注文予測から非接触決済まで、アリババも導入済みのデリバリー型社食「美餐」が110億円を調達

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注文予測から非接触決済まで、アリババも導入済みのデリバリー型社食「美餐」が110億円を調達

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企業に宅配弁当やケータリングを提供する「美餐(Meican)」が、シリーズEで「大鉦資本(Centurium Capital)」から1億ドル(約110億円)を調達した。これにより美餐は企業・団体向け宅配弁当の分野で資金調達の回数、金額ともに最多の企業となった。調達した資金は研究開発や海外事業の推進、サプライチェーンの最適化、組織力の向上などに充てられる。

2011年に設立された美餐は、企業向けに社食デリバリーやケータリング、会食のサービスなどを提供している。特にデジタル化を進めることで、企業がコストを抑えながら社食サービスの向上を図れるようサポートしている。

公式情報によると、美餐はアリババなどの大企業を始め、行政機関や産業パーク、病院、教育機関などに長期にわたってサービスを提供しており、中国の100都市近くで事業を展開している。サービスを利用している企業は数千社、提携飲食事業者は数万社に上る。

中国の調査会社「iiMedia Research(艾媒諮詢)」のリポートによると、企業・団体向け宅配弁当の顧客層である学生や都市部の就業者は2020年に約7億6000万人と安定しており、2021年の市場規模は1兆7700億元(約31兆6000億円)になるという。企業・団体向け宅配弁当のサービス多様化や技術面の向上に伴い、今後も年間10%の増加を保つと見られ、2023年には2兆2500億元(約40兆2000億円)に達すると予測されている。

市場は巨大だが、業界は依然としてアナログで、長年にわたり人目につかない存在だった。美餐でCOO(最高執行責任者)を務める任自力氏は「市場集中度が60~80%と高い日本や韓国、米国などに比べ、中国の企業・団体向け宅配弁当業界はまだ荒削りで駆け出しの段階だ」と語る。加えてメニューのアイデア不足、旧式のサプライチェーン管理、ブランディング意識の欠如という3つの要因により、関連産業の大衆化が進んでいないと指摘。業界内の企業が専門性を高めて成長を遂げるには、テクノロジーや先端技術を駆使してサービスシーンを拡大し、企業管理レベルの向上を図り、サプライチェーンを構築することが必要となる。

美餐の胡国武副総裁によると、味がワンパターンだと言われないよう、供給サイドで数万社に上る優良飲食事業者と連携して高品質のメニューを提供し、おいしいものを食べたいという利用者のニーズを満たしている。社食のデリバリーのほか、イベント時のケータリング、飲食店での利用、最新式の社食システムなど多彩なサービスを提供している。

美餐ではフルスタックの自社開発戦略にこだわり、あらゆるシーンとプロセスチェーンに対応したデジタルプラットフォームを作り上げた。技術チームによると、同プラットフォームはインタラクションデザイン、ソフトウエア開発、人工知能(AI)、データインテリジェンス、工業デザイン、構造デザイン、ハードウエア開発を含む製品開発の全プロセスをカバーしているという。

(画像:企業提供)

デジタルプラットフォームはユーザー、企業、事業者、運営者をつなぎ、さまざまなシーンにおける従業員の飲食ニーズに応え、企業の運営管理の効率化を助けている。綿密なデータ分析に基づいて業界パートナーにデータの視覚化サービスも提供しており、大量のデータを用いてAIモデルに学習させることで、商品レコメンドや客動線の予測、非接触決済、注文予測、料理の視覚認識なども実現した。このようにして業界のデジタルインフラを構築し、企業・団体向け宅配弁当を扱う企業のアップデートを後押ししている。

大鉦資本パートナー劉紹強氏は次のように語っている。「企業サービスと飲食はいずれも巨大市場だが、美餐はちょうどこの2つが重なる部分に位置している。しかも多年にわたる研究を通じて独自性のあるサービスモデルとソリューションを打ち出していることから、非常に優れた投資対象だと言える。企業や従業員の飲食については、多くのサービスにおいてデジタル化、標準化、多元化のニーズが満たされていない。美餐は長年の探求を通じて多くの飲食事業者とつながり、豊富な業界経験や顧客案件を積み重ね、質の高い成長を遂げてきた。私たちは美餐に協力できることを非常にうれしく思っている」
(翻訳・畠中裕子)

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