中国のAI研究はコンピュータビジョンにフォーカス、アリババとバイドゥは商業化を加速

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中国のAI研究はコンピュータビジョンにフォーカス、アリババとバイドゥは商業化を加速

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オランダの情報分析会社「Elsevier(エルゼビア)」の最新の研究リポート「人工知能:知識の創造、移転と応用」によると、この10年で世界のAI研究論文の数は毎年5.3%増加している。過去5年で見ると、年間平均成長率は12.9%に達した。

2017年時点で、人工知能(AI)の分野における中国の研究成果は欧州に次ぎ世界シェア2位(国別では世界1位)。今後4年で欧州を抜いて世界最大のAI研究地域になると予想されている。

出典:エルゼビア

ただし、このリポートは、中国のAI研究は基礎理論よりも応用に偏っているとも指摘している。

その第一の理由は関連政策の後押しによるものだ。もう1つの理由は、中国の人口、インフラストラクチャ、インターネット普及率などを活かして応用系AI研究に適した豊富な基本データが収集できることだ。中国科学院自動化研究所の孫哲南教授もこれらの条件が中国のAI研究の強みだとしている。

リポートは、人工知能研究におけるサブ分野として7つを挙げている。選択と最適化、計画と意思決定、機械学習と確率推論、ニューラルネットワーク、コンピュータビジョン、ファジィシステム、自然言語処理と知識表現だ。この中で中国の研究者は後者の3分野に偏っており、特にコンピュータビジョン研究に集中しているという。

また、中国のAI研究の90%以上は学術機関で行われている。企業主導のAI研究は全成果の3%に過ぎない。

どのような技術研究でも企業主導で大規模に普及してきた。人工知能も例外ではなく、本当の進歩は商業化によって実現される。この点ではコンピュータビジョンが有力な分野だとみられている。

中国のインターネット大手が研究開発力を強化する中、特にコンピュータビジョンと自然言語処理という主要分野で商業化が進められている。「現時点では、人工知能のスタートアップの6~7割がコンピュータビジョンの分野にフォーカスしている」と孫哲南教授は語る。

騰訊研究院(Tencent Research Institute)の統計によると、2005年から2017年上半期のコンピュータビジョン関連の投資は158億元(約2500億円)で、同期間のAI関連総投資額の23%を占めた。

コンピュータビジョンが最も重要となる応用分野はセキュリティと自動運転とされる。前者は比較的商品化が進んでおり、後者もビジネスの見通しは良好だ。2つの分野を現在リードしているのは、それぞれアリババと百度(バイドゥ)だ。

たとえばアリババの安全图霊実験室(Alibaba Turing Lab)では、大規模分散コンピューティングなどを使用して数百億回規模の画像検索を実行して、顔、画像、ビデオなどを識別する独自のコンピュータビジョン技術を開発。Eコマース、コミュニティセキュリティ、知的財産やコンテンツ保護に活用できるという。

アリババはまた、スマートソリューション関連のスタートアップに投資することで、AIセキュリティのエコシステムを補完している。

アリババが投資したコンピュータビジョンのユニコーン企業「商湯科技(SenseTime)」は、主にセキュリティシステムに使用される顔認識技術を持つ。その技術は広州市公安局などに採用されて、画像検索による身分照会などに使われている。報道によれば、2017年の売上高の30%はセキュリティ事業によるものだったという。

一方、自動運転の商品化は始まったばかりだ。

2018年12月、グーグルの親会社「Alphabet」が開発した自動運転車「Waymo」が無人タクシーとして商業運転を開始した。

それに先立つ11月、バイドゥの自動運転車プラットフォーム「Apollo」も中国最大のバス車両メーカー「金龍客車(KING LONG Buses)」と協力して、自動運転バスの商用試験走行を開始している。

バイドゥは2015年に無人車両開発への投資を始め、2017年4月にApolloをリリースした。これは、自動車業界と自動運転分野の企業がパートナーシップを結び、いち早く自動運転システムを確立するためのプラットフォームだ。

自動運転の研究開発におけるバイドゥの事業戦略は、必要な技術を多額の投資で獲得することではなく、オープンソースのApollo自動運転エコシステムを構築して、パートナー企業に参入を促すということだ。 Waymoも同じアプローチを採用している。

Apolloを「自動運転版Android」として確立したいバイドゥは、2018年3月に「ApolloScape」データベースのオープン化に踏み切った。昨年12月の時点で、BMWやBYDなどの自動車メーカー、コンチネンタルやBoschなど有名自動車部品メーカーを含む約100社がApolloに加わっている。
(翻訳・神江乃緒)

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