ゲームからECへ、天津出身者が創業した「Shopee」が東南アジアで大活躍

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ゲームからECへ、天津出身者が創業した「Shopee」が東南アジアで大活躍

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2009年、中国天津市出身の李小冬氏は、シンガポールでゲームプラットフォーム企業「Garena」を設立。設立6年目の2015年には、新規事業としてECモール「Shopee」をスタートさせた。2017年、同社は「Sea Group」に改称し、同年、東南アジアのテック企業で初めてニューヨーク上場を果たした。

目下、Shopeeはシンガポール、マレーシア、フィリピン、台湾、インドネシア、タイ、ベトナムという7カ国・地域の市場をカバー。シンガポールではLazada、インドネシアではTokopediaとBukalapak、ベトナムではTikiといった先発のライバルECと市場争いを繰り広げている。Shopeeの2018年第1四半期と第2四半期のGMV (流通総額)はそれぞれ19億ドル(約2200億円)、22億ドル(約2500億円)で、半年間で2017年全体の水準に達した。現在、出店数は700万軒となっている。

母体であるSea Group同様、Shopeeにも中国的なDNAが組み込まれている。越境事業部総経理の劉江宏氏によると、劉氏を含め、同社の幹部社員の多くは東南アジア在住歴が長い中国人だ。

Shopee越境事業部総経理の劉江宏氏

Shopeeの上海事務所で、東南アジアのEC市場、同市場における中国ブランドや中国企業のニーズ、そして越境ECのサプライチェーン効率化などについて、劉氏に伺った。

Shopeeにとっての東南アジア市場

「もちろん、東南アジアの各市場には特色がある。したがって、それぞれの売り手には、それぞれの市場に適うアドバイスをしている」

「海外貿易の経験がある売り手ならば、我々はマレーシアを勧めている。なぜなら、マレーシアは英語が通用し、勢いもある。欧米市場の経験があるなら、その経験をマレーシアでも活かせるはずだ。マレーシアの後、第二の市場としては、世界第4位の人口を持つインドネシア、(中国本土と)文化的な隔たりがあまりない台湾、英語が通じるフィリピン、そしてやはり人口が多いタイをお勧めする。第三の市場としては、顧客単価の高いシンガポール、マイナー言語のベトナムだ」

「海外貿易経験がない売り手には、まずは台湾をお勧めしている。越境物流や支払いなど貿易に関わる様々な業務の経験を積むのに最適だからだ。台湾は中華圏であるため、言葉や嗜好の面で、中国とそれほど違いがない。台湾の後は、台湾人の嗜好に似た市場を目指すことになる。例えば、マレーシアやシンガポールといった国々だ。この2カ国は華人も多い。最後にビッグマーケットのインドネシア市場を開拓することになるだろう」

中国ブランドの越境

「東南アジアにおける中国の売り手、そしてブランドの知名度は確実に上がっていると思う。海外進出するなら、現在は欧米よりも東南アジアの方がいい。東南アジアでは欧米よりも中国ブランドの認知度が高く、Shopeeにおける中国企業の出店数も年2倍以上のペースで伸びている」

「新たに海外進出するブランドの中には、シャオミ(小米科技)のようにすでに国内外で有名なブランドも含まれている。今年初め、彼らはまずインドネシアとベトナムへ進出することを決めた。インドネシア国内でのシャオミ製スマホの出荷台数は10位から2位へと躍進した」

「また、国内で知名度が低いブランドが東南アジアに進出し、成功したケースもある。例えば、我々と提携した広東省順徳市の家電企業「徳爾瑪(DEERMA)」は、マレーシアとシンガポールに直営フラッグシップストアをオープンした。我々は物流や顧客開拓の面でサポートしている」

「全カテゴリの商品を取り扱うECプラットフォームでは、多種多様な商品を取り扱う中国企業は優位に立てる。中国にはサプライチェーンの強みがある。しかし、東南アジアのアパレルサプライチェーンは輸出が中心で、自国で流通する衣料品のほとんどが中国産という状況だ」

Shopeeのビジネスモデル

「我々の顧客獲得戦略は『網紅(KOL)』『ソーシャルネットワーク』『ゲーム』を重視している」

「我々はまず、芸能人やインフルエンサーを起用して顧客を獲得していく。例えば、BIGBANGやBLACKPINKも所属している韓国の芸能事務所YGエンターテインメントと提携し、芸能人にブランドアンバサダーを務めてもらうとともに、グッズの独占販売権契約を結んでいる」

「ソーシャルネットワークについては、Facebookページのフォロワーに協力を依頼し、各市場で人気のソーシャルプラットフォームなどで商品やブランドの宣伝をしてもらっている」

「ゲームについては、我々は市場を熟知しており、人気タイトルにも詳しい。我々の母体が東南アジアではゲームの先駆者だからだ。ゲームプレイヤーは大半が男性なので、ゲーム好きの男性向けの商品、例えばゲームの周辺機器やスマホなどを積極的に宣伝し、新規顧客を獲得している」

「ほかにも、我々にはいくつか強みがある。各市場向けのアプリがあり、各市場に合わせたサービスを提供できること、海外倉庫サービスを含むトータル物流システムを導入していることなどだ」
(翻訳・飯塚竜二)

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