インドネシア発宅配大手「J&T Express」、中国「百世集団」を1300億円で買収

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インドネシア発宅配大手「J&T Express」、中国「百世集団」を1300億円で買収

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中国物流大手「百世集団(Best Group)」とインドネシアの宅配大手で中国にも進出している「J&T Express(極兎速逓、以下J&Tと表記)」は先月29日、百世が中国国内の宅配事業を約11億ドル(約1300億円)でJ&Tに譲渡すると発表した。2022年第1四半期には譲渡が完了する予定だ。

百世集団の創業者で董事長兼CEOの周韶寧氏は社内文書の中で、百世は中国国内の宅配事業に関連する株式、資産、営業所、運送センター、従業員、技術、システムなどをJ&Tに譲渡すると説明し、「苦渋の決断だった」と明らかにした。

J&Tは当初OPPOのスマホを東南アジアで輸送するために設立され、創業チームと初期資金はOPPOが投入した。2015年8月にインドネシアで事業を開始し、その成功体験を基に東南アジアの国々で急速に事業を拡大した。

J&Tは2020年3月、正式に中国市場に参入。ソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」とOPPOの支援の下、急成長した。J&Tは6カ月で全国の省、直轄市、重要都市を網羅したネットワークを構築し、一日あたりの注文数は右肩上がりとなった。

J&Tの1日あたりの取扱件数は、今年1月には2000~2500万件だった。一方、百世の財務報告書によると、百世は今年第2四半期に23億件、つまり、1日の取扱件数は約2500万件だった。国家郵政局は9月に業界全体で取扱件数を94億5000万件と試算しており、両社合併後の市場シェアは14%前後になるとみられる。

J&Tのビジネスモデルや物流ソリューションが特に優れているというわけではなく、各社の価格競争がエスカレートし、身を削る競争になってしまっている。J&Tは全国送料8角(約14円)という前代未聞の最低価格を打ち出したこともある。原価を割ってでも中小の業者を引き付けておきたいということだろう。

相次ぐ配達料金値下げは利益を圧迫した。2021年5月の月次報告書によると、中国最大の民間宅配業者である「S.F.ホールディング(順豊控股)」の1件あたりの売り上げは2年余り前より30%以上減少した。他の物流大手も1件あたりの売り上げが同様に減少し、現在市場シェアが最高の「中通快逓(ZTO Express)」でも、第1四半期の財務報告書によると1件当たりの宅配料金は12.4%下落した。

2位の百世となると状況は更に厳しい。米国での上場後株価は下落が続き、時価総額は上場時の43億3000万ドル(約4900億円)から6億3000万ドル(10月30日午前12時時点、約720億円)に下落した。百世の赤字と負債は拡大が続き、過去4年間の赤字額はそれぞれ12億2800万元(約220億円)、5億800万元(約90億円)、2億1900万元(約40億円)、20億5100万元(約370億円)だった。21年度第2四半期の財務報告書によると、百世集団の負債は175億元(約3100億円)に達し、負債比率は95.21%で、価格競争を継続すれば赤字が止まらない深みに陥るだろう。

百世集団の株価

J&Tは、時価総額より高い価格で百世の中国国内の宅配事業を買収した。百世としても相当額のキャッシュが入り、大型貨物輸送、サプライチェーン、国際物流およびアプリ業務と以前より身軽になる。

J&Tが事業を拡大するには、コア事業を強化してコスト管理、効率化の総合的な能力を確立しなければならない。今回の投資でネットワークの拡充や業務量増加が見込めるだろう。

(翻訳・二胡)

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