日本にも進出、中国発スマート照明「Yeelight」がシリーズEで54億円調達

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

日経スタートアップ注目記事

日本にも進出、中国発スマート照明「Yeelight」がシリーズEで54億円調達

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

世界規模で事業を展開する中国スマート照明ブランド「Yeelight(易来)」がシリーズEで3億元(約54億円)を調達した。出資者は「光控股(China Everbright)」傘下の産業基金、「華泰紫金(Huatai Zijin Investment)」傘下の投資機関、「新動能資本(New Growth Drivers Fund)」「青島科創母基金(Qingdao Science & Technology Innovation Fund)」などで、「泰合資本(Taihecap)」が財務アドバイザーを務めた。

Yeelightは2012年に設立され、スマート照明製品の設計、研究開発、販売などを手掛けている。充実した製品ラインアップを揃えており、家庭用、商業用の照明のほか、スマート制御システムおよび一体化ソリューションを提供している。現在の社員数は約500人だ。

IoT時代の到来とともに盛り上がりを見せるスマートホーム業界は、中国ではすでに10年以上の歴史があり、業界は細分化され多くのプレイヤーが参入している。これは従来の家電業界にとって大きな転換期であり、多くの分野で技術の進化と融合が起こっている。その中でもスマート照明は大きな潜在力を持つ分野のひとつだ。

IT専門調査会社IDCのデータによると、2020年、中国のスマート照明器具市場の出荷数は前年比で71.4%増加した。2020〜25年の年平均成長率(CAGR)は約70%、2025年の出荷数は1億台を突破すると予想されている。政府系シンクタンク「前瞻産業研究院」のデータによると、2022年の中国のスマート照明業界の市場規模は431億元(約7700億円)、年成長率は23%、2025年までに1000億元(約1兆7900億円)を突破するとの予測だ。

従来の照明業界は製品の利便性や照明が住環境と生活の質に与える影響を軽視してきた。その結果、大部分の消費者の照明に対する意識も高くない。だからこそ照明メーカーは業界を作り変える大きな可能性を秘めている。

同社創業者でCEOのエリック・ジャン(姜兆寧)氏は、照明環境と生活の質の関係は深く、消費者にその必要性を理解してもらう必要があるだけでなく、現場に精通した専門のインテリアデザイナー、照明デザイナーを育成することも必要だと語る。

中国発スマート照明「Yeelight」青空照明

この課題を解決するために、Yeelightは2019年から新しいビジネスモデルを模索し始めた。

1つめはインテリアデザイナーがオーダーメイドの照明設計を行う照明コンサルタントの役割を果たせるよう支援することだ。オーダーメイド設計のサービスは現在、月平均約2000件を受注している。また設計ツールの改良を行い、設計・納品のコストを大幅に削減した。

2つめはTikTok中国版「抖音(Douyin)」との提携だ。ショート動画やライブ配信を通じて消費者の照明に対する意識を向上させ、家庭内でのスマート照明へのニーズを刺激してきた。

3つめは実店舗を展開してそれぞれに照明デザイナーや施工エンジニアを配置することだ。来店客に照明の設置、調整などのサービスを提供している。1、2級都市を中心に200店舗あり、今年中には400店舗を超える計画だ。

同社のスマート照明製品マトリクス

また、同社はオフライン市場とオンライン市場に対して、それぞれ異なる戦略を展開している。

価格競争が激しく利益を得るのが難しいオンライン市場では、革新的な製品で差別化を図る戦略を採用。実店舗では質の高い設計サービスと照明環境を提供することで顧客を獲得している。

豊富な商品とサービスを展開するには基礎となる技術力が必要だ。「最も重要なのは通信技術だ」とジャンCEOは語る。住環境における無線通信の安定性、信頼性、反応速度、障害の検出力などが欠ければ、スマートホーム化を阻む原因となる。Yeelightの技術チームは通信技術に関して豊富な経験を持っている。

同チームはBluetooth Mesh(多数のデバイスを相互接続し、建物全体をカバーできる規模のメッシュネットワークを備えた近距離無線通信規格)に基づいた照明のスマート制御システム「Yeelight Pro」を開発した。Bluetooth Meshは遅延が少ない、反応が早い、障害耐性が高いなどの特徴があり、複雑で変化の多い照明環境を管理でき、音声やタッチパネルによる操作に対応する。シャオミ傘下のIoT家電ブランド「米家(MIJIA)」、アップルのIoTサービス「HomeKit」など主要なスマートホーム向けプラットフォームにも対応している。

設立以来、Yeelightのスマート照明製品の世界出荷数は累計5000万件を超えている。2021年の1年間は光をデザインできる照明器具とカスタマイズサービスという新しいビジネスモデルを導入したことで、売上高の伸びが前年比25%を超えると見込まれている。新規事業の商業施設向けスマート照明も多くの成功事例を積み上げ、成長が徐々に加速している。

同社はすでに日本、韓国、ロシア、欧米などに進出し、海外での販路と売上高も倍増している。

スマート照明体験ショップ

Yeelightの長期目標は海外進出を進め、グローバルなテクノロジー企業として常にユーザーの期待値を超えるような製品を提供することだ。今後5〜10年以内に世界的なスマート照明企業となることを目指し、市場シェアは海外で50〜60%、国内で30〜40%を目標とし、店舗展開を速め、5年以内に約1000店にまで増やす計画だ。

(36Kr Japan編集部)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録