中国フラワーアレンジメント業界が活況、喜花仕は高級路線で勝負

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中国でフラワーアレンジメント業界が活況だ。生花アレンジメント・フラワーギフト関連の電子商取引(EC)ブランドが続々と誕生しているほか、生花の月額制サブスクリプションサービスや自動販売機、セルフサービスの生花スーパーマーケットなども展開されている。洗練されたライフスタイルを好むホワイトカラーが主な顧客層だ。

「上海では経済的自由を手に入れた一部の層が、より独創的な生花のフラワーアレンジメントを特別な贈り物にしたいと考えている」。高級フラワーアレンジメント制作・販売などを手掛ける喜花仕(CIVAS)の創業者、劉偉麟氏は36Krにこう話す。

同社は2019年に上海市で設立。高級生花を使ったフラワーアレンジメントサービスが中核事業だ。個人の年齢や職業だけでなく、性格や感性、好みに合わせ、視覚効果の異なる200パターンものアレンジを提示してくれるのが特徴だ。

劉氏によると、創業当初はぜいたく品を扱う企業や高級ショッピングモールなど法人顧客にフラワーアレンジメントサービスを提供していたが、この間に顧客の一部関係者から、特別な人向けに珍しい花材でブーケを作ってほしいという新たな要望が続いた。これへの対応が、今のビジネスモデルを築く布石となったという。

同市の底堅い富裕層の存在も、ビジネスモデル転換の追い風となった。劉氏は、中国の調査会社、胡潤研究院が21年2月に発表した20年版のウェルスリポートを引用し、同年の上海定住者のうち、1000万元(約1億9500万円)以上の純資産を保有する世帯は約25万戸、1億元(約19億5000万円)以上の純資産を保有する世帯が約1万6200戸だったと指摘。創業後に生まれた新たな要望とこれらのデータを受け、高級花材販売専業へとかじを切ることを決めたと説明した。採用したのはオフライン(店舗)とオンラインを融合した小売りモデルだ。

同社のフラワーアレンジメントは視覚表現の美しさに定評がある。「世界的に著名な絵画からインスピレーションを得ており、全体の色調や色の組み合わせ、配置などを参考にしている」(劉氏)という。従業員数は現在約40人で、フラワーアレンジメントデザイナー10人のほか、カメラマンや油絵の教師らが関わっている。

豪華で彩りの美しさが目を引く喜花仕のフラワーアレンジメント商品

「プチぜいたく品」が浸透、成長余地大きく

フラワーアレンジメント業界が好調な背景の一つには、「消費の高度化」という潮流の中で、中国でも生花が「プチぜいたく品」として既に日常消費財となったことがある。M&A(合併・買収)の関連リポートによると、中国の生花市場規模(事業者の売上高ベース)は既に1097億2000万元(約2兆1500億円)に達しており、2023年には1943億7000万元(3兆8100億円)まで拡大すると予想されている。今後も堅調な伸びが続くとの見方が一般的だ。

中国には元々、「礼尚往来(礼では行き来することを大切にする)」、つまり贈り物をもらったら返礼すべきという文化があるが、近年、消費者の贈り物スタイルに新たなニーズが生まれている。特に法人向けの贈答品や特別な日のための贈り物は、社会的需要に合っているかどうかが重視されるようになっている。

中国のギフト経済産業自体の市場規模(売上高ベース)も年々拡大している。18年の8000億元(約15兆6700億円)から21年は1兆1000億元(約21兆5000億円)と、4年で約4割増えた。22年は1兆2000億元(約23兆4000億円)に達する見通しだ。贈答花によるお返し需要も、正比例して拡大する公算が大きい。

一番右が1~3月で最も売れた季節限定商品「Blossom Delight」=喜花仕の公式サイトより

喜花仕ではオンライン販売の生花フラワーアレンジメントのギフト価格を1599~6880元(約3万1300~13万4800円)に設定。22年第1四半期(1~3月)に最も売れたのは、5880元(約11万5200円)の季節限定商品「Blossom Delight」で、オンライン・オフライン合わせ392セットの注文があったという。

足元の売り上げに関し、劉氏は「毎月の平均顧客注文数は300〜400件で、再注文率は8~9割だ」と明かした。

業界は贈答用と観賞用で共存 品質管理がカギ

中国のフラワーアレンジメント業界は、喜花仕より先に「花点時間(REFLOWER)」や「花加(FLOWERPLUS)」、「野獣派(BEAST)」といったECブランドが登場している。ただ、取り扱っている商品は異なり、花点時間が日常の観賞用であれば、野獣派は同じプチぜいたく品でも贈答用がメインだ。花点時間などは月額制サブスクサービスを主な販売モデルとしている。

劉氏は今後の戦略について、競合相手と見なされる野獣派を例に挙げ、同社がアロマやベッドリネンなど生花以外の商品ラインアップも展開していると指摘。その上で「当社は引き続きフラワーアレンジメントサービスに注力していく」と断言した。両者は住み分けが可能とみている。

一方、今後もフラワーアレンジメント需要増が見込まれる中、生花のライフサイクルは短く、業界にとって品質管理が引き続き共通の大きな課題となっている。

喜花仕では、日本やオランダ、南米エクアドルなど海外の生花産地と長期的なパートナーシップを結び、生花1輪1輪をベストな鑑賞期間内に顧客に届けられるよう安定したサプライチェーンを構築。また年間に購入が必要な生花の数量を品種ごとに算出し、毎週決まった分だけ空輸するようにして、在庫削減とともに鮮度の維持を図っている。劉氏はこうした仕組みの構築が、同社にとって「中核的な強みだ」と強調した。

(36Kr Japan編集部)

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