中国で一夜にして消えた「薬用化粧品」、対応を迫られる化粧品業界

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中国で一夜にして消えた「薬用化粧品」、対応を迫られる化粧品業界

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「薬用化粧品」と記された無数の商品が、一夜にして消え去った。

2019年1月10日、中国の国家薬品監督管理局(NMPA)は「化粧品監督管理でよくある質問及び回答(一)」を発布し、化粧品が「薬用化粧品」「医療用スキンケア製品」などを掲げることを違法行為と認定した。多くの化粧品メーカーのマーケティング戦略に大打撃を与えることになる。

某化粧品メーカーの従業員は36Krに対して「薬用化粧品は『薬』という言葉を使用しているため、普通の化粧品よりも効能があるように感じる。しかも長らく使われており、大衆に受け入れられている」と、現状について述べている。

回答書が発布された後、タオバオや網易厳選(YEATION)、小紅書(RED)などのECプラットフォーム上から薬用化粧品が消え去った。京東(JD.com)ではまだ少量の関連商品が表示されたが、「アベンヌ」や「ラ ロッシュ ポゼ」などの有名化粧品ブランドも表示を修正している状況だ。

長年「エイジングケアの救世主」として親しまれてきた有効成分「EGF (ヒトオリゴペプチド-1)」についても「EGFは化粧品の原材料として使用してはならない。 処方に添加したり、製品がオリゴペプチド- 1やEGFを含んでいると主張するのは違法である」と見解を述べている。

見方を変えれば、そもそも「化粧」と「薬」には一体どのような関係があるのか。NMPAによる今回の発表は、どのような影響をもたらすのだろうか。

薬用化粧品の前身

世界で初めて、医学界で広く認められた有効成分としてはレチノイン酸(レチンA)が挙げられる。レチンAの研究開発者として知られる米国のアルバート・クリグマン医師は、レチンAがニキビやシワの予防につながることを発見して、後に億万長者となった。レチンAはニキビ治療薬として発売された後、驚くべき反響を呼び起こし、各大手製薬メーカーは巨額を投じて関連製品を生み出すことになった。

同氏は初めて「コスメシューティカル」という概念を提唱し、スキンケア用品は皮膚科医が患者を治療するための手助けになると述べた。しかし、レチンAは医薬品であったため、化粧品業界は方向転換して、類似効果が期待できるレチノールを添加した化粧品を開発。政府系シンクタンク「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」のデータによると、近年、薬用化粧品業界は化粧品業界よりも成長スピードが速く、利益率も化粧品と比べて高いことが明らかになっている。一般的に、薬用化粧品の利益率は化粧品の2倍以上だという。

「ドラッグストアのみの取り扱い」である薬用化粧品は、消費者に不思議な安心感を与える。しかし、米国では、1938年に可決された法律「連邦食品・医薬品・化粧品法」で医薬品と化粧品が明確に区別されるようになり、現在も米国の法律には「薬用化粧品」というカテゴリは存在していない。

この点にはNMPAも触れており、「我が国だけでなく、世界の多くの国には法律上の『薬用化粧品』というカテゴリは存在していない。化粧品と医薬品の混同を避けることは、世界の化粧品監督部門における共通認識だ」と述べている。

また、中国の「化粧品衛生監督条例」第12条、第14条の規定には「化粧品ラベル、包装あるいは説明書に適応症を記してはならない。治療効果を宣伝してはならない。医療用語を使用してはならない。広告で医療効果を宣伝してはならない」などとも記されている。

業界健全化への第一歩

中国の 「広告法」第17条、第58条の規定には「関係のない商品広告では、医薬品や医療機器と混同するような用語を使用してはならない。これに違反した場合、行政罰を科する」と明確に記されている。端的に言えば、化粧品生産者は自社商品の広告宣伝に医療関連用語を使用してはならない、ということだ。

NMPAが今回の文書を発表した後、薬用化粧品ブランドはキャッチコピーや包装を変更するなどの対応に追われているが、依然として多くの問題は未解決のままだ。結局、薬用化粧品は使用できるのか、できないのか。薬用化粧品と呼べないならば、従来の「薬用化粧品」は普通のスキンケア用品とどのような違いがあるのか。腑に落ちない点は多い。

業界の混乱を抑えるために発布された今回の回答書だが、業界からは別の見方も出ている。空軍総医院皮膚病医院の劉瑋院長は「EU、中国、韓国では『活性化粧品』『特殊用途化粧品』『効能化粧品』など、さまざまな用語で逃げ道を作っている。言葉遊びのようなものだ」と批判的な立場だ。

現在、日本は先進国の中では唯一、化粧品と医薬品の中間に位置する「医薬部外品」というカテゴリを設けており、「薬用化粧品」に法的な地位が与えられている。

しかし、安全性とケア効果を両立した化粧品が市場に求められているのも事実だ。多くの皮膚科医が化粧品の研究開発に参画する中、化粧品、医学、薬学が複雑に入り組むようになっている。米デューク大学のZoe Diana Draelos教授は「業界がきちんと『薬用化粧品』を定義して、関連規制を整備することが重要だ」と主張する。今回の回答書は、業界健全化へ向けた「最初の一歩」にすぎないのだ。
(翻訳・飯塚竜二)

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