「美容部員なし」「商品試し放題」。 無人化進むコスメショップ「ONLY WRITE」が資金調達

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「美容部員なし」「商品試し放題」。 無人化進むコスメショップ「ONLY WRITE」が資金調達

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デジタル化に注力する化粧品小売チェーン「ONLY WRITE(独写)」がシリーズAで4500万元(約8億600万円)を調達した。有名ファンドが単独で出資し、雲沐資本(Yunmu Capital)が財務アドバイザーを務めたという。

ONLY WRITEは2020年3月末に開業し、現在は中国の15の省・直轄市で29店舗を展開する。店舗には美容部員を置かず、商品購入はQRコードをスキャンして行うスタイルで、倉庫一体型店舗と独自の商品構成が特徴的だ。リーズナブルな価格で商品を提供するほか、店内で自由に商品をお試しできる点が強みとして最大限に発揮されている。

画像はONLY WRITE提供

中国国家統計局のデータによると、中国の化粧品市場は2022年に5000億元(約8兆9600億円)規模を突破し、2023年には5490億元(約9兆8400億円)になると予想されている。また、中国の市場調査会社・艾瑞諮詢(iResearch)のデータでは、中国では化粧品セレクトショップの市場規模が2020年に419億元(約7500億円)となった。数千億元(数兆円)規模の化粧品市場に支えられ、セレクトショップも大きな潜在力を秘めている。

化粧品業界の主力購買層はZ世代だ。彼らは人を喜ばせるより自分が満たされることを好み、買い物では使いやすい商品よりおもしろい商品を重視し、必要性よりも興味を優先させる。

また、オンラインで集客するコストや実店舗を構えるコストが徐々に上昇し、老舗の化粧品セレクトショップで商品を取り扱ってもらうことも難しい中、新興の化粧品ブランドにとって、新興セレクトショップは販路として選択肢の最上位に置かれつつある。

ONLY WRITEは商品倉庫と店舗を一体化させ、販売用の商品は倉庫に置き、店頭に出す商品はお試し用に限っている。創業者の周建雷氏は「化粧品は実際に使って試してみることが強く求められる商品で、お客様に自由に試してもらえるようにしなければ、購買意欲を高めるのは難しい。お試し体験を阻害する要素はすべて取り除こうと考えている」と述べる。バックヤードのデータと連携させることを前提としたこのような販売方法は、「試してから買いたい」という消費者の需要を満足させるだけでなく、商品補充や在庫管理を適正に行うためにも有用だ。

全面的にデジタル化されたユーザーの運営管理も同社のもう一つの特色だ。来店客はQRコードをスキャンして商品を注文して支払いを済ませ、カウンターで商品を受け取る。美容部員を省いたワンストップの購入スタイルは、顧客にとって効率よく買い物できるだけでなく、ONLY WRITEにとっても来店から退店までの顧客データ収集を可能にし、セグメンテーションやデータの蓄積を通じてきめ細やかな運営を実現できる。顧客が退店した後もオンラインプラットフォームを使い、時間や空間による制限を超えて個々の顧客に合った販売サービスを届けられる。

公式アカウントやSNSコミュニティの運営では、ユーザーと共同で商品開発をするシステムを設立している。周氏によると、この運営モデルによってONLY WRITEのフォロワーやコミュニティメンバーは70万人以上にまで増え、販売個数は全体の15%を占めるようになり、その割合は引き続き増加傾向だ。

画像はONLY WRITE提供

周氏は「ONLY WRITEはもともと月単位で新商品を発売していたが、まるで新商品を出すことそのものが目的になってしまい疲弊してしまった。しかし、ユーザーを巻き込んだ商品開発システムを採用してからは商品選定でも考え方の幅が広がり、結果的に半月に1回のペースで新商品を販売できるようになった」と述べている。買い物はオンライン通販の場合は目的ありきだが、実店舗で化粧品を買う場合はその場で購買欲が刺激される場合が多い。そのため、店舗では商品を自由に試せるようにするだけでなく、商品のラインナップもタイムリーに変化をつけていかなければならない。

化粧品に関するトレンドの洞察を継続的に得るため、ONLY WRITEは以下三つを実行し、商品選定で最大限の差別化を図っている。一つ目は社内にバイヤーチームを設け、ユーザーから起用したメンバーとともに、商品のブラインドテストや品質テストを行うこと。二つ目はフォロワー数、販売数、アクセス数、外観、ブランドコンセプトなどを含めた多元的な評価モデルを開発し、ビッグデータプラットフォームを活用して商品選定を行うこと。三つ目は既存の概念を打ち破り、ブランドをまたいだ新しい商品構成を実現することだ。化粧品業界初のブラインドボックス(中に何が入っているかわからない箱詰め商品)を発売して消費者の関心を惹きつけたり、脂性肌用の三点セット、メイクが苦手な人向けのマストアイテムなど、異なる効果や用途を想定した商品を企画したりしている。ブラインドボックスやセット商品を採用すると大量仕入れが可能になり、在庫も減らせ、在庫回転率も上がるという。

創業時のコアメンバーはいずれも化粧品業界で10年以上のキャリアを持つ。創業者の周建雷氏は輸入化粧品販売のフランチャイズチェーン「橙小橙(Xcheng)」を過去に起業して成功している。

(翻訳・愛玉)

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