テレワークの普及で需要増、リモートデスクトップ「久尺」が45億円調達

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PC遠隔操作ソフトを開発する「久尺網絡科技」が、エンジェルラウンドで2億5000万元(約45億円)を調達した。「高榕資本(Gaorong Capital)」、「雲九資本(Sky9 Capital)」、ライブストリーミング大手「歓聚集団(JOYY)」傘下の「NBT基金」が出資した。

久尺は通信とクラウドAIを手掛けるインターネット企業で、リモートデスクトップ(RDS)、仮想デスクトップ(VDI)およびクラウド型仮想デスクトップ(DaaS)を扱う。うち、リモートデスクトップは主にテレワークやリモート技術サポート、IT設備管理、リモートゲーム、共有グラフィックスワークステーションなどで使用する。

久尺は当初、企業向けリモートデスクトップを手掛けていたが、2021年7月に個人向けリモートデスクトップソフト「ToDesk」を買収。ToDeskのユーザーを取り込み、ユーザー数を爆発的に増加させた。

仮想デスクトップはリモートデスクトップをバーチャル化したものといえる。集中管理により企業データの安全性向上とコスト削減が可能になる。

このほか、仮想デスクトップを共有化すればクラウド型仮想デスクトップ(DaaS)になる。これを使えば、中小企業や個人が場所や時間を問わずに計算資源を利用できる。特にクラウドゲームや動画編集、レンダリングなどに適している。

リモートコントロールソフトは、5Gの普及やテレワークの広がりなどを背景に需要が増加している。

久尺の創業者、胡建強氏は「クラウドコンピューティングの新たな革命は、端末のクラウド化だ。今後はあらゆる端末がクラウドにアクセスできるようになる。コンピューティングとストレージはクラウドでカバーし、端末には表示機能だけが残る」と話す。

リモートコントロールには現在2つの課題がある。1つ目はネットワークの条件だ。まず、エクストラネットからイントラネットにアクセスする過程で、データの喪失や接続の中断を招きやすい。次に、2つ以上のプロバイダーを通じてデータの送信をする際、遅延が発生しやすい。さらに、国をまたぐなどの遠距離送信によるデータ損傷の問題がある。2つ目は安全性で、多くの企業はハッキングなどによるデータ漏洩を懸念している。

久尺の強みは、ネットワーク条件の難題を効率よく解決する点にある。同社が開発したビデオデコーダーはデスクトップで使用できることが特徴で、圧縮効率を20%高めて送信時の通信容量を減らすことができる。また、自社開発のアルゴリズム、ARQ(自動再送要求)およびFEC(前方誤り訂正)により遅延を最大限減らしている。さらにパブリックネットワークではクラウドに中継ネットワークを構築し、ネットワーク全体の送信効率を向上させている。これらにより、低遅延・高画質を実現している。

安全性も久尺の強みだ。企業向けソフトウエアを例に取ると、管理者はリモート操作が実行される前に、ユーザーやデバイス、権限などについて詳細に設定することが可能。操作中もリアルタイムでアラート通知を受け取り、キーを押すだけでネット接続を切断できる。操作後は、コントロールパネルで記録を確認する。

ToDeskのインストール件数は現在、3000万件を突破している。久尺は、22年に仮想デスクトップとクラウド型仮想デスクトップをリリースする予定だ。

胡氏は北京大学でコンピュータサイエンスを学び、マイクロソフトやアリババなどに勤めた。14年にライブ配信アプリ「BIGO LIVE」を運営する「BIGO Technology」を共同設立し、19年に総裁に就任した。胡氏は開発経験が豊富で、個人でも中国と米国で特許を取得している。

(翻訳・二胡)

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