Z世代が夢中!次世代メタバースSNS「BUD」が資金調達、3D世界を簡単に創る

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Z世代が夢中!次世代メタバースSNS「BUD」が資金調達、3D世界を簡単に創る

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メタバース(仮想世界)に主軸を置いたソーシャルプラットフォームの「BUD Technologies」(以下、BUD)は、シリーズA+で1500万ドル(約17億2000万円)を調達したと発表した。今回中国の大手ベンチャーキャピタル「啓明創投(Qiming Venture Partners)」が出資を主導し、既存株主の「源碼資本(Source Code Capital)」「紀源資本(GGV Capital)」「雲九資本(Sky9 Capital)」などが出資に加わったほか、「穆棉資本(MM Capital)」が単独で財務アドバイザーを担当した。資金は主に海外事業の研究開発や成長に充てられる。

BUDは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を中心とする次世代型ソーシャルメディアプラットフォームであり、使いやすいノーコードツールを使用することで誰もが自分なりの3Dインタラクティブコンテンツを作成できる。対象ユーザー層は世界中のZ世代(2000年代以降生まれの若者)で、この世代を中心に新たな交流の場として急速に広がりつつある。同社は、メタバースの没入型体験、個性溢れるUGC、膨大な3DデジタルコンテンツのAI(人工知能)レコメンドのほか、注目トレンド、ファッション、創造性といったZ世代に受け入れやすい表現方法を用いて、未来型ソーシャルプラットフォームの枠組みを拡大し続けている。

BUDの共同創設者であるリサ氏は「BUDの基盤となるテクノロジーは異なるプラットフォームにも対応できるもので、UGC媒体としての可能性は無限だ」と語る。また「弊社の理念は、技術革新と商品設計を通じてファンタジックな3Dシーンの作成やメタバースの世界構築を誰もが簡単にできるようにすることであり、将来的には技術を向上させゲーム、AI、仮想キャラクター、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)等の使用も可能にしたい」と示した。

BUD エディター

米アプリ分析会社「App Annie(アップアニー)」の調査によると、BUDの海外向けiOS版は2021年11月5日に、Google Playでは同年10月30日に正式リリースされた。グローバルリリースから1ヶ月の間に、BUDは他のソーシャルメディアプラットフォームを介し爆発的に広がった。その結果、米国を含む多くの国のアプリストアでSNSアプリランキング上位5位に入り、その後数ヶ月の間もユーザー数は増加している。また、米モバイルアプリ調査会社「Sensor Tower」によると、2021 年 12 月の同アプリのダウンロード数は全世界で 120 万回に達した。

BUDの急成長は、表面的にはゼロコストで瞬く間に拡散したことに起因するように見えるが、本質的な理由は3D世界を簡単にカスタマイズできる商品の魅力にある。リサ氏によると「BUDのクリエイターの多くは、プログラミングもモデリングもできない普通の女の子であり、BUDが初めて扱いやすく創造的なツールを提供し創作のハードルを下げたことで、面白く自由度の高いコンテンツを作れるようになった」と語る。

BUD ユーザー作成の 3D インタラクティブ コンテンツ

BUDのユーザーはテキストボックスやテレポートドア等の豊富なツールを使用して自由に3D世界のカスタマイズができるほか、他のプレイヤーが作成した多様な音楽やパルクール、建築、ドラマのストーリーなど話題のアイテムを再生することも可能だ。

この1年間、メタバースや次世代型ネット技術「Web3」がインターネット領域を席巻し、Facebook、テンセント、TikTokを運営する中国バイトダンス(字節跳動)といったSNS大手を含むソーシャルプラットフォーム全体が成長鈍化の懸念に直面した。打開策としてFacebookはメタバース重視に舵を切り社名を「Meta(メタ)」に変更したほか、テンセントはあらゆる分野でのインターネット活用に注力、バイトダンスはVRヘッドセット開発の「Pico Technology(小鳥看看科技)」を買収するなど、次世代プラットフォームやテクノロジーの整備を進めている。メタバースやWeb3でも分散化が主流となり、ソーシャルプラットフォームの世界においても単独寡占が難しくなる中、同分野のスタートアップにとって大きなチャンスが到来している。

現在は試練とチャンスが併存する状態だが、ゲーム、ソーシャルネットワーク、生産性ツール等のプラットフォーム間の境界線はいまや曖昧になりつつある。メタバースという広大な分野のグローバル市場には、ソーシャルVRの「Rec Room」、ゲームプラットフォーム「Roblox」、メタバースプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」等が存在するが、各社に明確な競争関係があるとは言い難い。結局このように長期間にわたる競争では創造性や実行力がより重要視されるだろう。

BUDユーザー作成の3Dインタラクティブコンテンツ

BUDの共同創設者であるショーン氏は、将来の計画や課題への取り組み方に関し「中短期的にはユーザー数の増加と商品力の向上を優先する。ユーザーの獲得と定着に欠かせないのは創作をより身近にするための技術のほか、質と量を兼ね備えたコンテンツであり、そのためにもコアエディターの継続的な改良が最も重要になってくる」と述べた。また「AI生成のコンテンツはまだ初期段階にあるが、3Dコンテンツのレコメンドアルゴリズムは大きな競争力となっている。中長期的には、多様化と商用化を見据えてプラットフォーム上の膨大なデジタル資産の運営や、ソーシャルプラットフォーム分野のエコシステム構築に向けた布石を敷いている」と語った。

BUDはSnapchat、Facebookなどシリコンバレーに拠点を置くソーシャルプラットフォーム出身の人材を中心に、2019年に設立された。現在、従業員数は100人近くまで増加し、2022年には200人に拡大する。ショーン氏は「将来的にはシンガポールにグローバルセンターを設立し、グローバリゼーションの中心地にも現地に特化した運営および開発チームを置く」と述べた。(翻訳・大沢みゆき)

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