クラウド3D CADプラットフォーム「雲図三維」が資金調達、共同作業可能でリモートワークの常態化にも対応

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クラウド3D CADプラットフォーム「雲図三維」が資金調達、共同作業可能でリモートワークの常態化にも対応

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3D CADモデリングプラットフォーム「雲図三維(CLOUDCAD)」を運営する「雲図軟件科技」が半年の間に連続してエンジェルラウンドを実施し、合わせて数千万元(数億円)を調達した。同社は2020年1月設立で、製造業向け3DCADをクラウド化させ、モデリング(立体化)、アセンブリー(組み立て)、ドラフティング(製図)、レンダリング(画像生成)機能を一体化したプラットフォームを手掛けている。

中国の市場調査会社「智研諮詢(Intelligence Research Group)」によると、産業用ソフトウェア産業の世界市場の規模は20年に2兆7700億元(約55兆4000億円)で、中国市場は1935億元(約3兆8700億円)だった。CAD市場に関しては「浙商証券(Zheshang Securities)」の推計によると、中国市場は年平均17.78%の世界市場をはるかに上回るスピードで成長し、25年には220億元(約4300億円)規模になる。

世界のCADソフト市場は主に仏ダッソー・システムズ、独シーメンス、米PTCの世界のソフトウェア企業3社が独占し、中国では市場の95%以上が海外のソフトウェアで占められ、中国企業は主に2D CAD事業を展開している。中国は製造業の顧客数では世界最大の市場だが、3D CAD技術では中国独自のコア技術にさらなる向上が求められている。

雲図三維のプロダクトではオンラインでのモデリング、スピーディーな作図が可能で、スマホのミニプログラムからも使用できる。

創業者の劉鑫CEOは「クラウドで使用するCADの基盤技術は難度も競争力も極めて高く、各種アルゴリズムやエンジンとエンジニアリング技術の結びつきが関わってくるもので、Webブラウザー向け3D CADアーキテクチャーなどがこれに当たる。雲図三維では略図とモデリングの幾何アルゴリズム、製図アルゴリズム、制約ソルバー(制約解消系プログラム)などを自社開発し、技術のクラウド移行を進めている。このほか、多くのユーザーからのフィードバックを基にクラウドネイティブの3D CADアーキテクチャーを改善し続けている」と話す。

プロダクトの特徴は次の3点だ。一つ目は、部署や組織を越えてデータを使用できるようにしたため、産業チェーン内で効率よく協業を進められるようになり、リモートワークの常態化にも対応したこと。二つ目は複数の人が共同作業を行えるよう設計してあり、審議や組み立てなどの作業を一緒に行いたいとのニーズに応えていることだ。三つ目は、プラットフォームが構築した標準の部品データベースに設計士が3D AI検索をかけると、規格外部品、特殊部品、図面作成など業界の知識が活用できることだ。

プロダクトの機能の特徴

劉CEOは「ソフトは従来の3D CADの操作方法を引き継ぎながらさらに使いやすくした。また、『onshape』のような従来のクラウドタイプのプロダクトは大量の演算処理をバックエンドのサーバーで行うため一定のタイムラグが生じるが、雲図三維では全く新しいシステムを開発し、鍵となる幾何アルゴリズムとソルバーをブラウザ側で構築しているため、作図過程では画像がリアルタイムで変化しタイムラグは発生しない」と語る。

雲図三維がプロダクト開発で重視したのはビジュアルと双方向のやり取りで、コミュニティのユーザーからの声を基に隔週でプロダクトを更新ドしている。プロダクトの主な機能モジュールは基本的に開発済みで、今後クラウド事業者や、SaaSのアプリストア、大学との提携を通して商業化を図る。

運営面では、ミニプログラムやコミュニティの活用でユーザーのロイヤリティを高めている。また、「騰訊文檔(Tencent Document)」などの大手のオフィススイートと提携して3Dの製図をオンラインで保存・利用できるようにしたほか、Web会議プラットフォーム「騰訊会議(Tencent Meeting)」との提携でオンラインでのチェックが可能になり、データ共有や共同利用の範囲を産業チェーンの川上・川下にまで広げた。

劉CEOによると、ユーザー数はこの半年で10倍増加して10万人以上となり、直近3カ月の継続率も以前より2~3倍に上昇している。設計士以外の顧客も抱え、産業チェーンの川上・川下との連携が進めば顧客がさらに広がる可能性がある。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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