自動車のデジタルキーを開発する「銀基(INGEEK)」、テンセントから資金調達。トヨタなど大手メーカーと提携

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自動車のデジタルキーを開発する「銀基(INGEEK)」、テンセントから資金調達。トヨタなど大手メーカーと提携

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自動車のデジタルキーを開発する「銀基(INGEEK)」がシリーズBで数億元(数十億円)を調達した。テンセント(騰訊)と大手保険会社系の人保資本(PICC Capital)が出資を主導。調達資金は技術の研究開発、デジタルキーの利用シーン拡大、自動車「インテリジェント・コネクション・システム(ICS)」の開発に充てられる。

2018年に設立された同社は、情報セキュリティ企業として金融や通信業界、政府機関にサービスを提供してきた。中国で自動車のインテリジェント化とコネクテッド化が進む中、AIや高度な通信技術を導入して安全で効率的な自動運転を可能とする自動車のICVには「セキュリティが不可欠」だと考え、16年からセキュリティをベースとするICV事業へと移行した。共同創業者の単宏寅CEOは「金融からICVに移行しても、情報セキュリティの技術はそれほど変わらない。ただ、ICVの応答時間はミリ秒単位が求められ、従来の情報セキュリティよりも高い水準が必要だ」と話す。

同社はICV分野のうちセキュリティ、コネクティビティ、インテリジェントの3つの面に関わっている。情報セキュリティ事業の経験を生かし、インターネットバンキングの公開鍵基盤(PKI)など金融向けセキュリティ技術を自動車に応用することで、自動車メーカーのネットワークセキュリティ基盤やセキュリティ認証などのインフラ構築を支援している。

同社はその中で自動車と人をつなぐICVプロダクトの「デジタルキー」を開発した。デジタルキーはクラウド、スマホ、自動車、各種通信プロセスの全てに対応するセキュリティ保護ソリューションだ。単CEOによると、中国の自動車メーカーに対し、デジタルキーの技術ソリューションなどを数多く提供しているという。

2019年3月には「広州汽車集団(GAC Motor)」系の新エネルギー車「AION」に、Bluetoothを使う第1世代のデジタルキーを搭載した。デジタルキーはすでに第2世代に改良され、広州汽車集団、長城汽車(Great Wall Motor)、トヨタ自動車とは全車種で提携している。昨年末時点で30社近くの自動車メーカーと提携、70車種以上にプロダクトを搭載し、純正品市場のシェアは50%を超えた。単CEOは「当社のデジタルキーを搭載した自動車は昨年40万台を超え、今年中に100万台を超える見込み」と話している。

しかし、同社は現在のデジタルキーに代表されるICVプロダクトが真の「インテリジェント」になっておらず、人、自動車、モノの接続はまだ断片的だと考えている。共同設立者の陳維鑫CPOは「ICSとつながる次世代のデジタルキーを通じて人、自動車、メーカーの間に密接かつ高周波の接続が確立されれば自動車、人、クラウド、あらゆるモノの安全かつインテリジェントな接続が実現する上、メーカーの将来的なユーザーサービスや運営の基盤が構築され、本当のICV時代が到来する」と説明した。

単CEOによると、ICSは異なるプラットフォームや通信技術の統合を実現し、近距離と遠隔での操作を可能とする。また、自動車製造・販売、モビリティサービス、タイムシェア、代行サービス、スマートチャージ、自動車リサイクルなどに対応できる。

第2世代のデジタルキーは所有者(運転手)が自動車に乗るための認証機能しか持っていないが、次世代プロダクトの普及によって、本人認証が可能な状態にあれば同社のプロダクトを通じてさまざまなことができるようになるという。

例えば、公共の充電スタンドで電気自動車を充電する際、今は二次元コードのスキャン認証、車両の確認、代金の支払いというプロセスがある。ICSとつながる次世代のプロダクトがあれば、自動車が充電スタンドに近づくと同時に車両と運転手が認証され、スムーズな充電が可能となる。

今回のテンセントと人保資本による出資は、銀基の事業拡大につながる見通しだ。テンセントとは年内にデジタルキーのアプリを発表する予定で、ユーザーはアプリがあれば自動車のキーを持つ必要がなくなるという。人保資本とはモビリティ分野でのビジネスを検討し、ユーザー行動に関する新しい保険の開発なども視野に入れている。
(翻訳・大谷晶洋)

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