中国のコーヒーブームで台頭した新星「Manner」、次のluckin coffeeになるのか

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中国のコーヒーブームで台頭した新星「Manner」、次のluckin coffeeになるのか

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スペシャルティコーヒーブランド「Manner Coffee」が誕生から6周年を迎えたと同時に、同社が香港でIPO(新規株式公開)を検討しており、少なくとも3億ドル(約340億円)を調達する計画だと報じられた。

Mannerはこれを否定しているが、コーヒー市場を湧き立たせるには十分な情報だ。

この数年、コーヒー業界への投資が過熱している。今年だけでも同業界の資金調達案件は16件に上った。新興ブランドの「M stand」や「三頓半(Saturnbird)」、Manner、さらには不正会計のスキャンダルで上場廃止となった「瑞幸咖啡(luckin coffee)」までも資金調達を達成。どの企業が競争を勝ち抜き、次のスターバックスの座を射止めるのか、注目を集めている。

中国のコーヒーの歴史を振り返ってみよう。1992年から2015年の間に、欧州や台湾、韓国のブランドが中国市場に参入し、中国人が日常で少しずつコーヒーを飲むようになっていった。そして2015年、中国コーヒー業界は新たな転換点を迎える。スペシャルティコーヒーがブームとなったのだ。

最も顕著なのは上海だ。近年の経済発展にともない、コーヒーの需要も大きく伸びた。上海の人々は年間20杯のコーヒーを消費するというデータもある。上海は今や世界最多のカフェを有する都市となった。その数は7000店を超え、ニューヨークの4倍に上るという。このカフェブームが、新興のコーヒーブランドを成長させた。

2015年といえば、Mannerが上海の一角に小さなコーヒースタンド1号店をオープンさせた年である。そして上海を拠点に、北京、深圳など中国7都市へ店舗を拡大させた。現在の店舗数は200を超え、今年の年末には400~500店舗にまで拡大する予定だという。

資金調達のスピードも速い。2018年に「今日資本(CAPITALTODAY)」から8000万元(約14億円)の出資を受けて以降、2020年2月には米ヘッジファンド「コーチュー・マネジメント(Coatue Management)」と「HCapital」が出資し、評価額は10億ドル(約1100億円)に到達。今年に入ってからは2月、5月にも資金を調達。さらに6月にはシリーズBでバイトダンス(字節跳動)から資金を調達し、評価額は23億ドル(約2600億円)にまで達した。

Mannerの資金調達の流れ 画像:企査査より

Mannerなど複数のコーヒーブランドが資金を得て成長してきたことは、スターバックスにも影響を与えている。Mannerがスターバックスの隣に出店したところ、スターバックスの来客数が30%減少したという報道もある。また、今年第三四半期(7~9月)の同社の中国での売上高は59億元(約1050億円)で、成長率は19%に留まったという。第二四半期は91%だった。

次の瑞幸珈琲になるのか?

カフェで過ごす様子を写真に撮り、SNSでシェアする若者にとって重要なのは心地いい「サード・プレイス」要素で、多少コーヒーの味が劣っていても気にならない。しかしMannerはサード・プレイスの提供は行わない。そうすることで限りあるスペースを有効活用でき、さらにはコーヒーの値段も抑えられている。

2015年の1号店オープンからこれまで、Mannerが最も客を引きつけているのはファストフードなみの価格設定だ。一番安いコーヒーは1杯10元(約180円)、ラージサイズだと5元(約90円)足せば済む。この破格の値段が、ユーザーを定着させる理由だ。

Mannerの純利益はすでに10%を超えたと伝えられるが、これはコーヒーだけで勝負するビジネスモデルが成功できることを意味する。1店舗だけでも利益を稼ぎ出せるスタイルが、投資家の注目を集めた。

瑞幸珈琲の不正会計が露見する前、同社こそスターバックスをおびやかす新ブランドだと思われていた。しかしそう思っている人は今でも多い。では、Mannerはどうだろう?

Mannerがデータを公開していないため、両社の経営データを比較することはできない。だが店舗数で比較すると、瑞幸珈琲は全国に7000店舗、Mannerは今年年末には500店舗になる予定だが、同じ土俵で勝負しているとは言い難い。また、Mannerの店舗は上海に集中しているという点でも全国展開する瑞幸珈琲とは大きな差がある。さらに、瑞幸珈琲はオンラインで前もって注文して取りに行けるが、Mannerが採るのは来店してからオーダーする従来のスタイルだ。

瑞幸珈琲の前例を教訓にすれば、獲得した資金をコーヒー販売と店舗拡大につぎ込めば、短期間で顧客を増やし、数年は事業を持たせられることは明白だ。しかしブームが過ぎた後にブランドが市場で認められるのかは、まだ検証が必要だ。

(翻訳・Qiunai)

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