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産業用AR(拡張現実)ソリューションを提供する「ALVA Systems(阿依瓦(北京)技術)」がシリーズBで数億元(数十億円)を調達した。出資を主導したのは既存株主のSBチャイナベンチャーキャピタル(SVCVC)で、既存株主「高科新浚(Neovision Capital)」のほか、「泰越資本(Tai Partners)」が新たに出資に参加した。
ALVA Systemsは2011年の設立当初から、ヘテロジニアス・コンピューティングを活用した開発に注力しており、製品はいずれもヘテロジニアス・コンピューティング・アーキテクチャに基づいて設計されている。同社はこの分野のソフトウエア・ハードウエア設計において豊富な経験と強力な基礎開発チームを有しており、ソフトウエア著作権40件と特許権14件を取得している。
創業チームはインテル、AMD、マイクロソフトなど世界の大企業や清華大学、北京航空航天大学ほか有名大学の出身者で構成されており、インテルやAMD、Arm、クアルコムなど世界の半導体大手で開発プロジェクトに携わった経歴を持つ。現在、150人以上の従業員を抱え、うち研究開発スタッフが70%以上を占めている。
ALVA Systemsのこれまでの10年間は2つのフェーズに分けられる。
最初の5年間は主に基盤技術の蓄積と開発に費やした。ALVA Systemsのヘテロジニアス・コンピューティングはCPUとGPUの両方を演算処理に使って負荷を分散させ、タスクをそれぞれの得意とするタイプに分割することで高いパフォーマンスを発揮できる。同社のARエンジンも特別に設計されたディープニューラルネットワークで、物体認識のパフォーマンスを保ちながら複雑さを最小限に抑えることに成功。画像認識、平面認識、モデル認識、エリア認識など最も多くのパターン認識に対応したARエンジンとなっている。
後半の5年間は産業用ARの製品化に向けて努力をしてきた。現在、同社の製品はARリモートガイダンスシステム、ARコンテンツ制作プラットフォーム、ARデモンストレーションシステムなどの分野をカバーしている。
ビジネス面では産業用ソフトウエアの販売代理を務める「神州数碼(デジタルチャイナ)」や「大唐電信(Datang Telecom Technology)」と総代理店契約を結び、「広州汽車集団(GAC)」「福田汽車(Foton Motor)」、バドワイザー、ユニリーバなど100社以上の顧客を獲得してきた。楊衛国CEOによると、同社の売上高はこの数年100%以上の成長を保っており、今年は売上高のさらなる伸びが期待できるという。
近年、テクノロジーが飛躍的な発展を遂げてきたのに伴い、ARやVRの活用も急速に進んできた。シンクタンク「中国信息通信研究院(CAICT)」が発表した『VR/AR白書』では、VR/ARの世界市場規模が1000億元(約1兆8000億円)に迫り、主な成長分野がARとコンテンツアプリケーションであることが指摘されている。IDCなど調査機関の統計によると、世界のVR/AR市場規模は2020年に約900億元(約1兆6000億円)となり、うちAR市場が280億元(約5000億円)を占めたという。2020年から2024年にかけて世界VR/AR市場の年平均成長率は54%と予測されており、AR単独では年平均成長率66%で2024年に2400億元(約4兆3000億円)規模に成長すると見込まれている。
市場競争においてALVA Systemsは、海外ソフトウエアベンダーに比べて地元企業のニーズに密着したサービス展開を行えるのが強みで、主要な産業用ソフトを国産製品に代替する後押しができる。国内の産業用ARベンダーは主にARグラスなどハードウエアの分野に注力しているが、ALVA Systemsはさまざまなブランドのさまざまなデバイスに適応できる点で優れている。
(翻訳・畠中裕子)
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