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女性と子ども向けのデジタルヘルス用品メーカーの「棒米科技(Bongmi)」は、2014年の設立以来、スマート医療機器をリリースし、AIとIoTを組み合わせたデジタルヘルスケアサービスを提供している。
女性向けのメイン商品は基礎体温計だ。基礎体温は活動による体温変化などの要因を排除し、基礎代謝が行われている状態のときの体温のことで、通常は朝目覚めてすぐに測定する。基礎体温グラフを付けると排卵期を予測したり生理周期を把握したりすることができるため、医療現場でも妊活や避妊、生理周期及び妊娠初期の管理に活用されている。
「口紅」のようなデザインをした棒米科技の基礎体温計は、専用のアプリでアラームを設定すると、毎朝測定した基礎体温データがリアルタイムでアプリに送られ、生理周期を予測できるようにグラフ化される。アプリは妊娠しやすい時期や避妊の安全日、月経予測、体の異常を知らせてくれるほか、棒米科技の排卵チェッカーや妊娠チェッカーとも連動する。さらに、服薬や運動、気分など多方面にわたるデータも入力でき、アプリ1つで女性特有の健康情報を把握し、体調管理ができるようになっている。
現在、棒米科技の基礎体温計のユーザーは約30万人、その80%を占める欧米市場を主戦場として、アマゾンと自社ECサイト、代理店を中心に販売チャネルを展開している。欧米市場の医療機器認証やEUの一般データ保護規則(GDPR)などの規制について、棒米科技の創業者でCEOの楼暁都氏は、法規制で参入のハードルを上げることは業界の健全な発展につながると考えている。同社は最も厳しい認証基準に基づいて製品開発をすすめ、米食品医薬品局や中国国家食品薬品監督管理総局などの認証を取得し、今後の中国市場進出のための土台も据えている。
棒米科技はスマート機器を足がかりに、モバイル医療サービスへとつなげたい考えだ。今後、以下のようなサービスを打ち出していく。
・サブスクリプション方式の医療サービス
ユーザーのヘルスデータの管理と分析を行い、製薬会社と提携してた妊活又は避妊対策の医薬品を提供する。サブスクリプションサービスを通じて、ユーザーが自分の体の状態や生理周期に伴う気分や体の変化を理解した上で、ピンポイントで健康管理できるようになる。
・製薬会社や保険会社と連携
基礎体温はホルモンの状態を把握したい婦人科疾患を診断するための貴重なデータである。データ提供者の同意を得た上で、製薬会社や保険会社とプラットフォームを構築し、付加価値の高いサービスを提供できるようにする。
・商品ラインの拡大
年末までに「改良版の基礎体温計」をリリースする。今後も女性の健康に的を絞ったシリーズ商品の開発を続ける。
さらに棒米科技は耳式体温計と子どもの成長を記録するデバイスも販売しており、妊活後の育児期もカバー。「棒米宝宝」アプリとつなげば、身長・体重・体温を自動でアップロードし、食事・睡眠・排泄・服薬などのデータを加えて、子どもの成長状況を見守ることができる。
現在、同社は北欧の政府と提携協議を進めるなど、子育て支援策の制定に必要なデータを収集でき、子どもの成長を記録できるデバイスの政府向けの提案をしている。
スタッフの多くは浙江大学の卒業生で、グーグル、アリババ、テンセント、GSKなどのインターネット企業や製薬会社の出身者。創業者でCEOの楼暁都氏は浙江大学分子生物学を卒業後、イーライリリーやMSDでマーケティングを担当。CTOの武沢勝氏は浙江大学卒業後、テンセント、シャオミ(小米科技)で開発に従事経験がある。
(翻訳・畠中裕子)
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