動画配信大手の愛奇芸、広告テックに出資。AIがコンテンツ内に商品・ロゴ合成

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デジタル技術を駆使した動画広告を手がける「海米文化(HaiMi Culture Media)」がシリーズAで資金調達を行った。出資したのは中国の大手動画配信サービス「愛奇芸(iQIYI)」。海米文化は自然な形で動画に溶け込むコンテンツマーケティングをメインに展開している。2020年に愛奇芸と戦略提携を結び、デジタル技術を取り入れたプロダクトプレイスメント(PP、商品やロゴなどを映像コンテンツの背景や小道具として登場させる広告手法)の生産から管理までを一本化したマーケティングプラットフォームの開発と建設を行っている。

デジタル技術を活用した広告がトレンドに

プロダクトプレイスメントは、数ある広告手法のなかでも制作プロセスが煩雑だ。しかもコンテンツ撮影時には広告を完成させておかなければならず、ビジネスシーンの変化に合わせて柔軟に調整できないため、広告主にとってはリスクが高い。またこれまで映画やテレビのプロダクトプレイスメントは広告会社が請け負い、1つの広告枠には1つのブランドの広告しか挿入できないため、広告収入の増加はあまり望めなかった。

海米文化はコンテンツ撮影後に広告を合成して入れ込む手法を通じて、広告配信の効率化に力を注いでいる。

ブランド側はAI技術を使って、撮影済みの動画から広告を挿入できるシーンを自動的に判別し、後処理で特定のシーンに広告を埋め込むことができる。広告のサイズや表示時間、位置はシーンに応じて自動で調整され、コンテンツを邪魔することなく自然に表示できる。

海米文化ではネイティブ広告をデジタル合成できるため、同一の広告枠を複数のブランドの広告に差し替えて使い回すことが可能になった。またブランド側も露出回数や配信時期に応じて広告費の支払いを行える。

立体物を合成した広告の事例

海米文化は動画中に登場する壁やテレビ画面などの平面に広告を合成する技術のテストを完了しており、実際に活用が始まっている。すでに動画100作品ほどのシーンタグ分析や広告枠のイベントトラッキング(ユーザーの行動追跡)、広告効果の検証を行ってきた。

上記の合成技術をベースに、同社は映像空間に立体物を合成する広告の制作にも取りかかっている。平面に入れ込む広告に比べ、立体物を入れ込む広告は光の当たり方や位置関係などで複雑さが増す。立体物を映像内に合成するにはまず映像空間のモデリングを行い、物体を空間内に配置して、シーンに応じて商品の材質を表現できているかを確認する必要がある。プラスチックや金属などの質感を可能な限り忠実に再現するため、同一空間でもそれぞれ異なるライティングが必要になる。現在、海米文化は大量のテストを通じて汎用パラメーターを収集しており、同一環境で全ての素材の質感を表現できるようになっている。

海米文化は立体広告のテストも終え、現在はマーケティングプラットフォームのインターフェースと接続を進めているところで、間もなくさまざまな動画メディアで目にすることになるという。

愛奇芸に協力を仰ぐ

海米文化はスポーツの試合中継に合成するバーチャル広告からスタートし、業界についての知見や判断力を積み重ねてきた。多少の回り道はあったものの、長い期間をかけて技術面での進歩を続け、これまでに特許とソフトウエア著作権をそれぞれ13件取得している。

2020年に愛奇芸と戦略提携を結んだ海米文化だが、それ以前にも複数の動画プラットフォームと連携してきた。最終的に愛奇芸との提携を決めたのは、広告の商品価値がコンテンツの質と視聴数に大きく依存しているからだ。愛奇芸と提携すれば、海米文化のビジネスは今後さらなる成長が見込める。

同社の楊凱CEOは次のように語る。「今後は、映画やアニメ、ゲームなどさらに多くの種類のコンテンツへと拡大していくつもりだ。当社は長編動画だけではなく、ライブ配信やショート動画、さらにはARやVRの分野でも技術を蓄積してきた。長編動画はそのうちの一部に過ぎない。私たちが目にするどんな動画コンテンツにも広告を合成することができる。その意味で当社はテクノロジーを駆使したメディア企業といえる」
(翻訳・畠中裕子)

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