テンセント、投資戦略に変化 ハイテク産業へ軸足を移す

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中国IT大手テンセント(騰訊)は2021年年末、保有するEC大手「京東集団(JD.com)」の株式うち約4億6000万株を中間配当として放出した。これによりテンセントの持株比率は17%から2.3%となり、京東の筆頭株主から退いた。テンセント総裁の劉熾平氏も京東の取締役を辞任することとなった。

さらに最近、同社が保有している中国生活関連サービス最大手の「美団(Meituan)」と、共同購入型EC「拼多多(Pinduoduo)」の株式も売却する可能性があると、ブルームバーグインテリジェンス(BI)が報じた。

大企業に成長した京東

今回の保有株式の調整について、テンセントの関係者は「今が潮時だ」と語る。

テンセントの重要な投資戦略の一つは「発展段階の成長企業に出資する」ことで、投資先が自身で資金調達できるようになれば出資を終了するというものだ。

公式情報によると、テンセントは2014年3月に京東への出資を開始し、ここから8年近くにわたる両社の戦略提携がスタートした。京東は今や米国と香港で上場を果たし、時価総額は8600億香港ドル(約12兆6300億円)に達している。傘下の「京東物流(JD Logistics)」と「京東健康(JD Health)」も分割上場しており、京東はすでに資金を調達する十分な能力を備えている。

京東はすでに黒字化も達成している。最新の財務報告によると、2021年第3四半期(7~9月)の売上高は前年同期比25.5%増の2187億元(約4兆円)で、営業利益は26億元(約470億円)、Non-Gaapベースの営業利益は46億元(約830億円)だった。

京東としても株主構成の多様化を進め、テンセントへの過度な依存というイメージからの脱却を図っているのかもしれない。現在、米小売大手ウォルマートが持株比率9%あまりで、3番目に大きな株主となっている。

技術分野に重点を置いた投資戦略

テンセントはその事業特性から幅広い分野への出資を行っており、「限りなく財務的投資家に近い戦略投資家」として知られている。拼多多創業者の黄崢氏は2018年に取材を受けた際、テンセントが拼多多に出資したのはアリババに対抗できるからではなく、投資に対するリターンを得られるというビジネス的な理由によると語っている。

とはいえ、テンセントの投資戦略には新たな特徴が見えてきた。これまで長期間にわたり京東や拼多多など消費分野のインターネット企業を支援してきたのに対して、現在は「硬科技(=Hard & Core Technology)」と呼ばれる高度な技術分野の革新的なベンチャー企業に対する投資を拡大しているのだ。

テンセントはつい最近も、GPU開発企業「摩爾線程(Moore Threads)」にシリーズAで20億元(約360億円)出資したばかりだ。それ以前にもチップメーカー「燧原科技(Enflame)」に複数回出資している。

医療ヘルスケア分野でもテンセントは昨年、創業わずか2年のバイオ医薬品企業「華毅楽健(Huayilejian)」に戦略投資を行ったほか、「睿心智能医療(Raysight Medical)」や「極目生物(Arctic Vision)」など最先端のバイオテクノロジー企業に対してアーリーステージの出資を行っている。

36Krがまとめた大まかな統計によると、2020年初めから現在までにテンセントが出資したテック企業は100社を超えており、その分野はクラウドサービス、AI、ビッグデータ、IC、医療ヘルスケア、自動運転、フィンテック、ブロックチェーン、バイオテクノロジー・製薬、スマート製造など幅広い。

2018年以降、テンセントは投資戦略の軸足をECやショート動画などの消費分野から、チップやスマート技術などのより実体のある産業分野へと移してきた。しかもここ2年の投資実績を見るとアーリーステージにおける投資が突出しており、中でも科学者が起業したテックベンチャーなどへの支援が手厚い。

今回、テンセントが京東の持株比率を引き下げたことは、同社の投資戦略において大きな意義を持つのかもしれない。そして今後、テクノロジーを主体とした産業分野への投資にさらなる比重を置くことは間違いないだろう。
(翻訳・畠中裕子)

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