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「北京では22時以降、滴滴でタクシーを呼ぶと30分以上待たされる」。こう語ったのは会社員の劉宇氏だ。
数字で示せば、事態はより深刻だ。配車アプリ「滴滴出行(DiDi Chuxing)」の関係者は、この数カ月間、北京では23時以降に配車できる車両数が1万台程度であると明かしており、業界筋も「この時間帯では需要が供給をかなり上回っている。クリスマスや新年には需要が普段の数十倍から100倍に達する」と述べている。
滴滴の契約ドライバーがオーダーを受け付けないのか、それとも単純に車両が不足しているのか。答えはどちらでもない。この状況を生み出した根本的な原因は、22時以降の営業は「五条規定」を満たせるドライバーのみに許可を与えると、滴滴が定めたためだ。
五条規定では、京人京車(北京戸籍のドライバーと北京ナンバーの車両)であること、滴滴にドライバー登録をして半年以上が経過していること、運転歴が3年以上あること、クレーム率が1%を超えていないこと、1000件以上のオーダーを処理したことが求められる。
この結果、多くのドライバーがふるい落とされた。滴滴の関係者は「すべての条件を満たせるドライバーはほとんどいない」と明かす。
中でも「クレーム率が1%を超えてはならない」という条件はドライバーの間で物議を醸した。乗客が車内に忘れ物をした場合、ドライバーにはカスタマーサービスを通じて連絡が入るが、これも「クレーム」の1件に数えられてしまう。ドライバーが「割に合わない」と感じるのも仕方のないことだろう。
2018年8月下旬に発生した「順風車事件」(浙江省で相乗りサービスを利用した女性がドライバーに殺害された事件)をきっかけに、滴滴の多くのドライバーが契約を打ち切られた。そのほとんどは「快車(普通車両)」サービスのドライバーだ。ある関係者によると、かつては経済犯罪歴があるドライバーでも登録ができたが、事件後は許可されなくなり、同時に過去にセクハラなどで訴えられたドライバーも登録から抹消されたという。
事件後、交通運輸部を含む10の政府部門が北京と天津に調査組織を設けて本格的な調査に入った。その結果、滴滴には重大な安全上のリスクがあること、安全上の責任を怠っていることなど7分野33項目もの問題点が指摘された。こうした流れを受け、滴滴は12月に27の業務改善案を発表。順風車サービスの無期限停止が正式に決定した。
(翻訳・飯塚竜二)
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