中国がゲーム認可を再開、しかし中小ゲーム企業は海外進出へ

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12月21日、共産党中央委員会宣伝部出版局の馮士新副局長は「2018 中国遊戯年度産業大会(CHINA GAME INDUSTRY ANNUAL CONFERENCE)」の中で、一部ゲームを対象に認可を再開したことを明らかにした。同時に、審査待ちのタイトルは多く、すべての認可には時間がかかることも示唆したという。

経済紙 「21世紀経済報道」が業界関係者の話を伝えたところによれば、現在審査待ちのタイトルは7000以上。手続き中断前の審査件数は1カ月最大300件程度だったので、審査が完了するまでにはかなりの時間を要するという。

また、今回の審査再開を受けて、新たな審査の申請が殺到することも予想される。そのため、審査の権限が中央から省クラスへ移管され、審査プロセスを加速させる可能性もある。

中国メディア「澎湃新聞(The Paper)」によれば、海南省常務委員で宣伝部部長の肖鶯子氏が、同省が新しいゲーム審査体制の構築に取り組んでいると明かしたという。具体的には、ポジティブ/ネガティブリストを作成して、新タイトル開発プロジェクトの立ち上げ時にふるいにかけ、産業の健全化を促すという政策。審査プロセスについては、AI審査および専門家審査の2体制を敷き、審査の正確性と効率性を高めていく。また、オンラインゲームのプレイ状況をリアルタイムで監視するシステムを導入し、より科学的なアプローチで管理する方針も示したという。

多くのタイトルが審査待ちの状況下で、こうした試みはゲーム関連企業にとって朗報に思えるかもしれない。

しかし、ライセンス発行数を抑えるという政府の基本方針に変わりはない。今年8月、教育部など8つの行政部門が共同で制定した「児童および青少年の近視の予防と管理のための総合的実施計画」によれば、国家新聞出版局はオンラインゲームのタイトル数を抑えるとともに、新しいゲームの運営許可数も抑制する方針を示している。そのため、認可が再開されたとしても、実際に発行される運営ライセンスは制限されることになる。

誰が得して、誰が損するか?

今年は、3月にゲーム配信認可が凍結され、12月には新たにオンラインゲーム倫理委員会が設立された。もし今回のニュースが報じられていなければ、国内ゲーム業界にとって、2018年は散々な1年になるところだった。

「テンセントゲームズ(騰訊遊戯)」は今回の報道を歓迎している。数千万ものデイリーアクティブユーザーを抱えるスマホ版PUBG「刺激戦場」の課金を再開できるからだ。しかし、このゲームは韓国からの輸入ゲームなので、別の制限を受ける。文化部が公布する「インターネット文化経営許可証」は、外資のゲーム企業を認めていないからだ。まずはこの文化経営許可証を取得しないと、運営ライセンスの申請には移れない。

とは言え、認可再開のニュースはゲーム企業の株価を上昇させた。香港市場に上場しているテンセントの株価は4.51%、同社の米国預託証券(ADR)は3.40%、米ナスダックに上場している網易(ネットイース)の株価は3.65 %上昇した。

気になるのは、中小ゲーム企業を取り巻く環境だ。「上海墨白計算機科技(Moby Computer)」CEOの姜逸斐氏は「大手企業にとっては良いことだが、小さなゲーム企業にとっては『終焉』を早める原因になる」と警告する。先に大手企業のタイトルが審査を通過すれば、大部分のトラフィックを奪われると危惧しているのだ。

さらに、同氏は、トラフィックによってビジネスを拡大させてきた中規模ゲーム会社にとってもあまり良い状況ではない、と見ている。大手企業の人気タイトルが市場に投入されてトラフィックの大部分を占められると、トラフィック獲得コストも上昇するからだ。つまり、認可が再開されても、一部のトップ企業しか恩恵を受けられない可能性がある。

新政策は「絶対悪」ではない

認可凍結がゲーム業界を苦境に陥らせた直接の原因ではない、ということも忘れてはならない。一番の原因は、製品自体の創造性の欠如、運営資金の枯渇などといった内的要因であり、ライセンス問題は一種の都合の良い「言い訳」と化していた。

ゲーム業界に精通する羅斯基氏は、基本的にはゲーム業界の問題は製品、次に資金、最後に認可だと指摘している。しかも、認可の凍結と再開が本当に影響を与えるのは大手のみで、中小には「さほど影響はない」と断言する。と言うのも、無許可で運営される中小のゲームが通報されたとしても、運営停止の措置が下ることは少ないからだ。多くの人に注目されている大手のゲームはそうはいかない。

また、今回の政策の緩和は、同時に緻密な審査プロセスをも伴うだろう。映画のように審査が厳格になると予想される。

オンラインゲーム倫理委員会の誕生やタイトル数制限などの新しい政策は、審査を申請する前に企業自身で審査を行う必要があることを意味しており、自社製品への客観的かつ専門的な審査能力が必要となってくる。

こうした規制への適応力は、大企業と中小企業では異なる。前出の羅氏の分析によれば、大手は比較的厳格にルールを守っている。中小に比べて、大手には十分な資金や人材があり、政策の変更に速やかに対応できるという強みがあるのだ。 また、製品の研究開発プロセスでも多くの問題を回避する能力を備えているので、大手と中小の「格差」は今後さらに開くかもしれない。

認可の停止に伴って市場争いがクールダウンしている間に、ゲーム企業は海外に活路を求めた。この傾向は止まらないだろう。大手との差がますます拡大している以上、特に中小の海外進出はさらに加速するに違いない。

いずれにせよ、ゲーム事業者は今回の政策が「絶対悪」ではないという現実を認識する必要がある。オンラインゲーム倫理委員会の誕生は、中国ゲーム業界の転換期でもある。製品審査がコストの上昇を招くなどの問題を除けば、業界を管理する機構の誕生は、業界が成熟した証でもあるのだ。
(翻訳・飯塚竜二)

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