創業2年で衛星2基打ち上げ、中国宇宙ビジネスの新星「Origin Space」

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創業2年で衛星2基打ち上げ、中国宇宙ビジネスの新星「Origin Space」

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21世紀に幕を開けた宇宙ビジネスはヴァージン・ギャラクティック (Virgin Galactic)、スペースX、ブルーオリジンなどを始めとする民間企業が宇宙旅行の事業化をスタートさせたことにより新たな段階に入った。

中国の宇宙開発企業もすでに新たなフェーズに入っている。スタートアップの「起源太空(Origin Space)」は今年2基の人工衛星を打ち上げ、すでに複数の小惑星観測プロジェクトを完了している。

2019年に設立された起源太空は、宇宙資源の採掘と利用に力を入れる民間の宇宙開発企業だ。創業者でCEOの蘇萌氏は2012年にハーバード大学天体物理学の博士号を取得し、2016年から香港大学物理学科副教授と空間研究実験室の執行主任を兼務した。2019年、起源太空はエンジェルラウンドで「経緯中国(Matrix Partners China)」から、その後さらに「線性資本(Linear Capital)」から資金調達を行った。調達した資金は合計で5000万元(約9億円)。

同社は宇宙資源の採掘に注力しており、鉱脈の調査から採掘、回収までの段階を経て、小惑星の豊富な宇宙鉱物資源の開発と活用を目指している。また小惑星にある豊富な水資源を利用して人類が宇宙活動で必要な物資を提供していく。将来的には、プラチナやパラジウムなどの貴金属や地球ではまれな資源を採掘し、産業の発展に役立てたい考えだ。

起源太空は現在、宇宙での採掘事業を行う唯一の中国企業で、設立から2年で多くの成果を上げている。2021年には自社開発した宇宙望遠鏡「仰望1号」と宇宙採掘ロボット「NEO-01」を打ち上げた。

この打ち上げ成功は、複数の宇宙資源開発用の人工衛星が軌道上に配置されたという意味で大きな意義を持つ。ここ10年来、全世界の宇宙資源採掘企業が実現できなかったことである。

宇宙採掘ロボットNEO-01から撮影された宇宙

NEO-01は今年4月に山西省太原市で打ち上げられた。36KrによるとNEO-01は小惑星の資源採掘を行うためのものだが、この技術は将来的に宇宙ゴミの回収にも使用できるという。

仰望1号は中国初の宇宙光学望遠鏡で、宇宙空間を巡回する観測衛星としても国内初だ。

起源太空はアリババクラウドのテック系イベント「雲栖大会」に参加し、蘇氏は最近の多くの成果を披露した。

現在、仰望1号は軌道上で2カ月活動し、すでに数千平方度の宇宙空間を巡行した。仰望1号の観測対象は中高軌道や近い軌道の人工衛星で、宇宙空間の状況認識ネットワークを構築する。

仰望1号が撮影した宇宙のオーロラ

また大気や流星も仰望1号の観測対象で、最近では流星群や珍しい高層での大気放電なども観測している。

蘇氏によると、今年2つの人工衛星の打ち上げに成功したことは同社の発展におけるマイルストーンとなったという。特に仰望1号を光学と近紫外線帯において、宇宙における中国の天体衛星の空白を埋め、観測面でも多くの成果があったという。

仰望1号は国際天文学連合 (IAU)認証され、天文台コードを獲得した。小惑星を観測する宇宙望遠鏡が天文台コードを取得したのは、アジアでは中国が第1号となった。

仰望1号の天文台コード

仰望1号は夜光リモートセンシングの分野にも使われており、最近では天文学観測と夜光リモートセンシング観測の「天地一体化(衛星と地上のネットワークの一体化)」を初めて実現した。

中国科学院によると夜光リモートセンシングは雲のない条件下で、地表面の可視光ないし近赤外線の電磁波情報を得ることだ。これらの情報の大部分は地表における人類の活動によって生じている。その主要なものは夜間照明で、それ以外に石油や天然ガスの燃焼、海上の漁船、森林火災、火山の噴火などが含まれる。

一般的なリモートセンシング映像よりも、夜光リモートセンシング映像の方が人間活動を直接反映しているため、社会経済の指標推定、都市のモニタリング、重大事件の発生、生態環境評価および公共健康などの分野に広く利用されている。

北京の夜光リモートセンシング映像

今後半年で、仰望1号は毎日4万平方度、限界等級15等星で観測を行う。仰望1号は定期的にすでに知られている小天体を観測し、長期的には新たな小天体を探索し、今後の資源探索の基礎を築いていく。

(翻訳・普洱)

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