリーズIの資金調達に成功しており、評価額はすでに280億ドル(約3.2兆円)を超えた。2002年のシリーズA当時の評価額と比べると実に4300倍、2010年のシリーズFと比べても約30倍だ。2017年末のスペースXの出資募集説明書では、同社の2017年の売上高は約18億5400万ドル(約2100億円、2016年の約3倍)で、今後15年間で1397億ドル(約16兆円)にまで増加すると予測している。

(翻訳・飯塚竜二)

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