「ミレニアル・リチウム」、4カ月の争奪戦決着。中国CATL、リチウム・アメリカズに土壇場で奪われる

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

「ミレニアル・リチウム」、4カ月の争奪戦決着。中国CATL、リチウム・アメリカズに土壇場で奪われる

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

カナダのリチウム資源開発会社「ミレニアル・リチウム」とカナダのリチウム生産企業「リチウム・アメリカズ」は17日(現地時間、以下同)、リチウム・アメリカズが1株あたり4.7カナダドル(約428円)でミレニアル・リチウムのすべての流通株式を買い取り、リチウム・アメリカズの株式交付と1株あたり0.001カナダドル(約0.09円)の現金を支払うことで最終合意した。買収総額は約4億ドル(約460億円)になる。このほか、リチウム・アメリカズは、先に買収の合意を取り付けていた中国の車載電池大手「CATL(寧徳時代新能源科技)」へ2000万ドル(約23億円)の違約金を支払う。

4カ月に及んだこの買収劇は、中国のリチウム製品メーカー「ガンフォンリチウム(Ganfeng Lithium、贛鋒鋰業)」が発端だった。同社は今年7月、子会社の「贛峰国際貿易(Ganfeng International Trading)」を通してミレニアル・リチウムに対して買収を持ちかけた。当時取り決めた買収価格は3億5300万カナダドル(約320億円)以下だった。

ところが9月になってCATLが突然参入し、ガンフォンリチウムの提示額に約7%上乗せした3億7680万カナダドル(約340億円)でミレニアル・リチウムに買収を申し入れる。

ミレニアル・リチウムはCATLに買収されると市場は予想していた。しかし、ミレニアル・リチウムは今月1日付の公告で、リチウム・アメリカズからすべての流通株式取得による法的拘束力を伴わない買収提案を受け、買収価格は約4億ドル(約460億円)だと発表した。

公告の中では、2021年11月16日午後4時30分までにCATLが提示額を引き上げなければミレニアム・リチウムはリチウム・アメリカズの買収を受け入れると明記している。しかし、CATLはこれに応じなかった。

ガンフォンリチウムはリチウム・アメリカズの12.5%の株式を保有するため、リチウム・アメリカズが高値でミレニアム・リチウムを買収した背景にはガンフォンリチウムが関わっているとする見方もある。一方、ガンフォンリチウムはこれを否定し、同社はリチウム・アメリカズ取締役会の9つの議席の1席を保有するにすぎないとコメントしている。

ミレニアル・リチウムがこれほど引く手あまたである理由は、同社がアルゼンチンに世界有数のリチウム埋蔵量を誇る塩湖を2つ保有していることと関係がある。サルタ州のパストス・グランデス塩湖とフフイ州のカウチャリ・イースト塩湖で、約412万トンの炭酸リチウムが眠る。

紆余曲折を経た買収合戦はリチウム資源の希少性を反映し、需給逼迫による原材料価格の高騰が続いている。金属関連情報サイト「SMM」のデータによると、電池の原料となり得る純度99.5%の中国産炭酸リチウムの平均価格は今月17日時点で1トンあたり19万7500元(約360万円)だった。炭酸リチウム価格の上昇幅は年初から230%を超える。CATLの売上総利益率にも一定の下押し圧力になっており、同社の今年第1~第3四半期の売上総利益率は27.51%で、15年以来最低となった。

世界の70%のリチウム鉱山は南米など海外に集中しているため、中国がリチウムを輸入に依存する状態は短期的には変わらない。老舗自動車メーカーが相次いでガソリン車時代に別れを告げるなか、今回の大規模な買収合戦の終結はさらに大規模なグローバル競争の始まりにすぎないかもしれない。

(翻訳・二胡)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録