楽曲認識に対するニーズが増大、カラオケアプリ「音遇」が後押し

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

テクノロジー注目記事

楽曲認識に対するニーズが増大、カラオケアプリ「音遇」が後押し

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

カラオケバトルで遊ぶソーシャルアプリ「音遇(inyu)」が盛り上がっている。このアプリは歌の上手さを競うもので、自身と自動的に選ばれた対戦相手(5人)が曲の一部のパートを歌うと、AIが原曲に照らして勝ち負けを判定してくれる。

ここで使われている楽曲認識技術そのものは、特に新しいものではない。ゲーム会社「シャンダゲームズ(盛大遊戯)」が2008年にリリースした音楽ゲーム「巨星」に、すでに搭載されていた。

「ACRCloud」が設立されたのは2015年のことだ。音声識別技術に特化した企業で、これまでに楽曲認識、鼻歌(ハミング)認識、ライブチャンネル検出など、さまざまな自動認識技術を開発するとともに、インターネットサービス企業やテレビ局向けには放送コンテンツ識別プラットフォームを提供してきた。

音楽情報検索技術を競うコンテスト「MIREX」の結果(2013〜2016年)。ACRCloudは好成績を残している

ACRCloudの共同創業者である李蘊博氏によると、同社の中心メンバーは音楽認識アプリ「Shazam」、オンライン書店「当当網(dangdang.com)」、ファーウェイ、映画専門メディア「電影網(M1905.com)」などで業務に従事した経歴を持ち、中にはアルゴリズム研究や音楽・動画業界に精通したメンバーもいる。こうしたメンバーのバックグラウンドが同社のビジネスを加速させているという。

例えば、オンラインミュージックプラットフォーム「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」やカラオケソーシャルアプリ「唱吧(Chang ba)」、シャオミ(小米科技)などは同社の技術を採用して関連サービスを提供している。また、「Deezer」(フランス)や「Anghami」(レバノン)、「KKBOX」(台湾)などの各国・地域の音楽配信サービスにも同社の楽曲認識技術は採用されており、テレビ局は関連技術を広告音楽の著作権の管理・監視などに役立てているという。

注目すべきは、最近、国内外の音楽ソーシャルアプリおよび音楽ゲームアプリで、ユーザーの歌唱レベルを自動評価する機能に対するニーズが高まっていること。そこで、ACRCloudの研究チームは、新たに鼻歌識別技術や客観評価技術を開発。また、顧客の要望に従って専用オーディオライブラリを提供することで、曲のアップロード速度を最適化し、ライブラリの運営コストを下げている。

同社のサービスはグローバル展開されており、中国本土だけでなく、アジアや欧米などにもネットワークサーバーを設置している。目下、ユーザーは世界180カ国に跨っており、無料会員は3万ユーザー、有料会員は2000ユーザーに達している。

同社は主にB2B向けにSaaS形式で楽曲認識サービスを提供。顧客企業はこの技術を活用して自社製品を開発することができ、同社はサービス料を徴収することで収益を上げている。前出の李氏は「音遇が人気になれば、我々の業界も成長を遂げられる。来年はさらに収益を上げられるだろう」と期待を述べている。

設立当初、同社の運営資金は100万元(約1600万円)しかなく、従業員も10人程度だったとのこと。しかし、設立後1年目から業績は安定し、売り上げは年約2倍のペースで増加しているという。
(翻訳・飯塚竜二)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録