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「スターバックスが材料のラベルを貼り換え、期限切れの食材を使用した」との報道が中国の世論を騒がせている。
タブロイド紙・新京報の13日付の報道によると、無錫市の複数の店舗で期限切れの液体紅茶や抹茶が使用されていたとのこと。また、問題の店に潜入取材を行っていた記者に対して、店のマネージャーやスタッフが直接期限の改ざんを指示したことも報じられている。、食材の使用期限を1週間延ばすことや、ショーケースに入れた当日に売れ残ったら処分するとされているフード類が、翌日もそのまま販売されていることがあったという。
報道は瞬く間にインターネット上のホットワードとなり、スターバックス中国は微博(Weibo)の公式アカウントですぐに謝罪声明を出した。事の重大性を認識し、問題の2店舗をただちに営業停止にしたと発表している。
報道当日の夜には、無錫の市場監督管理部門が営業を停止した2店舗を除く市内のスターバックス全82店舗で調査を行い、従業員が作業帽を着用していない、調理スペースの物品の配置が乱れている、消毒記録が不完全であるなど15カ所の問題を発見した。同部門はスターバックス中国の華東北エリア部門に行政指導を行い、社内で食の安全に関する全面調査を行い、改善を実施するよう求めた。
これに対してスターバックス中国は再び微博の公式アカウントを通じ、「深くお詫びし、積極的に改善を行う」「中国の全店舗で全面的な自主調査を開始した」と述べた。
スターバックス中国の公式サイトによると、中国本土の全店舗は同社の直営店で、フランチャイズ方式は採用していない。各店舗では食品安全検査を毎日行い、全店舗が毎年少なくとも1回は第三者による抜き打ち検査を受け、20%の店舗は2回目の検査を受けることになっている。
直営店ならば、より厳格な検査制度と食の安全対策が行き届いてるはずだ。グローバル企業としての知名度も高く、食の安全には厳しいとされているスターバックスがなぜこのようなレベルの低い過ちを犯したのだろうか。
中国食品業界のアナリスト朱丹蓬氏は、スターバックスは中国で直営モデルを採用しているが、店長がそれぞれの店舗の責任を負う体制を取っている。業績を上げ利益を出すことが求められる中、食の安全が二の次になる可能性は高いという。これを改善するには、店長のKPI(業績評価指標)を「業績や利益第一」から「食の安全第一」に変更する必要があるという。
今回のスターバックス騒動の背後には、中国市場での性急な店舗数拡大とそれに伴う財務面での相対的な「疲弊」がある。
スターバックスの中国本土の店舗数は2017年12月時点で3124店舗。中国のコーヒーチェーン市場でシェア51%を占め、安定して首位を維持してきた。世界市場では店舗あたりの売上高の伸びが3%に過ぎない状況で、中国市場では売上高の伸びが8%に達した。
しかしこの急成長による優位性は2018年に転換期を迎え、中国国内から競合相手が次々に誕生した。オンライン化のニーズもあり、新興コーヒーチェーン「luckin coffee(瑞幸咖啡)」などローカルのコーヒーチェーンが急速に伸びてきたのだ。
このような状況に脅威を感じたスターバックスはアリババとの提携して会員情報を共有し、デリバリーサービス「専星送」や、事前にオンライン注文して店舗で受け取りができる「啡快」などのオンラインサービスを開始した。
こうしたデジタル化戦略は急速に効果を出したが、コロナ禍に見舞われる中では決定打とはならなかった。財務報告書によると、2021年7~9月期の売上高は前年同期比31.3%増の81億4700万ドル(約9300億円)で、中国本土での売上高は同18%増の9億6400万ドル(約1100億円)だった。
スターバックスは8月中旬に新型コロナの感染が再燃したことで、中国の80%の店舗が影響を受け、7~9月期の店舗あたりの売上高が前年同期比7%下落したと公表している。
しかし、全てが新型コロナの影響だとは言い切れない。カナダのコーヒーチェーンブランド「ティム・ホートンズ(Tim Hortons)」やローカルの新興コーヒーブランド「Manner Coffee」が急速に拡大しても、スターバックスの中国での開店ペースにはブレーキはかかっていないからだ。
データによると2021会計年度(2020年10月〜2021年9月)、スターバックスは中国で新たに225店をオープンさせ、合計5360店舗となった。さらに次年度は6000店舗達成を目指している。つまり、14時間につき1店舗をオープンさせていく計算になる。
開店ペースにマネジメント体制が追い付かなければ、食の安全の問題が起こることも不思議ではない。
スターバックスにとって中国市場は間違いなく重要だ。スターバックスの社長兼最高経営責任者ケビン・ジョンソン氏は、中国市場には成長の余地があると考えており、「米国と中国市場が主にスターバックスの成長をリードしている」と何度も述べている。
中国市場に新たなコーヒーチェーンが次々に誕生する中、スターバックスは食の安全に関する問題を起こした。スターバックスが消費者から「期限切れ」の烙印を押される日は来るのだろうか。
米国東部時間12月13日の終値で、スターバックスの株価は1%下落して115ドル56セント(約1万3130円)となり、時価総額は1356億ドル(約15兆4000億円)となった。
(翻訳・普洱)
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