中国進出の「無印良品」スーパー併設店舗、「期待外れ」と失望の声

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

中国進出の「無印良品」スーパー併設店舗、「期待外れ」と失望の声

続きを読む

生活雑貨店「無印良品(MUJI)」を展開する良品計画は11月11日、スーパーマーケット併設店舗の中国1号店を上海市でオープンした。

総面積は4130平方メートルで、店舗デザインは全て良品計画が担当した。無印良品のエリアを運営するのは良品計画だが、併設のスーパーは京東集団(JD.com)傘下の「七鮮超市(7FRESH)」が運営を担当する。生鮮食品や惣菜のほか七鮮超市のPB(プライベートブランド)商品も並ぶ。

同店はオンライン販売と即時配送を組み合わせたサービスも提供している。配送時間は朝8時から夜10時まで。3キロ圏内からの注文ならば30分で商品を届ける。

無印良品のスーパー併設店舗は、中国では今回が初出店となるが、日本国内では2018年に大阪府堺市で出店したのを皮切りに全国展開を進めている。生鮮食品や店内で調理された惣菜が並ぶだけでなく、イートインコーナーもある。店内では料理教室も開催されている。もちろん無印良品の服や雑貨などを買うこともできる。

中国初の無印良品のスーパー併設店舗がオープンするというニュースが報じられると、多くの消費者がSNSに期待のコメントを寄せた。実際、11日のオープン後は大勢の来店客でにぎわった。

ところが、実際に同店を訪れた消費者にインタビューしたところ、複数の人が「期待を裏切られた」という感想を漏らした。ある人は「無印良品の商品が並ぶエリアとスーパーのエリアが完全に切り離されている。無印良品の一角に七鮮超市が出店しただけの印象」だとした上で「生鮮食品の品揃えも普通のスーパーと同じで目新しいところはない。日本の無印良品は産地直送品が売りで、スーパーエリアも自社運営しているのに」と落胆の声を上げた。無印良品と七鮮超市の会員システムが連動していないことを指摘する声も聞かれた。

無印良品のスーパー併設店舗の中国1号店は、出店の時期と場所を見誤ったのかもしれない。

中国では昨年の新型コロナ禍で、電子商取引(EC)を活用して生鮮食品を販売する企業が急速に業績を伸ばした。「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」やアリババの生鮮スーパーブランド「盒馬(Hema)」、京東(JD.com)、「T11」「每日優鮮(Missfresh)」などはとくに成長が著しかった。

美団(​Meituan)やアリババ、拼多多(Pinduoduo)などによる地域コミュニティ向け共同購入プラットフォームの展開も相次いだ。生鮮食品は差別化のポイントだった。この動きは、従来型のスーパーマーケットに大きな打撃を与えた。

無印良品のスーパー併設店舗の中国1号店がオープンしたのは、差別化を競った中国企業各社が販売モデルを確立し、消費者の心をつかんだ後だった。しかも、上海は新たな形の生鮮食品販売事業がどこよりも早くスタートした都市だった。

上海市内にオープンした無印良品のスーパー併設店舗(無印良品WeChat公式アカウントより)

スーパー併設店舗で無印良品の業績は回復するか

良品計画がスーパー併設店舗の展開にかじを切った背景には、同社が直面している現実的な問題がある。

同社は2005年、上海市に無印良品の中国1号店をオープン。「シンプル・環境保護・使いやすさ」をコンセプトに中所得層以上をターゲットとし、若者を中心に人気を集めた。

2012年には中国での店舗数と売上高が急速に伸び始める。15年には38都市に121店舗を展開するまでになり、売上高は11年の115億6000万元(約2000億円)から199億4000万元(約3500億円)に増加した。しかし勢いは続かず、16年には売上高低迷の兆しが見え始める。翌17年には、中国エリアの店舗数が日本国内に次ぐ200軒に達する一方で、1店舗当たりの売上高の伸び率がマイナスに転じた。

良品計画の売上高推移(2015〜19年度)(単位=億円、「前瞻産業研究院」より)

2020年2月期の第3四半期(19年3~11月期)決算によると、売上高は290億円増加したものの、純利益は3分の1近くに減少した。中国では1店舗当たりの売上高が2.2%減少した。これ以降も1店舗当たりの売上高減少は止まっていない。

さらに、昨年はコロナ禍の影響が響き、特別損失186億円を計上している。中国市場における業績に好転の兆しが見えない中、欧米市場での業績も悪化した。同年7月10日に米子会社の「MUJI U.S.A.」がチャプター11(連邦破産法第11条)の適用を申請したことも、良品計画の経営が順調とはいえないことを示している。

中国市場では、無印良品は低価格・高品質が売りだったはずだ。しかし、価格が上がり品質も低下したとの声も聞かれるようになっていた。加えて、中国発のファストファッションブランドが台頭したことも業績悪化につながった。良品計画はライバルに立ち向かうため、11回に及ぶ価格見直しをしたものの、現在に至るまで業績に大きな向上はみられない。

良品計画の業績改善策は価格見直しだけではない。中国でもカフェやホテル、レストランなどの新規事業を展開し、消費意欲の刺激に努めている。

無印良品のカフェ「Café MUJI」(「微博(Weibo)」公式アカウントより)

2019年にインテリア全般を手掛ける「MUJI INFILL」をローンチしたのに続き、翌20年にはコンビニエンスストア「MUJIcom」の中国1号店を北京市内にオープンした。

しかし、これら新業態はそれぞれ1、2カ所の展開にとどまっている。良品計画は大規模展開でスケールメリットを狙うつもりはないようだ。商品流通にスピード感や鮮度保持が求められ、価格と品質のバランスも重要な生鮮食品を取り扱うスーパーについても、同様の方針をとる可能性がある。

無印良品に併設したスーパーは、盒馬や米ウォルマート系のサムズ・クラブなどの大手スーパーと同等の価格設定で勝負することもできる。現時点での問題点は、商品の差別化ができていないことによる魅力不足だろう。また、上海などの大都市には日系スーパーも多く、希少価値もない。無印良品らしいブランドイメージや店舗デザインという武器を価格に反映させ、利益につなげるのも難しい。

良品計画の狙いは、利益率は高くないが利用頻度の高いスーパーを併設し、利益率の高い無印良品の服や雑貨の販売につなげることにあると考えられる。

良品計画が展開するさまざまな事業は、中国市場における業績回復に結びつくだろうか。その結論が出るのはまだ先だ。しかし、消費者の反応を見た限りではあるが、今回オープンした無印良品のスーパー併設店舗が良品計画の業績向上にさほど大きく貢献しない可能性も否定できない。

作者:「連線Insight(WeChat ID:lxinsight)」
(翻訳・田村広子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録