2019年、教育ベンチャーが考えるべき商品力

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2019年、教育ベンチャーが考えるべき商品力

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2018年上半期に教育系企業の上場が相次ぎ、出資の動きも活発化した。しかし、下半期には上場企業の株価は下落して、投資総額は40%近く縮小した。環境は冷え込んでおり、政策面での対応が急がれる中、インターネットのトラフィックで利益をあげられた時期は終わりつつある。

過熱と冷却を経験した2018年、そして2019年の教育ベンチャーについて、方向性、資本の流れ、創業者が準備すべきことを考えてみたい。

教育の需要は底堅く、より良い教育リソースや教育方法を求める人々のニーズは増えるばかりだ。1兆元(約16兆円)規模の市場が存在し、最大の顧客である学生と保護者のニーズがあり、投資先を求める資本もある。2019年の教育ベンチャーをめぐる新たな競争が始まろうとしている。

新たな思考:コンプライアンス

2019年には政策が厳格化すると見込まれており、創業者にとってまずは法令順守が重要になる。目を付けられた教育訓練機関やオンラインツールを製品とした事業者らは、すでに収入の道を断たれている。受講料の前納は3か月分までと制約されて収益の重要な柱を失った今、教育ベンチャーは、最高の製品とサービスを有していないと市場から認められないのである。

新路線:早期幼児教育、素質教育、国際教育、職業教育

K12(幼稚園年長から高校までの13年間)、早期語学教育という2大ニーズはすでにほぼ満たされている。「学而思網校(Xueersi Online School)」、「猿補導(Yuanfudao)」といった大手に加えて、「VIPKID」や「掌門1対1」なども科目とクラスを拡充しており、新規参入者にチャンスはあまりない。

ただし、1兆元規模の教育市場では、ニッチなニーズは存在しており、コンテンツも未だに供給不足だ。eラーニングの対象はK12から乳幼児や中高年へ、分野はさまざまな素質や人間性を育てようとする「素質教育」や国際教育などへ、それぞれ広がっている。

2019年の投資対象は、早期幼児教育、素質教育、国際教育、職業教育の4領域に絞られそうだ。

1. 早期幼児教育熱は2018年に少しずつ高まり、「凱叔講故事(Kaishu Story)」、「宝宝玩英語(Baby English)」などが大型の出資を獲得した。VIPKIDや猿補導も低年齢教育プロジェクトを進めている。

「スタートダッシュで子供を負けさせたくない」という焦りと消費力の向上が、学齢前教育への関心を高めている。しかし、現在の市場では優良コンテンツが不足しているため、この分野は2020年まで活況が続きそうだ。

2. 素質教育は2018年上半期に一時盛り上がりを見せて下半期には落ち着いた。素質教育の定義は「試験対策以外のすべての教育」であり、理数系や英語口語などのほか、校外教育、自然教育、STEAM教育(科学・技術・工学・数学・芸術)、ロボット、スポーツや音楽、絵画、ダンス、チェスなども含まれる。

3. オンライン国際教育は、2018年下半期には大手VCやFAの注目を集め、水面下で多数のプロジェクトが動いている。

従来は留学に集中していた国際教育は、2018年下半年以降には変化している。国内のインターナショナルスクール、留学前教育、留学後の人生設計構築といったプロジェクトは、いずれも十分な資金を調達している。

4. 景気が下降局面にある中、企業の人件費は上昇し、就職前・就職後の専門技能の教育を求めるニーズが高まっている。

ニューマーケット:地方市場

多くの投資家や創業者が中小企業の起点として地方に注目している。

3~5級都市では、優秀な教師の不足と偏在という問題が以前からある。各種オンライン授業(一対一、小クラス、ネットスクールなど)は需給のアンバランスを緩和する有効な手段だ。

B2Cでは地方都市で一対一や小クラス、ネットスクールが先行しており、B2Bでは幼稚園や公立学校などで「双師(講義する教師とサポートする教師の2人体制)」モデルの導入が始まっている。

地方都市で利益を上げるボーナス期は一時的なものだ。大手が攻めてくれば、中小ブランドは地方都市で基盤を固めていても厳しい戦いに直面するだろう。

ニューテクノロジー:「教育+AI」

過去数年、教育業界でもAIがもてはやされた。しかし、学習の効率と効果の両面で実質的な差が見られなかった。そこで、教育における核心はやはり「教師の質」と「コンテンツ」であると再認識されつつある。

猿補導では、教師の授業を録画して制作した「AIクラス」の研究に取り組んでいる。AIがインタラクティブに応答し、学生は本物の教師の授業を受けているように感じる。「教育+AI」の流れが、今年でなくとも近い将来に教育産業を変革していくことは必至である。

ニューマーケティング:商品力の向上

2019年、微信(We Chat)のミニプログラムは、引き続き優れた集客チャネルになると考えられる。ただし、微信はより厳格になっており、微信のみに頼るのはリスクが高い。TikTok(抖音)のショートムービーなど、新たな道を模索する必要がある。

しかし、有能な創業者であれば、商品力の強化に力を注ぐべきだ。品質が劣るコンテンツと製品は継続率の低下をもたらすだけで、一時的に多くの顧客を集めても最終的に残る顧客の割合は低水準で終わる。結局、全ての前提は高い商品力ということだ。
(翻訳・林森)

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